第三十四章「王道と覇道の別れ道」
GM:ライラが眼が覚めた時、そこは研究室であった。
そこにはあらゆる実験道具、機器、それらが縦横無尽に置かれている。

ライラ:飛び起きて周囲の状況を探りにかかります。
どうも動き回るには向かなさそうな部屋ですが……まぁ、知ったことか。

GM:中には君と同類のマシーナリーの残骸や試作品などが転がっている。

ライラ:生首とか手足とかが無造作にゴロゴロしてるんですね。

GM(???):「よぉこぉそぉ、ライラたぁん、やっと会えたね〜〜、ずっと君と会いたかったんだよぉぉ〜〜」
そんなおぞましい声が君の耳元のすぐそばで聞こえた。

ライラ:光学でも赤外線でも空間受動でもイデア波動でもない
シックスセンスとしか言いようのないサムシングが警鐘を鳴らすので
システムの上限を軽く突破した速度で振りむきます。

GM:振り返るとそこには君を嘗め回すような眼で見下ろす一人の科学者。
否、デミウルゴスがいた。その者が着る制服は紛れも無く真紅のオグドアスbフ制服。
だが、そんなことは問題ではない。
この人物の雰囲気、外見、魂、そこにある存在感、否“全て”と言っていいだろう。
それが不快。それ以外の何者にも感じられない不愉快さを君の魂にメッセージを送る。
こいつは…とんでもなくおぞましい奴だと。

GM(ヌンキ):「はじめましてぇ、私はオグドアス11“絆の定義者”ヌンキと申しますぅ。
以後、よろしくねぇ、ライラたぁん」

クフィル:あまりのおぞましさで俺の目が直視を避ける。

ライラ:前代未聞、空前絶後のプレッシャーに生唾を飲み込みます。
いや生唾なんてもんが有るのかどうか知らないけど。
「……あ、貴方は、一体」

GM(ヌンキ):「んふふ、私はしがないデミウルゴスの科学者。
星宝の研究や星機器、マシーナリーの研究を任された者ですよぉ」
言ってヌンキと名乗る変質者はライラの身体にまとわりつき、その生足を頬ですべすべしてかかる。
「あああぁぁ、これ!これだよぉ!素晴らしいよぉ!ライラたぁん!!」

クフィル:GM(ヒルデベルト)「ぶっころすぞこの糞ボケェ!?」

GM(ヌンキ):(「ひ、ひぃ!ひ、ヒルデベルトー?!!」)

ライラ:名状しがたい感覚が背筋を走り抜け、全身全霊の力を込めて蹴り飛ばします

GM(ヌンキ):「ぼぐあああぁぁぁ!!」どご、べちゃ。
遠慮なく壁に激突するヌンキ。
「ひ、ひどいなぁ、ライラたん。私は11のデミウルゴスで実力は低いんだよぉ。
いきなりそれはないんじゃないかなぁ〜」

ライラ:「実力が低かろうと敵は敵です。そのうえ貴方には言葉にしがたい脅威を感じます。
……頼まれても、手加減はしませんよ?」
と言いつつ邪魔な機器を足先で蹴り飛ばして戦闘態勢。

GM(ヌンキ):「まぁ待ちなよ!ライラたぁん!私はず〜〜〜と君を想っていたんだよぉ!
200年前に戦場で君に会って以来、私はずぅ〜〜とね♪
君は素晴らしいよぉ!素晴らしいマシーナリーだよぉ!
私が200年かけても君ほどのマシーナリーは結局出来なかったんだ!
だから君が復帰したと知った時は私は内心アルタイル異常に喜んだんだお!!!」
言ってヌンキはやばい笑みと瞳のまま君にじりじりと寄って来る。
「そして今日この日をどんなに待っていたかぁ、ハァハァハァww
君は私の物になるんだよぉ、ライラたぁんwww」

ライラ:「貴方が何を思おうと私の知ったことではありませんし貴方のものになる気もありません。
私は私のマスターの所有物です。妨害するなら、叩き潰します」
盾を構え、相手を(直視したくないけど)見据え、
【text:Hostile target insite. Categolize them as ENEMY】
【text:Weapon Control System shift to combat mode】
【text:READY to fight】
システムを戦闘機動して出方を伺う。

GM(ヌンキ):「くふふふ、君の“恋人”に対してそれはよくないよぉ、ライラたぁん」
瞬間、その異質なる空間は更なる歪な空間へと歪んだ。
そう、それは発動。

ライラ:(えぇぇぇぇぇ)

GM:おぞましいデミウルゴスのおぞましい現象。

アスタロト:(もうこのひといやだwwww)

「【偽りの絆(スピュアリアス・バンド)】」

そして―――――

ライラ:(気がついたら教会でウェディングドレスとかだったら私死ぬほど笑うわ)

◆ライラシーン終了


ライラ:此処で切れるのは予想外DEATH

GM(ヌンキ):(あれから先は18禁描写だから切ったんだよぉwwハァハァハァwww)


◆クフィルシーン 〜王道と覇道の別れ道〜
神の庭園。そこを歩く二人。
褐色の肌を持つ王者と銀の髪を持つ覇者。

GM(ユリウス):「…クフィル。恐らくこれが最後になるだろうから聞いておこう」
不意にユリウスが歩きながら君へ声をかける。

クフィル:「ん?」

GM(ユリウス):「貴様は何故王になろうとした?貴様の歩む王道の定義とは何だ?」

クフィル:「俺が王になると決めたのは1人の友と出会ったからだ。
俺はそいつに救われた。そして俺はそいつに『己にしか出来ないことがある』という事を学んだ」

GM(ユリウス):「ほぉ、それは今お前の王国を統べているあの男、レイルか?」

クフィル:「あぁ、自慢のダチだ」
宝物を自慢する子供のように邪気の無い笑顔を向ける。

GM(ユリウス):「では、それ以前にお前は一体何だったんだ?
そいつと出会わなければ見つけられないような物だったのか、お前の言う王の道とやらは」

クフィル:「友と出会い絆を結び、自らが進むべき道を見つけられた。俺の『道』は俺の人生そのものさ。
だからこそ、俺は多くの友と共に歩む『王の道』を目指した」
もう1人の友へと返答を返す。

GM(ユリウス):「そうか、よく分かった。お前の言う『王の道』は絆であり、お前の人生そのものの道か」
その答えを聞き、しばしの沈黙の後ユリウスは一言呟く。
「失望だな。お前ならばあるいは私の隣に並ぶ道を持っているかと思ったが、買いかぶりすぎたようだ」

クフィル:「ははッ、仕方ねぇさ」

GM(ユリウス):「絆だと?誰かに…お前の言うその友とやらに出会わなければ
見つけられぬ道など不要な物。誰かに支えてもらわねば進めぬ道など弱き理想主義者の道。
私が往くのは何者も横に並ばぬ王の道――“覇道”のみよ」
それだけを言い、再び黙り君とユリウスは歩き始める。

クフィル:「俺は…」一拍後に
「お前の事、素直に凄いと思う。きっとお前なら歴史上類を見ない程の王になれると思うぜ」
彼の隣を歩きながらもまっすぐ前を見据えはなす。

GM(ユリウス):「…そう思うのならば私の邪魔をしない事だ。
お前はただ機関を潰せばそれでいい」
やがてしばらく歩いた後、クフィルとユリウスはその庭園を抜け、再び白の通路を歩き出す。
だがその通路を歩く後、君達の前に二つの分かれ道が現れる。
それは天上に向け上る螺旋階段と遥か下、この世の底まで続くかのような螺旋階段。
その二つの分かれ道が。

クフィル:「分かれ道、か」
成程、今の俺達には相応しいのかもしれない。

GM(ユリウス):「…クフィル。お前は左の上に向かっている螺旋階段を上れ。
恐らく機関の首脳や神は間違いなく上の方へいるはず。
私はこの機関本部で見つけなければならぬものがある故、右の下の螺旋階段へ向かう」

クフィル:「お前1人で大丈夫なのかよ?」

GM(ユリウス):「この場合、狙われるのは神の道へ向かうお前の方だ。
しかもお前は欠片の継承者であり、他にもアスタロトがいる以上
戦う術を持たぬ私など機関連中は後回しにするはず」
すでにそんなことなど計算済みのように淡々とユリウスは返す。

クフィル:「お前な…」
胸倉を掴む。

GM(ユリウス):「…なんだ」
わずわらしそうにユリウスは君の方へ顔を向ける。

クフィル:「確かにお前は頭がいいし、お前お得意の計算じゃそうなるんだろうよ。
けど万が一お前の予想が外れたらどうすんだ?」

GM(ユリウス):「それは無い」
まるで確かな確証があるようにユリウスは断言する。
「先ほど言ったはずだぞ。私の邪魔をするなと。これ以上、お前の幼稚な思想には付き合いきれん」

クフィル:「うるせぇッ!!幼稚だろうが何だろうが俺はお前が心配なんだよ馬鹿野郎ッ!!」

GM(ユリウス)(「う、うぜええええぇぇwwww」)

ライラ:(本音が出てる本音が出てる)

アスタロト:(それは言ったらダメだw)

クフィル:「お前にとっちゃ余計なお世話かもしんねぇがな。ダチ心配して悪いかよッ!」

GM(ユリウス):「…ダチ?」
その単語にまるで不可解と言わんばかりの反応を見せる。
「それは友という意味か?」

クフィル:「そうだ」

GM(ユリウス):「…下らん、お前は私を友と想っているのか。
私はお前など我が道に転がる道具程度にしか思っていないと理解して尚か」

クフィル:「あぁ、お前が俺をどう思おうが俺にとって…お前は友だ」

GM(ユリウス):「………」
君が掴んでいた手を払いユリウスは君に背を向ける。

クフィル:「ユリウス、俺に黙って死ぬな」

GM(ユリウス):「お前という人間は不可解だ。
私のこれまでの計算の中で唯一理解できなかったものがあるとすれば、それはお前だろうな」

クフィル:「そりゃ光栄だ」

GM(ユリウス):「ならばお前も生き残る事だな。私は私の理解できぬ存在など放任できん。
どうせならお前という人間を真に理解した後に別れたいところだ」

クフィル:「俺とお前の『道』の間に勝敗なんてねぇ。だから…またいずれ存分に意と言葉を交わそう」
ユリウスに自分の指に填めていた指輪を放り投げる。

GM(ユリウス):「……」
黙ってそれを受け取る。
「こんな安物を私に押し付けるな」

クフィル:「ハハッ、要らなかったら返しに来いよ」

GM(ユリウス):「…そうする。こんな物は私には不要だ」

クフィル:「俺の母上の形見、だそうだ」

GM(ユリウス):「………」
それに対しても、やはりいつもと変わらずただ涼しげな態度のまま
ユリウスは螺旋階段を降りて行った。

クフィル:「再会の約束、確かに交わしたからな」
去り往く友と反対に螺旋階段を駆け上る。

そう言い残し二人はそれぞれの道を歩む。
だがこの時、両者は理解していたのだろう。

もはや王者と覇者が同じ道を歩く事はない、と。

◆    ◆    ◆

「どうやら最終試験の結果は決まったな」

その人物は静かに闇の中より出でる。
先ほどクフィルとユリウスの分かれた螺旋階段の前の通路の奥より静かに。

「“王者”の方にもそれなりの資質はあるかと期待したが…
どうやら“遊戯(ゲーム)”にすらならない茶番であったか」

その人物、どこか失望するようにそう言い、やがて考えような仕草をやめ言葉を漏らす。

「いや、道化の茶番としては十分であったな。“我が神”もそれなりに楽しめたであろう」

言ってその人物はその純白のコートを翻す。
恐らく、この瞬間において、その当人達は一切気づかずにいたのであろう。

二人の遊戯参加者は、この遊戯(ゲーム)が開始されてから
その一切の行動、言動、全てがこれまで監視し続けられていたという事実に。

「さて、それでは遊戯(ゲーム)の終焉を告げると同時に迎えに行くとしようか。
この遊戯(ゲーム)の勝者を―――」


◆GMシーン 〜エトワール機関W〜
「どうやら、欠片の継承者達がここまで来たみたいだね。…どうしようか?兄さん」

そこは深淵の間。
機関本部の中枢に存在する機関rBが座する円卓の間にして
この世界の命運を左右するために設けられた会議の空間。

だが、今そこにある真紅の12の席は全て空席であり
その真紅の席を見下ろす用に上部に設けられた純白の席には2人の人物しか存在し得なかった。

しばしの沈黙の後に純白の席に座るやや小柄な人物がため息混じりに言う。

「…先のミシアン戦でレグルスは死亡。アルタイルは未だ帰還せず、
シリウスとべネトナシュはここに戻ってくるなら行方を眩ます。
ミルファク――天皇大帝は“あれ”の起動のためにここにはいないし
唯一残ったオグドアス11ヌンキじゃ、彼らの相手なんて出来はしないしね。
やっぱりここは僕達が相手をするしかないかな?兄さん」

「………」

純白の席に座る小柄な人物は隣りにいた兄と呼ばれる人物にそう声を投げかける。
それに対し返答は沈黙であるものの、そこに存在した答えを読み取ってか
質問を投げかけた側は納得したようにクスクスと笑いながら言う。

「…くすくすっ、確かにそうだね。
彼らのここまでの行動には僕達の神様もきっとご満悦だから
そうするのも面白いね」

笑いながらその人物は立ち上がり、隣に座る人物の前まで来て跪きその手を取る。

「うん、分かったよ。兄さん。
兄さんがそう言うなら、彼らにはこの世界のもう一つの真実を教えた後で絶望の賛美歌を与えるよ。
そう、折角ここまで来たご褒美を彼らに与えなきゃね」

「………」

沈黙の中にある意志を受け取り、跪くその人物は天使のような顔で悪魔の如き笑みを浮かべる。

「じゅあ、彼らに会わせてあげよう。僕達の神―――星王イシュタル様を」

純白のbニコートを持つ機関最高位プロパテールを持つその人物達はそう決断した。
それは即ち、機関の意志であると同時に神の意志。
今、世界最後の神が、その至高に挑もうとする者達へ拝謁を許可した。

そこに存在する意味はただの一つ。
その者達への絶対的な死という栄誉、ただそれのみであろう。


◆ミドルシーン7 〜純白位の神〜
GM:螺旋階段を上りクフィルは中継地点を思われるフロアに出る。
すでに何十分も走り続け未だ先には階段が見えるこの状況。
このまま行けばこの先は星の空にまで届くのではないのかと思える程であった。

クフィル:「…ここ作った奴は多分馬鹿か、一線を飛び越えた天才だな」

GM:そうしてフロアに出た君はその瞬間、左右にあった扉が開くのに気づく。
左右の扉、それぞれから出てくるのは、この機関に捕らわれていたアスタロトと
いきなり消息が消えたライラであった。

クフィル:「お?」

GM:ちなみにアスタロトは走っているうちにここに出た感じです(笑)

アスタロト:「あれ、ここは一体…?」

ライラ:このライラは普通に喋っていいんですか(笑)

GM:ライラたんは、先程のヌンキとのやり取りの後でここまでの通路や階段を進んできた感じです。
ちなみにやり取りの事は記憶していますが、それを彼らに話すことは何故かシステム上、
禁止されている。

ライラ:……ゴクリ

GM:まぁ、今のところは普通にロールしておkです(笑)

ライラ:把握しました。
「アスタロト様に、殿下。お変わりないようで何よりです」
まぁまずは挨拶ですよね。(違

クフィル:「おう、2人とも無事で何より、ってとこだな」

アスタロト:「合流できてよかったです…が、この階段、どこへ続いているんでしょう?」

ライラ:「よく判りませんが……。案外すぐにどこかにでて、
盛大に歓待していただけるのかもしれません」

クフィル:「まぁ行ってみりゃあ分かるだろ、多分」

ライラ:「……身も蓋もないような気がしますが、その通りですね」

アスタロト:「そうですね…今更引き返すわけでもありませんし…」

クフィル:「んじゃ、行きますか」
取り立てて変わりなく普段通りにスタスタと(笑)

GM:合流した君達は目の前にそびえる螺旋階段を上る。上るうちに君達は次第に気づく。
それは本能に、魂に、君達のイデアに来る絶対的な力の圧力、存在感。

ライラ:(存在感的にも厳しいですが脚の短いライラにはこの傾斜もかなり厳しいです)

GM:間違いなく、この上には常識でははかれない何か。
そう、形容するなら“神”と呼べる超越的な存在がいる。

やがて長い螺旋階段の果てに―――君達は見る。

天上の間。至高の空間。神の座を。

そこはかつてクフィルが知るあの神の空間そのもの。
同時にアスタロトは戦慄する、この空間を支配する異常な存在力、“魂の圧”に。
そしてライラもまたかつて200年前に一度だけ遠く見た神の圧力、その存在の巨大さ
それと同じものがここに漂っている事に気づく。

目の前にあるのは純白の階段。その先には白いカーテンで覆われた神の領域。
だが、そのカーテンの先に確かに“いる”

『ようこそ、欠片の継承者達とヒルデベルトのマシーナリー』

それは空間に響く声。中性的で男とも女とも取れる神秘さがある。
だが同時に魂を威圧する存在力がそこには込められている。

『歓迎するよ、かつてここまで人の力だけで来た者は一人もいなかった。
ファルナスですら辿りついた事のない場所によく来てくれたね。
そのご褒美に君達に素晴らしい贈り物をしよう。
僕達の神が君達と御会いになってくれる。
さぁ、後はその階段を上りその向こう側へ行くだけだよ』

一拍のちにその声は言う。

『神を待たせては、ダメだよ』

GM:その一言を最後のその人物の声は途絶えた。
後には不気味な威圧感のみが君達のいるこの空間を支配している。

クフィル:「んじゃ遠慮なく、っと」
無用心とも取れる勢いで進みましょう(笑)

ライラ:不用心だなぁと思ったのであとをヒョコヒョコついていきます。

アスタロト:不安に思いながら行く手を見上げます。

GM:純白の階段、神へと至る最後の道。
そこを走り君達はそのカーテンの前まで来る。

そう、ここまで来るのに多くの犠牲が戦いが出会いが運命があった。
あるいはすべては今、この時のために用意された道標。
いずれにしろ、君達はその向こうへと遂に足を踏み入れる―――。

そこは神の間、星の神イシュタルが存在する空間。

そして君達は見た。神の姿を。圧倒的威圧感を放つそれを。


そう、それは――神の首。


GM:肉体より切り離され、純白の床に放置された“神だった者の首”があった。

ライラ:ポカーン

GM:そこにあるのは神の死という事実。
にもかかわらず、この空間にあるのは圧倒的威圧感と存在感。
そして理解する。この部屋がおぞましいほどに切り裂かれ
まるで神々の戦いがあったように破壊され蹂躙され、全てが崩壊している姿に。
先ほどまで感じていた圧力と威圧感、
それは“かつてここで行なわれた至戦の爪あとによる残滓”によるものであった。

「ようこそ、ちゃんと挨拶しなとだめだよぉ。そこに転がっているのが僕達、機関の神様なんだから」

ライラ:「何奴!」
とか言うと噛ませっぽくていいですかね。

GM:見ると君達の背後、いつそこにいたのか、一人の少年が存在していた。
少年。そう言っていいのか、そう形容するしがた美しい存在がいた。
中性的であり、なによりも神の様な威光、存在感を秘めた純白のコートを着る人物。

GM(サダルスード):「始めまして、僕はプロパテール3“絶対幸運”のサダルスード。
この機関に存在する白き最高幹部の一人だよ」

ライラ:(こんなに可愛い子が女の子の訳がない)

クフィル:「そりゃ御丁寧に悪ぃな」

GM(サダルスード):「それにしても、やっぱりその首をそのままそこに放置してるのは
よくなかったかな。仮にも僕達を生み出してくれた神様だしね〜」
くすくすと笑いながらサダルスードは床に落ちていた神の首を手に持ち、君達の方へ向く。

クフィル:「知ってるとは思うが一応自己紹介した方がいいか?」

GM(サダルスード):「そうだね、君達の事はもう知ってるけど、どうせなら直接聞きたいからね」

クフィル:「ヴァーレンハイト王国第二王子クフィル=フォン=アレクサンドロスだ」

アスタロト:「…ラヴァード帝国騎士補佐官、アスタロトです」
サダルスードのペースに巻き込まれるような様子で、おずおずと名乗る。

ライラ:「ヴァーレンハイト国王代理、レイルが臣。ライラ・マウアー」
と小さく短く名乗ります。

GM(サダルスード):「そう。じゃあ、しばらくの間はよろしくね」

クフィル:「俺達が死ぬまでの短い間、って事か?」

GM(サダルスード):「そうだね、僕が君達に機関の真実を教えてあげるまではね」
憂いを秘めながらサダルスードは続ける。
「正直、君達の存在には参ったよ。レトの丘で君達全員が最初に集まった時に
オグドアス全員を総動員していれば、僕達による“偽りの統治”もまだもうしばらく出来たのにさ〜。
先のミシアン戦、こちらの事情を言うとあれが僕達に取っての最後の挽回戦だったんだよ。
あれでバランスを戻すつもりだったんだけど、結果はこっちの惨敗。
正直、これでもう僕達機関による“偽りの支配”もおしまいだね」
唐突にクスクスと笑いながらサダルスードは宣言する。
「実はさー、君達は機関を倒すって息巻いていたようだけど…」

「機関なんて“2年前に事実上崩壊しているんだよ”。
今、ここにあるのは“機関の残骸”なんだ〜」

それはまさにこれまでのクフィル達の戦い、それら全てを覆すほどの重大な事実の発覚。

「これが神様の首って事は分かるよね?実は2年前に神様も死んじゃったんだ」

あまりにもアッサリとその驚愕の事実。
今現在、この世界の歴史そのものを覆しかねない事実を目の前の少年は告げた。

ライラ:(なん…だと……)

GM(サダルスード):「実はさ〜、2年前に馬鹿がいたんだ〜。
神様に仕えるはずのデミウルゴスでありながら
その神様を越えようとした“傲慢なるデミウルゴス”が」
それは確かに目の前のサダルスードが言う通り
デミウルゴスの存在理由を超越した背徳的なデミウゴスの行為であろう。
「で、結果だけを言うとそのデミウルゴスによる反乱が成功して、僕達の神様を殺しちゃったんだ。
当時の0。機関統治者、神を越えた神人(デミウルゴス)“アケルナル”がね。
その時にまぁ、この星王殿以外にも色々被害があって。
それが今で言う「デミウルゴスの粛清」ってやつだね。ほらアスタロトさん、君もその被害者だよ。
あのエルナトも神に歯向かったデミウルゴスの一人だったから」

アスタロト:「…その事についてはシリウスさんからも伺いました、色々と」

GM(サダルスード):「そうなんだ。じゃあ、僕のいい事やデミウルゴスにあるまじき
デミウルゴスがいる事も理解してるんだね」
と君を見て納得し、続いてサダルスードは現在の機関における状況も説明し出す。
「でね、その時の内乱でプロパテールもオグドアスもその数が半減しちゃってさ。
しかもその上、神様殺されちゃってさ、あっはっはっはっ!面白よね〜!これってさ!
しかも傑作だったのが、その主犯であるアケルナルが“神様の肉体”を手に入れて
神人の領分を越えて神になった事だよぉ!これにはさすがの僕も言葉が出なかったよぉ〜」
ひとしきり笑い、サダルスードはやがて静かになり、その天使のような顔で
凍てついた悪魔の瞳を君達へ向ける。

ライラ:(言葉にできないわぁ……)

そう、全てはこの星の伝承記と呼ばれる物語が始まる以前から機関と
そこを統べる神の存在は潰えていた。
ならば、今ここにあるのはそれらかつての栄光にすがっている残骸、亡者にしか過ぎなかった。

GM(サダルスード):「…で、まぁ。当時プロパテール1だった
“時の変革者”ベテルギウスが0としてこの機関の統治を行い。
僕らプロパテールはその事実を隠蔽し、今日まで“機関という存在の延長を演じ続けていたんだよ”
それを君達はさぁ〜…ぜんっぶ、ぶち壊してくれたよねぇ〜…。
ベテルギウスを殺すわ、僕達に歯向かうわ。残ったb消すわ。
あまつさえ、この本部まで乗り込んでくるわ」

そう、サダルスードのこの言が真実なら今ここに“機関”は存在しない。
先のミシンア大戦、否、ベテルギウスが殺された時からすでに彼らによる“見せ掛けの統治”は
幕を降ろしていたのだろう。

GM(サダルスード):「…でも、別にいいんだよぉ、兄さんがいい打開策を考えてくれたから」
言いながら、サダルスードは歩くこの神の間より離れた場所、一つの扉の前まで。
そこまで来たところで扉は開きその先には下へ下がる階段があった。
「着いて来てよ、兄さんが君達に会いたがっているから」
言ってサダルスードは君達の方をちらりと振り返り下へと下がっていく。

クフィル:ではその後をスタスタ着いていこう。

GM:それはまるで深淵へと続く階段、そこを降りきったところで君達は見る。
眼下に存在するのは真紅の12の席、紅い円卓を。
恐らくここが機関の中枢たる彼らの行動方針を決める場所。
そして君達が降りたフロアには5つの純白の席が存在した。

そのうちの一つ、白き席に座る一人の人物が見えた。

サダルスード「兄さん、彼らを連れて来たよ」

言ってサダルスードはその人物に寄り添うように身を重ねる。
だが、そこに座る人物を見たとき、君達は戦慄した。

なぜなら、そこに座っていたのは、ただの死体。

純白衣を着た、恐らくはプロパテールb持つデミウルゴスに違いないのであろう。

それはすでに死んでいる。
だがもっと恐ろしいのはサダルスード、彼の言動。

「え、そう?うん、そうだね、兄さんの言う通りだ。
もうここまで話せば彼らも十分納得するよね」

その目はすでに狂気に取り付かれ、その脳内も目の前の凄惨な出来事をまるで認識しておらず
すでに死体たるその人物と会話をするように独り言を呟き、やがて君達を見る。

「あのね、兄さんがもう君達を殺せって。
ここまで真実を知ったんだし、最後にもう一つ教えて悔いのない最後を迎えさせろって」

言ってサダルスードは宣言した。

「“星蝕”」

それは忌避するべき災厄の名。

「実はね、あれの復元、もう出来ちゃってたんだ♪」

あっけらかんとサダルスードは天使のように微笑む。

「でね、今ここにはいないオグドアスc~ルファク…あ、君達には天皇大帝って言った方がいいかな。
彼にその星触の起動を任せたんだ。つまりね、ここで君達が僕に殺されても
仮に僕を殺しても、もうこの世界の未来って決まっちゃってるんだ。だからね、分かりやすく言うと、
こうなっちゃったら、もう機関があってもなくても一緒でしょ?だってさ、ほら」

「みーんな、ぜーんぶ、無くなっちゃうんだから」

その瞬間、サダルスードはおかしくてたまらないと言った風に笑い出す。

君達全員、例外なく理解する。

この、目の前の少年、デミウルゴスは壊れている。

もはや、この機関同様にそこには意味も意義も何も無い。

すべては偽り、まやかし、壊れた城をあたかも未だに存在する新品の城に見せかけていた
道化師の所業。

壊れたデミウルゴスはひとしきり笑い終えた後に君達を見る。

だが、そこから放たれる威圧感はかつて、君達が感じた何よりも恐ろしく絶対で全てを畏怖させるもの。

「……じゃあ、もう、いいよね?君達全員――死んで」

その冷酷な宣言と同時に。

神の位を持つaBプロパテール種、サダルスードと君達との戦いが開幕される。

そこにはただ、壊れた存在の末路のみしか残されていないというのに。


◆幕間シーン 〜選ばれた王〜
「…ようやく見つけた。まさかそんな場所にあろうとはな、これは少しばかり盲点だったな」

機関本部星王殿。
その頂上、プロパーテルの間にて機関の真実を知ったクフィル達と同様に
ここ最下層に位置する最重要機密区にて資料を調べていたユリウスもまたある真実を知った。

それこそがユリウスが求めていた物であり、彼がこの機関本部へと来た“当初の目的”

「機関、などという存在などただの過去の遺物。
過去の栄光にしがみつき、過去の統治を現在も是とする愚かしい道化の組織。
そのような存在など利用する価値も相手にする価値もない」

それはユリウスが最初にクフィルと会った時に漏らした機関への感想。

そう、その言葉の全てが事実であり現在の機関の存在を正確に捉えた表現。
この覇道の道を往く覇者はあるいは最初から“気づいていたのだろう”
今の機関が神なき栄光を失いし、遺物であった事に。

「“これ”の居場所さえ掴めればもはやここに用は無い。
後はこの遺物(機関)と偽物の道を掲げる道化(クフィル)が潰しあえば
我が障害は同時に消える」

そう言い残し、ユリウスは覚えた資料を全て燃やし
ここにはまるで何の未練も無いように振り返り来た道を戻ろうとする。

それはまさに戦術的にも戦略的にも理に適い
恐らくここに存在する誰よりも“勝者”と呼べるに相応しい者であっただろう。

故に――。

“ぱちぱちぱちぱちぱちっ”

「………誰だ?」

それはユリウスが扉を出ようとした瞬間、その扉の向こうから現れる人影。

その人物を見た瞬間、ユリウスはこの冷静沈着にして
一度として表情を崩した事のない人物が
知らず手の内に冷や汗を流している事に気づいた。

そう、それほどまでに今、目の前に現れた人物の魂の格。
存在そのものの次元がユリウスが出会ったどの存在をも超越していたからだ。

「見事だ。ラヴァード帝国の第二皇子ユリウス=アーグスト=ラヴァード。
君は現在の機関の存在状況を正確に見抜き、そこにある世界を統べる力の居場所を手に入れ
己の障害となるであろうもう一人の王者と協力関係を築き、それを利用し
遺物である機関と潰し合いをさせ、その存在を同時に抹消しようとする手腕」

ユリウスは黙ってその人物の弁舌を聞く。
あるいはその存在に気圧され、この覇者が口を開くタイミングを失っていたのかもしれない。

「だが何よりも素晴らしいのは君のその魂の強さ。
王として過分無き素養と素質。己が目的、王となるためならば如何なる犠牲、手段も躊躇わず、
確実な結果を今日まで残し続けた。君の歩く覇道は曇りなき見事な覇王のそれだ」

それはユリウスという人物を正確に評した言葉であっただろう。
相手は上機嫌なままそこまで言い、やがて拍手を止めぱちんっと指を一つ鳴らす。

「Game Complete(ゲームコンプリート)。
おめでとう、君はこの“遊戯(ゲーム)”の最終試験の合格者だ」

そう言い、男はその仮面に包まれた顔をユリウスに向け、静かに頭を垂れ手を差し伸べる。

「君が新世界の王だ。ユリウス=アーグスト=ラヴァード」

 
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