第三十二章「天狼立つ」
GM:では次は幕間シーンに入りますのでよろしくです!
NPC同士の戦いという「ふーん」なシーンからいきます〜。

クフィル:wktk

◆幕間シーン 〜処刑人の定義〜

『がぎいいぃぃぃぃぃん!!!』

それは金属が重なり合う音。

常人からすれば、ただそれだけの音に過ぎないだろうが
戦場に立つ達人であれば。この音に秘められた無数の攻防、
一撃音にしか聞こえない音が秒数にして何十にも、重なりあった剣閃の音である事が
戦慄と共にすぐに理解できるであろう。

ライラ:(九頭竜閃ですねわかります)

「……チッ」

忌々しげに吐き捨て、距離を取るのは真紅のコートに身を包んだ美しい男。
その造形はまさに人の領分を越え、神の領域に近しい美貌であった。

「貴様の様な人間風情にここまで足止めされるとはな。
デミウルゴスに取って、これ以上の侮辱は無いぞ」

すでにその大鎌は無数の人間の命を奪い、英雄と呼ばれた男すら殺め
更には神の種族であるデミウルゴスの頂点に立つ者すら刈り取ったまさに呪われし鎌。
男が持つ血塗られた人生そのものを現していた。
血塗れ決して拭えぬ罪の形の武器を持つ男。

だが、その男の心にあるのはただ一つの曇り無き信義の忠心。
幾多の悪行、幾千の殺戮、幾万の悪名も全てその身一つに背負い
主が背負えないであろう闇を全て一身に背負う事で己が忠義の証とした男。

“処刑人”アーグスト=ミュラーはクフィルの為、眼前に立つ機関メンバーの一人を
この裏門の前にて何時間にもおよび退かせていた。

「正直、貴様の様な人間を見ていると不愉快この上ない。
あのレクトルとか言う人間もそうであったが…我らに支配されるべき種族の分際で
我らに比類する力を持ち、あまつさえ、その力を我らが神の為に捧げぬとは。
あのレクトルも我ら機関の一員として迎えられながら、それを裏切るとは愚か過ぎて理解が出来ぬ」

「………」

ミュラーは黙って、目の前の男の言葉を聞きながら観察をする。
すでに数度に渡る攻防の際に目の前の男が見せる不愉快そうな言動だけで理解できた。
今、目の前にいるこの男は、この世界において最も神人たる
デミウルゴスという種族に相応しい人物であるという事。

「そう考えれば、奴の死は当然の報いであったと言えような。
元より人間如きが我ら超越種たるデミウルゴスに並び立とうとする事自体が傲慢というものよ」

目の前にいる男はまさに、この世界を統べる神人としての価値観しか持ち合わせていない。
そこに人間に対する同情や哀れみ、ましてや対等と言った感覚は一切無い。
自らに劣る種族として、己が統べる種族。それ以外の価値を人間に見い出していない。
故に目の前の男はデミウルゴスとして正しきあるべき姿を体現し
それに相応しい実力を兼ね備えていた。

「さて、貴様に対する私の拝聴もここまでにしておいてやろう。
人間、貴様の実力はもはや把握した。確かに人間にしては随分とその領分を越えた力を持っている。
あのレクトルには一歩届かないが、それでもお前ほどの実力者は人間の中では
稀有と言っていいだろう。レグルス程度であれば真っ向の戦いであってもお前に勝機があるだろう」

続けながら言う男の言葉に対し、ミュラーは内心すでに己の手の内が
相手に看破された事実に僅かな動揺を覚えていた。

「だが、貴様は私に対しては戦術を誤ったな。
私を殺すつもりなら一撃で、それも私に気づかれる事無く
瞬時に正確に一息に最初の一撃で仕留めるべきであった。
“初撃暗殺”恐らくはそれが貴様の本来の戦い方だ」

その通りであった。
ミュラーは内心で男のその言葉に同意する。

本来“処刑人”であるミュラーの戦術はただ一つ。
相手に気づかれる事無く、一撃で相手を仕留める。
即ち首を落とし、即座にその場よりの離脱であった。

無論、これを行なうためにはそれ相応の実力が必要であり
相手が実力者であればあるほどミュラーもまた己の暗殺術を高め
気配遮断・先制行動・そして一撃必殺。これら三つを極めなければならなかった。

事実、上記の条件下であれば相手が誰であろうともミュラーに敵う者はいない。
その証明として、目の前のデミウルゴスよりも遥かに上位であり最高位でもあった
0ベテルギウスをミュラーは一撃で葬っている。

だが、今回それが出来なかった由縁は簡単である。
今回のミュラーの行動は暗殺ではなく扉の死守。
即ち、この神殿を敵の手から護る事。
暗殺では仕留められる人数は一人の上、このような戦場下ではそのような戦術を
活かす事は敵わず、故にミュラーは最初から姿を潜む事をやめ、
この門の前で主とその神殿を蹂躙する敵を相手に暗器である鎌を振るい続けた。
だからこそ、目の前のデミウルゴスと対峙した瞬間からミュラーは己の劣勢をすでに理解していた。

「………」

「フンッ、すでに私の言う事など理解していたか。
ますます気に入らんな、勝つ可能性も無い戦いに挑むなど愚かな選択に過ぎん」

「…それは違うな」

この戦闘において、初めて口を開いたミュラーに目の前のデミウルゴスは黙ってミュラーの返しを待つ。

「私は勝つために挑んでいるのではない。私は我が主人を護る為に戦っている」

「……ふんっ」

その言葉を聞きデミウルゴスは失笑した。

「だからこそお前達人間は不完全で脆弱で哀れな存在だ。
互いが互いを守りあった所でそれが何になる?
お前達は完璧に程遠いからこそ、そうやって互いの欠点、弱さを補完し合うが
そのような行為自体が、すでに偽善がましく愚かな行為。
いくら劣等種(人間)が寄り添おうとも完全種(デミウルゴス)には勝てぬ」

言いながら、目の前のデミウルゴスの気配が変化していく様子にミュラーは瞬時に気づいた。
異質なる空気と変質していく空間、そこから現れようとしている“何か”。
これは恐らく―――

「光栄に思うがいい、人間。我が星宝にて塵となる栄誉を貴様に与えよう。
最も…塵となるのは、この領土そのものかもしれないがな」

それは余りに魂を重圧する何か。
ミュラーは身に掛かる圧力を振り払うが、具現しつつあるそれに対して
彼の持つ本能が危険を告げる。あれを具現化させてはいけないと。

鎌を手にミュラーは己の身そのものを犠牲に目の前のデミウルゴスの行為を止める決意をする。
例え自分がここで死んでもフィル様が、そして、この地にいる者が護れるのであれば。

しかし、その刹那。
発動しようとしていたそれは瞬時に霧散する。

目の前の不可解な現象に僅かに動揺するミュラーであったが、再び構えを取る。
しかしそんなミュラーのことなどすでに眼中に無いように
目の前のデミウルゴスは最初はまるで何かに驚くように、
次いで忌々しげに吐き捨てるように言う。

「レグルスが、敗れただと…。それだけではなくシリウスの奴が…!
あの男ッ…何のつもりだッ!我が神より欠片を与えられた分際で裏切りとは…ッ!」

そう激情に駆られたかのような台詞を吐くデミウルゴスではあるが
そこには隙は一切存在せず未だミュラーは容易に攻撃できぬ状況であった。

「その上、アルタイルめ…勝手に戦場から離脱するとはどういうつもりだ…。
奴め、私闘に興じるか…機関を統べるオグドアスbフ一人としての責務を蔑ろにするとは…ッ」

言って、目の前のオグドアスの制服を着るデミウルゴスはその氷のような瞳をミュラーへと向ける。

「命拾いしたな、人間。どうやら我が同胞の一人が裏切りを働いたようだ。
先に奴を潰すと言う優先順位が上がった。まぁ、いずれ貴様らは一人残らず消滅する。
今、急いで消す必要もない。精々、生き延びている間に絶望に身を焦がしておけ」

そう言い残し、真紅のコートを羽織ったデミウルゴスはその身を消した。

それを確認しミュラーは残る敵の掃討に移る。
先程のデミウルゴスの言葉が確かなら一人はすでに倒され、一人はすでに撤退、
そして、もう一人は裏切りを働き、それを抹殺するために先程のデミウルゴスが向かった。
であれば、すでにこの地にオグドアスb持つデミウルゴスは一人もいない。

残る敵はブルーメ・ガイアスの二人と彼らに率いられた部隊。
そして恐らく、ブルーメはアスタロトと戦い彼女が倒しているとすれば
ガイアスの所へはあの男が…。
内心での正確な状況を整理したミュラーは己が主の為にその身を戦場へと駆り立てる。

「――フィル様」


◆幕間シーン終了

クフィル:よかったあぁあああああああ!!!!

GM:フィル「ふーん」
と言う事で次はクフィルさんのシーンです。

クフィル:し、死ななかったよーぅぃー!!!!

GM:そんな速攻殺すかよ(笑)


◆ミドルシーン4 〜天狼立つ〜
解せない―――。
先程のやり取り、それを思い出しても出てくる言葉はその一言に尽きなかった。

今やミシアン領地の領主たるクフィルは先程のやり取り…
オグドアス5“天狼”を名乗るデミウルゴス・シリウスとのやり取りを思い返す。

◆    ◆    ◆

意識が途絶えたのは恐らくはほんの一瞬、1秒か2秒にも満たない時間であっただろう。
だが、それでもフィルにとっては己の意識は消失は遥か長い時間にも感じられ
魂そのものがシャットダウンする程の圧力を受けていた。

それもそのはずだろう。先程のシリウスの攻撃。
否、シリウスの“行なった行為”はそれほどフィルの魂に負荷を与えるものであったのだから。

先程、シリウスはフィルに向け数百におよぶ光刃を放ったが、そのほとんどが牽制と言わんばかりに
君の周囲の地を貫き、逃げ場を塞ぎ、動きの停止した君の右肩に一本の光刃が刺さった。
だが、その剣がフィルの右肩に刺さると同時に消失し
フィルの周りに存在した無数の光刃も役割を果たしたかのように消失した。

後には光刃が貫いたフィルの右肩に刻まれたのは無数の剣をイメージした“呪印”。
そう、先程シリウスが放った星宝をフィルは“覚えさせられた”
宣告、欠片の一つである【漆黒の呪印(ベリル=ベリア)】を目覚めさせ
その戦闘の中でフィルは【紅蓮獅子(オリフラム・レオ)】をもその身に取り込んだ。
その満身創意の身体に向け、シリウスの有していた星宝の一つが更に刻まれた。
常人であれば、そのあまりの魂の負荷に身体も魂が砕けていたであろう事象にフィルは耐え抜いた。

GM(シリウス):「…どうやら、お前は【漆黒の呪印(ベリル=ベリア)】の
正統なる後継者として選ばれたようだな。喜ぶがいい」
シリウスは君の肩に刻まれた呪印と、君の魂の奥にある星宝の数を確認し続ける。

クフィル:「てめぇ…一体どういうつもりだよ…?」
既に立つことすら困難な状況で目の前の男に真意を問う。

GM(シリウス):「…お前が覚えたその星宝は我が友、
オグドアス4“千光刃”エルナトが有していた星宝。
千の光刃を生み出し、同時に操作するAランク最高位の星宝だ。
…だがその星宝を真に扱えるのは後にも先にも本来の持ち主であるエルナトを置いて他にはいない。
お前ではせいぜい100の刃、よくて200。私でさえ400程度の創生がやっとだからな」

星宝:【光刃の千突(エペ・ルーチェ)】 形状:武装型 ランク:A 取得D:自動取得 必要変化FP:1
タイミング:宣言 対象:単体〜複数 射程:視界
説明:数ある武装型Aランク星宝で最強に数えられる星宝の一つにして最多の武器を具現させる星宝。
千の光刃を瞬時に生み出すこの星宝は発動と同時に[1D100]個の光刃を出現させる。
(この光刃の限界保有数は100個までである)
使用者は命中判定の際、手元にある任意の数の光刃を敵に対し放てる。
この際、貴方の命中・攻撃に[+放った光刃の数]分の達成値を得る。
またこの時、[手元にある全ての光刃の数]を放った場合、貴方の命中は[絶対命中]へと変化する。
更に限界数である[100個全て]を放った際は[絶対命中]の攻撃値に[100(光刃の数)×2]の
達成値ボーナスを得る。
光刃を補充する場合は[メジャーアクション]を消費する事で[1D100]分補充し
[マイナーアクション]を消費することで[1D10]分補充する。(どちらもジャッジとして扱わない)
この光刃一つ一つの威力はランクC程の星宝であるが、その圧倒的数による破壊力は
並み居るAランク星宝を凌駕する。
本来この星宝はオグドアス4“千光刃”エルナトの星宝であり
このためこの星宝の本来の姿でもある千本におよぶ光刃の創生と制御は彼以外は
決して行なうことが出来ない。

GM:以上。取得しておいてくださいませ(笑)

クフィル:つっよ(笑)

アスタロト:ということはこれからさらなる強敵が出てくるんだな…。

この時のアスタロトの言葉はまさに予言として後に痛感される事となる。

GM(シリウス):「…オレがお前に我が友の星宝を覚えさせた理由は一つ。
後始末をさせるためだ」 端的にそう宣言する。

クフィル:「後始末だと…?それはどういう…」

GM(シリウス):「無論、それだけではない。お前には遊戯(ゲーム)の参加者として
主催者を退屈させてはならない義務がある。そう、主催者。我らが“神”の、な――」
そう呟きシリウスはその場より消え去る。

クフィル:貫かれた右肩を抑え、シリウスの消え去った方を眺める。

GM:やがて君は外から聞こえる音に意識を向ける。

窓から見るとそこに見えたのは――

◆    ◆    ◆

――アスタロト死亡よりおよそ数分前。

GM:倒れたブルーメは自身の出生を、レクトルの実弟である事を君に告げた。
「…アスタロト、何故僕があの夜、機関を裏切ったレクトルにあれほど激怒していたか分かりますか?」

アスタロト:「…いいえ」

GM:傷ついた身体を剣で支えながらブルーメはいつもとは違った口調で君へ問い
その返答を聞き、彼はほんの少しの笑みを洩らす。
「…嫉妬、だったんでしょうね。僕自身、あの時は分かりませんでしたが…。
アスタロト、貴方は知らないかもしれませんが
僕は貴方が始めて帝都に来た時から貴方を見ていたのですよ」

アスタロト:「そう…だったんですか」
過ぎ去りし日を思い返しながら、震える声で返答する。

GM(ブルーメ):「あの日は丁度、僕が始めて帝都に来た日でもありましたからね…
だからよく覚えています。それから何度か貴方を見かけました。
練習場や通路で、貴方は気づいてなかったでしょうけどね。
僕は貴方に対してどこか親近感を感じていたのでしょう。もともと僕は人に打ち解けるのが
得意ではないですし、同じように一人で常に励んでいる貴方の姿に惹かれていたんですよ」
自嘲気味にブルーメは笑う。
「密かに、ではありましたけどね…」

ライラ:(淡い恋心クルー)

GM(ブルーメ):「なぜ僕とそう年の変わらない貴方がそこまで懸命になれるのか。
しばらくしてその理由が判明しました。
貴方は…レクトル、僕の兄さんのためにあれほど懸命になっていたんですね…」
そこにはブルーメが抱いていた様々な感情が渦巻いていた。
偉大すぎる兄。それを目標とし近づこうとし、同時に嫉妬し忌避していた。
自分が七将王となっても兄はその上の統括。
自分が想いを寄せた相手すらその兄へと想いを寄せていた。
どうしようもない届かない距離、それがブルーメがレクトルに抱いていたもの。
一言では表せない感情であったのだろう。

アスタロト:「あなたは…」
言葉を整理しきれないほど溢れてくる感情。
ブルーメをこんなにも傷つけていたのだという思いが、胸をかきむしる。

GM(ブルーメ):「…最後に一つだけ、聞かせて下さい」
ブルーメは君を真っ直ぐ見て聞く、その瞳は先ほどまでとは違う。
「貴方は…今でも、レクトルを…愛しているのですか?」

アスタロト:「……はい、愛しています」
ゆっくりと、だが強く、うなずいた。

GM(ブルーメ):「そう、ですか…」
どこか振り切ったようにブルーメは納得する。

アスタロト:「ごめんなさい、でも、私は――あの方とナハトノーブルの誓いの契りを交わしました。
あの時の気持ちは、どうしても薄れる事はないと思います」

GM(ブルーメ):「…いいんですよ、逆に安心しました。
そこまで兄を愛してくれる人がいるなら、もう僕が兄を想い背負う必要もない。
僕は僕の道を歩かなければいけない」
それはかつてレクトルがブルーメ(クレイン)へと贈った言葉。

「…お前の命を奪う権利がオレにあると思うのか。
お前はお前の意志で生きてみせろ」

GM:そこには弟への自立。弟が自分の歩いた道をなぞるのではなく
自身の道を歩んで欲しいという願いが込められていた。
それにようやく、ブルーメは気づいたのだろう。
そして、君とブルーメの会話が終わりを告げると同時に、一陣の風と共に一人の来訪者が現れる。

「…久しいな、アスタロト」

そして、君は突如としてその生に幕を降ろされた。

◆    ◆    ◆

『がぎいいいぃぃぃぃん!!』

倒れ、すでに死したであろうアスタロトの姿を見るや否や
ブルーメ――クレインはその剣を目の前の男へと振るっていた。

「…まあ、お前の兄が裏切りを働いた時点でいつかはこうなるだろうと予期していた。
別段、驚きはしないぞ、クレイン」

そう冷静に告げるシリウスにブルーメは怒りを乗せた剣を放つ。

「春の華“春袖舞乱”!!」

それは無数の桜と同時にその枚数に等しき無数の斬撃。
だがシリウスはその無数を上回る数百の剣を生み出す。

「【光刃の千突(エペ・ルーチェ)】」

それは勝負にすらならない人の業と神の業(星宝)の違い。
ブルーメは満身創意の身体を再起不能なほど傷つけられ倒れる。

「…くッ…き、さま…ゆる…さ…ッ!」

血に塗れそれでもなお立ち上がるブルーメにシリウスは冷静な態度のまま告げる。

「ブルーメ。お前の怒りがオレには分からない。
我らデミウルゴスにはお前達のような凡俗な感情は無いからな。
…だが一つ教えておこう。これはアスタロトに取っての一つの試験、通らねばならない手順の一つ」

そのシリウスの宣言と同時にそれは起こった。

「喜べ、アスタロトは選ばれた。真に欠片の【真白の宝石(ルア=テリス)】の継承者として」

『こおおおおぉぉぉぉぉぉぉん!!!』

GM:それは純白の光。粒子と呼ぶべきか。
それがアスタロトの腕にあった【真白の宝石(ルア=テリス)】より放たれ彼女の体を包む。
そして秒にも満たない刹那の時間でアスタロトの身体は“作り変えられる”
傷が塞がる、心臓が再び鼓動する。否、そうではない――これは“戻っている”
アスタロトの身体が死する前、ブルーメと戦い傷を負い消耗するそれ以前に。
アスタロトの身体の時間の流れが戻り、アスタロトは死する前の肉体、自身へと回帰していた。

星宝:【真白の宝石(ルア=テリス)】 形態:現象型 ランク:測定不能EX
タイミング:宣言 対象:自身 射程:−
貴方は自身の体を数分前の状態に戻す事が出来る。即ち“時間回帰”を行使できる。
戦闘中、任意のタイミングで使用することによって、貴方は戦闘開始前の状態へと体が戻る。
(即ち、その戦闘中に使用したセイバーモードや使用回数のあるスキルなども再び使用前の状態に戻る)
例え心臓を貫かれ死したり、死の寸前にあってもこの星宝が発動すれば
その体は死する前の万全の状態に戻る。一シナリオ一回使用。

アスタロト:便利!(笑)

GM:すべからくHPMPは全回復でおkです(笑)
下手な攻撃系スキルより重宝するでしょう(笑)

クフィル:この能力はえぐい(笑)

GM:とりあえずは書き込みくださいませ〜。
ちなみに気づくとアスタロトは死んだはずなのに
現在、無事に立っている状態で、とてもびっくりだ。

アスタロト:「あれ…?これは一体…」とか言ってみよう。

GM(シリウス):「アスタロト。やはり真白の宝石はお前を真の継承者として選んだな」
君の星宝発動を見届けシリウスはゆっくり君へ近づく。
「これで最後の欠片【蒼穹の戦場(ソル=レイヴァー)】を除き
全ての欠片が完全に目覚めた事になる。後はお前達に対しオレが最後の準備を整えるのみだ」

アスタロト:「何故あなたはこんな事を…?」

GM(シリウス):「時期に分かる」
そのシリウスの発言と同時に君は腹部に痛みを感じる。
それはシリウスの放った拳であり、それを喰らい君はたまらず意識を失う。
そして、意識を失った君の身体を背負いシリウスは立ち上がり、倒れたブルーメに告げる。
「漆黒の呪印の持ち主クフィルとラヴァード帝国の第二皇子ユリウスに伝えろ。
アスタロトはオレが機関本部へと連れ去った。取り戻したくば本部まで直接来い、とな」

アスタロト:ぐえ(笑)

ライラ:(なんという急展開)

クフィル:ヒロインはいりましたー(笑)

GM:そうして背を向けるシリウスにブルーメは必死で手を伸ばそうとする。
「…それと、お前も来たければ来るがいい」
そう倒れたブルーメに最後の一言を告げ。シリウスはその場より姿を消した。

ブルーメ「……アス…タ…―――」
フィー「アスタロトーーーーーーー!!!!!!」(←台詞取られました)

クフィル:噴いた(爆笑)

アスタロト:フィー(笑)フィーの存在感半端無い(笑)

ライラ:何処から湧いて出たお前(笑)

GM(フィー):「ようやく敵倒して戻ってきたらこれ何?!どういうことー!説明してー!
ってかアタシの出番―――!!!」
ブルーメ「………(←死にかけ)」

クフィル:もうやだこの子(笑)


◆幕間シーン 〜眠れる機械の少女〜

「ライラたぁん…♪」

そんなおぞましい声が聞こえた。

ライラ:(!?)

GM(ユリウス):「おい。起きろ、機械娘」
君が機能を取り戻し、瞳を開けるとそこにいたのはユリウス。
さっきのは…幻聴だったのだろうか。汗など流さない君がその身に妙な悪寒を感じていた。

ライラ:「う……ん?」
とか言いながら、セルフチェックプログラムを走らせつつ起き上がるのです。
あと、今聞こえたおぞましい何かの主を捜索すべくあたりをぐるぐると見まわすのですが
誰も居ないんですかね。

GM:余裕で誰もいないぜ。
「よもやこんなところで機能を停止しているとはな。
だが、ここに来た敵の足止めを行なった事に関しては褒めておこう」
そんな君の不安など知るかという感じでユリウスは言っている。

ライラ:「……negative(いいえ)。私は奇妙な関西弁と交戦の末、敗れたはずです。
本当にあれは奥へ進んでいないのですか?」引き返したこと知らねーからな多分。

GM(ユリウス):「安心しろ。こちらには敵は一人も来ていない。何も敵を倒すだけが足止めではない。
機械娘、敵軍に乱れが生じはじめた。おそらくブルーメあたりが敗れ敵軍の戦意が崩れている。
お前はクフィルと合流し正門へと向かい残った敵を迎撃に向かえ」

ライラ:奥歯をかみしめつつ。
「wilco(了解、行動を開始します)。クフィル殿下とアスタロト様から何か連絡は入っていますか?」
と問い返しましょう。

GM(ユリウス):「先ほどクフィルには私が連絡を入れた。
奴はオグドアスの一人を倒し正門へ向かった。アスタロトについては…先ほどから連絡が途絶えている」
と彼は正確に状況を伝える。

クフィル:(殿下頑張ったよ!)

ライラ:「了解。そちらの様子も確認してきます。それでは」
小さく頭を下げて踵を返し、ぱたぱたと走って行こう
とりあえず、さっきのおぞましい台詞は保存して声紋分析かけておきます(´・ω・`)ノ

GM:了解(笑)では君が向かったのを確認しユリウスもまた静かに会議室へと戻り始める。
その表情はすでに何の疑いもなくただ勝利を確信した者の表情。

「これで、この戦は我らの勝利だ」

◆幕間シーン終了


アスタロト:(ユリウスごめん…星宝ごと機関に盗られました…)

GM(ユリウス):(気にするな。むしろそれでいい)

アスタロト:(なぬー!)

GM:ユリウスなら何しても「計画通り」で通しそうだ(笑)

ライラ:機関は大変なものを盗んでいきました。うちのヒロインです。


◆幕間シーン 〜狂気の獅子と忠義の義腕〜
「はーはっはっはっはっはっ!!!」

血。血飛沫。血溜まり。血肉。血瘴。返り血。
ありとあらゆる血がその戦場に降り注いでいた。

ガイアスは自らの部隊の陣頭に立ち、目の前に存在するおおよそ人の形を取る生物全てを薙ぎ払い
斬り捨て、喰らい尽くし蹂躙を行なっていた。
兵士は無論の事、女、子供、老人、そして振るった剣の先に味方が居ても
構わず振り下ろし斬り捨て殺す。そこにあるのは戦術も戦略も一切関係ない。ただ鏖殺の剣。
殺し合いを堪能したいという血塗れの凶漢の衝動のみ。
それがこの“戦場の獅子”ガイアス=ブレガーという男。

「…はぁん。それにしても、面白れぇな…」

ガイアスは先程、自らの眼前で起こった出来事に対してそう洩らした。
そう、先程ガイアスは側面の部隊を引きちぎり正門近くへと差し掛かった際に
真紅のコートの男に心臓を貫かれ、蘇ったアスタロトの姿と
その相手がブルーメに対し無数の光刃を放った姿を見ていた。

「くっくっくっ…面白ぇ、面白ぇなぁ!おいッ!」

誰に意見を求めているわけでもなくガイアスはそう叫ぶ。

「欠片…いや星宝って言ったか。あんなすげぇもんがあるなんてなぁ。
あれを手にしたらオレもますます殺しが楽しくなるし、もっと派手な戦場を作れるんじゃねぇかぁ?
くっくっくっ…たまんねぇな、想像するだけで身震いしちまうぜ…!」

すでにガイアスの興味はこの戦場でも天皇大帝に与えられた任務のどちらにも向いていなかった。
彼の中にあるのは更なる戦いへと渇望。そしてそれを実現できる為の手段と方法。

「…機関っつたか、そこに入ればあの星宝ってやつが手に入るって事か…」

ライラ:(噛ませの匂いを感じているのは僕だけ?)

GM(ガイアス):(「がおーー!!」)

「ガイアス様!側面の制圧完了しました!結界と共に壁を崩し内部への侵入も可能です!
すでにこの神殿は我らの包囲下にあります。すぐにでも内部の制圧に向かいましょう!」

報告する兵士の声にガイアスはまるで返答をしない。すでに彼の心も興味もこの場所には無いからだ。

「ガイアス様!急ぎ、我が軍を率いて内部の制圧を――」

「――るぇえんだよぉ!!」

『ごおんッッ!!!』

肉を抉り、骨を砕く音。次いで血飛沫と共に男の断末魔。
ガイアスの放った剣は兵士の頭から股にかけて綺麗に真っ二つに両断していた。

「人が考えている最中に話かけるんじゃねぇよ、ったく…」

呆れた風に剣を地面に刺すガイアスに、ふと聞き覚えのある男の声が響く。

「相変わらず貴様は騎士としての誇りもない狂犬のようだな、ガイアス」

「…あぁん?誰かと思ったら、無様に任務に失敗して行方不明になっていた騎士様じゃねぇかよぉ」

ガイアスが自らの眼前に現れた男、それはかつて同じ七将王の一人として肩を並べていた
“三腕剣”ガゼル=フォン=サレノス。
彼を前にガイアスは侮蔑の感情を隠す事無く放ち迎える。

「ユリウス殿下の処分に失敗したと思ったら
こんな辺鄙な場所で番犬に落ちているとはなぁ。
てめぇは自分は騎士道に生きるのどうのとほざいていたが
今のお前を見る限りそれも安っぽい犬の餌と変わらなかったらしいなぁ」

挑発的に言うガイアスに対しガゼルはあくまでもいつもの冷静な態度で対峙し、
その三本の腕に持った剣を構える。

「我が内にあるのは忠義の心、その騎士道精神は些かも曇ってはいない。
オレはオレの主、生涯付き従うと決めたあの御方の為にこの命を捧げる。
確かにこの二年間、オレの心はずっと空っぽの状態であっただろう。
唯一戦場で対等な相手を見つけ決闘を挑むことくらいにしか生きがいを見い出せずにいた」

それはガゼルがクフィルと言う好敵手を得たように、今までの彼にはそれくらいしか
戦いに対する意気込みを見出せずにいた。だが、今の彼、今ここにるガゼルは違う。
彼は本来の騎士としての矜持、そのあり方を取り戻しているのだから。

「だが、今は違う。今は我が心は我が内に戻り、捧げるべき剣と向けるべき敵を見間違えはしない。
“三腕剣”ガゼル=フォン=サレノス!我が主人キリエ様の為にこの剣を捧げる!!」

そして、狂気の獅子と忠義の義腕との激闘が繰り広げられる。
それは常人であれば近づくことさえ、不可能な激戦。両者の力は互角であり。
ガイアスの剣がガゼルの肉を削げば、ガゼルの剣がガイアスの身体を血に染める。
狂笑をあげるガイアスと曇りなき瞳で剣を振るうガゼル。
だが、両者の戦いは決着を迎えることはなかった。

それは地を揺らす震動と音。

「?!」

「あぁ?!なんだッ!」

『――――ぁぁぁぁぁぁ―――!!』

そして聞こえてくるのは、無数の軍勢の足音と彼らが上げる鬨の声。
この地、ミシアン領地の首都に迫るその軍勢が掲げる旗は―――ヴァーレンハイト王国の国旗。

「進めー!このまま包囲陣を敷いて帝国の兵を囲み殲滅せよー!
神殿内部にいるミシアン軍との連携が取れればラヴァード帝国の兵を挟撃できる!
我ら栄光あるヴァーレンハイト王国の為、我が兵達よ!その勇気を刃に乗せ振るえ!」

『おおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!!!』

それはヴァーレンハイトの軍勢を率いて現れた光輝五星の一人、リアンの姿。

「チィッ!なんだよ!これは!!話しが違うぞ!クソがぁッ!!」

背後より迫る軍勢とその声を聞き、ガイアスは渾身の一撃を放ち
ガゼルから距離を取り撤退の準備を行なう。

「撤退だ!このまま残って神殿内部の敵と後ろから来てる王国軍に包囲されたら一巻の終わりだ!
王国軍が合流する前に撤退するぞ!グズグズしている奴らはこのままここで死ね!」

言うが早いが如く、ガイアスと彼の周囲にいた兵は馬や軍用移動器に乗り速やかな撤退を行なう。
あのまま残っていれば自身の身が危ういとは言え不本意撤退を強いられたガイアスは
心の中で強く思い返す。

「たかが一個大隊が来た程度で戦況が変わるとはな…こんな程度の戦や殺し合いじゃ足りねぇ…。
あんなものを物ともしない力、一人で何万、何十万も殺しつくし戦局を左右する力が必要だ…ッ
そうじゃねぇと、オレ様の飢えは戦いに酔いしれる恍惚は得られねぇッ!」

決意を秘めるようにガイアスはその最後の言葉を呟く。

「…“星宝”なんとしても手に入れるぜぇ、機関さんよぉ…」

 
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