第二十九章「彼が見た世界の光景」
◆幕間シーン 〜彼が見た世界の光景〜
「…えへへ」

少し困ったような恥ずかしいような、そんな感情を込めてユニは目の前の人物を見て笑う。
つい先ほど、クフィルに呼ばれ彼女もこの中へと足を踏み入れた。

そしてファルナスは彼女と二人っきりで話しがあると言われ、クフィルは部屋へ向かい
今ユニは彼、ファルナスと二人っきりで向かい合っていた。

「…えっと…、久しぶり、でいいのかな」

「ああ、そうだね。久しぶりだね」

「うん…」

しばしの沈黙の後、言葉を紡ごうとしたユニを遮り、先にファルナスが問う。

「どうだい、世界は?」

「…うん。想像よりもすっごく綺麗で広いよ。もっとはやく見てみたかったって思うほどに」

「そうか。だけど、昔はもっと綺麗だったんだよ。世界に大地があった頃の風景を君に見せたかった」
そんなファルナスの言葉にユニは笑って答える。

静かな時が流れ、ファルナスはイスに座り静かに胸の内にあった想い、その言葉を吐く。

「――ごめんね」

「べ、別に謝ることじゃないよ〜」

「君にとってはそうかもしれない。だけど、伝えたかった。ごめん、と」
そう言いファルナスはユニを見る。

ファルナス「彼、クフィルとの旅は楽しいかい」

「――うん!」

それは屈託ない笑顔。それを見てファルナスは心が洗われた
そう、それは彼がよく知る笑顔であったから。

「そうか――」

「――良かったよ」

―――――――――――――――

翌日。

ミシアン領地に泊まった君達に信じられない報告が放たれた。

それはミシアン領主シャマリーからの発言。
それはあまりに受け入れがたい事実の報告。


「ミシアン領地の領主ファルナス様が―――崩御、されました」


“彼”は夢を見る。

幾年。幾百。幾千年振りの夢であったろうか。

それはかつての自分の過ち。
見過ごした故に犯した罪の数々。
決断を出来なかった日々、影として過ごしたあの時間。

“彼”は夢の中で思う。

ああ、それでも自分は、この世界と出会ったきた全ての人が―――好きだと言う事を。

◆幕間シーン終了

クフィル:気になる所で切れやがった(笑)

ライラ:ビッグネームどんどん死ぬよ!どんどん死ぬよ!

アスタロト:いやじゃああファルナス死ぬのいやじゃあああ

GM:容赦なく死ぬよ!!

クフィル:いやじゃあああああああああああああ

アスタロト:いやじゃああああああああ

ライラ:いやじゃああああああ

GM:死のオンパレードだよ!!

ライラ:つもるはなしもあったのに…(´・ω・`)

GM:次は主役かな……(ぇ)

クフィル:あ、それはどうでもいいや(ぁ


◆ミドルシーン2 〜彼を継ぐ者〜
ミシアン領地の領主ファルナスの崩御。

それは200年以上続いたミシアン領地の終焉を意味し、一つの時代の終わりを告げていた。

これまでミシアンの地が存続できたのは全てファルナスという
たった一人の神人の統治、その力によるものであった。
事実、神である星王イシュタルすら、ファルナスの力に恐れを抱き、
この地への侵攻だけは今まで行なわずにいた。

だが、その歴史は今日、この日を持って終焉を迎えた。


―――神殿最深部・領主の間―――


GM:そこでは君達全員が集められ、領主ファルナスの片腕でもあるシャマリーという女性が
立ち会っていた。
そして君達の前に、昨日と寸分違わぬ姿で、玉座に座るように眠っている一人の男性の姿があった。
わずかに微笑みを浮べ眠るように座っている彼は、得てしてこの世ならざる幻想的な存在に見えた。
だがしかし、はっきりと解る。目の前に座る彼…ファルナスからは命の脈動が全く感じられない事を。
ミシアン領主は眠るように、玉座にて崩御し、その天寿を全うしていた。

クフィル:「……ファルナス」

GM:君達全員が目の間の人物の死を理解したのを、確認し真紅のコートを着たシャマリーが告げる。
「…ファルナス様はご覧の通り、亡くなられました。おそらく今朝か、昨夜のうちに亡くなられたかと。
しかし、今はファルナス様の死因よりももっと大事な事を貴方達に伝えなければなりません」
言ってシャマリーは手に持っていた手紙をクフィルへと差し出す。
それはファルナスが書き記した手紙であり、恐らくは遺書。
こうなる事を予測してファルナスが最後に書き示した物であろう。
「あの御方…我が主より最後のお言葉がここに記されております。どうぞ、お受け取り下さい」

クフィル:「あぁ、ありがとう」
受け取って、その手紙を読もう。

そこに書かれていた文章はこうであった。

「クフィル。恐らく、君がこれを読んでいる頃、私はすでに崩御した後であろう。
私の死を君や君達が悼む事はない。私はすでに何千年という時の流れを生き続けた者であり
ここまで生きてこられただけで十分であったから。
ただ、君達と協力し君達が創り出す未来を見れないのが少し心残りではあるが…。

そして、死した私が君達に残せる物は一つしかない。
この地をミシアンの地を、この地の住人全てを君に託したい、クフィル。
君がこの地の王となり、彼らを導いて欲しい。
無論、これを受けるかどうかは君の判断に任せる。
君がより相応しいと思う者がいるのならば、その人物に任せても構わない。

最後まで重荷を背負わせるようですまない。
願わくば君と君達が歩む未来が過去に捕らわれたものではなく未来へと続く道標となる事を祈っている
よ。

――ファルナス」

GM:そう手紙は書き記され、それは君達全員が目を通す事となる。

ライラ:殿下の後ろで伸びあがって中身覗きこんでます(´・ω・`)ノ

アスタロト:爪先立ちして覗き込みます

GM:負けじとフィーも背伸びする。

クフィル:「…ファルナス…ッ!」
嗚呼、是ほど人を愛し、世界の為に生きた男が居たのだろうか。
数千年、途方も無く永い、永遠とも言える時間。
その想いに、彼の魂に報いたい。心から、そう思った。

GM(シャマリー):「…如何なさいますか、クフィル様。
我々は全て、貴方様の判断に従います」
君の目の前にはシャマリーだけではなく、ファルナスの人望に惹かれその臣下となった者達が
君の判断を待っている。彼らの瞳に一点の曇りも汚れもない。

クフィル:「俺は…」

「俺は、デミウルゴスでも英雄でも何でもねぇ」

「ただ自分の夢を叶えたいから、皆が笑って暮らせる世界を作りたいから戦ってる」

「ファルナス、それはきっとアンタが一番望んだ世界なんだろう?」

「だから、俺はアンタに誓おう」

剣を両手で掲げ上げ、ファルナスへと宣誓する。

「俺は強くなる、今居る人々を護るだけではなく。今の世を作った過去の人間の、これから生まれ来る命
のためにも」

「だから、アンタの魂も俺の魂と共に在れッ!!」

「アンタが見た夢を俺が叶えてやるからッ!!!」

「俺と共に『生きろ』ッ!!!」

GM:君のその発言にこの場にいた全員が君の宣告へと膝をおり
その顔を上げ、君への忠誠を体現する。

だが―――

「待て」

ただ一人、その男が君に異を唱えた。

「クフィル、貴様にこの地の統治などは分不相応だ」

ラヴァード帝国第二皇子ユリウスが。

「私に譲れ、この地の統治を。
貴様のような甘い考えでは真に国を導くことなど出来ぬ」

それははっきりと。だが確信に満ちた断言をユリウスはした。
その揺ぎ無い言葉の中には絶対的な自信と己がこの地を統べるに相応しいという確信が詰まっていた。

クフィル:「…ユリウス…」

GM(ユリウス):「クフィル。貴様の宣告には確かに心を打つものがある。
だがそれだけだ。心や感情に酔っただけでは国の統治は成り立たん。
貴様の言葉に酔って従う兵や民も、それでは短命に過ぎぬ」
ユリウスはあくまでも君の宣告。王道を否定し、自身への統治へ譲るよう宣告してくる。

アスタロト:異を唱えたいのですが、ユリウスの覇気に負けて
フィルの方を頼るように見つめます。

ライラ:何を言っているんだろうこのスットコドッコイはと思ってますが
自分が出る幕ではないなぁと思ったので何食わぬ顔をしてます。

GM:ライラたん(笑) 人を護る機能がなかったら、今頃ユリウスを盾でフッ飛ばしてそうだ(笑)

ライラ:だってクフィルに託すってめっちゃ書いてあるやん(笑)みたいな。

GM(ユリウス):(「んなものは知らん」)

クフィル:「…確かにそうかもしんねぇな。お前の言葉は正しいよ」
確かに国を治めるという点では己はユリウスに適わないだろう。
「正直俺はお前みたいに頭が良くもねぇし。帝王学?とかもそんなに興味ねぇ。
俺は皆に助けて貰わねば、王になんてなれないだろうよ。
だけど俺はそれでもいいんじゃないかって思ってる」

GM(ユリウス):「……」
ただ黙り君の答えを聞き…やがて、ため息を混じり返す。
「…民に足元を支えられねば立てぬ王など、王ではない」

クフィル:「王とは唯一人では王足り得ない」
真っ向からユリウスの目を見て言葉を返す。
「王とは…王を慕い、支えてくれる民が居て初めて王足り得るんだ」

GM(ユリウス):「それは民がいなければ王として確立できない者の言葉。
王とは例え孤高であろうとも王だ。それは王の器、誇りを持っているからこそ王。
民とはそんな王につき従う者。慕われ、支えられねば王となれぬ者など民の虚像としての王だ」
それは互いに相容れぬ道。両者が抱く王の定義ゆえの摩擦。
互いに王であろうとするならば、譲れぬ道としての問答。
そう、この地でどちらかが王となるなら、それは片方はその道に屈する事を意味するのだから。

クフィル:そして両者ひく気が無さ過ぎるだろ(笑)

GM:一方その頃、フィーは葬式ムードの神殿内にあせあせしながら迷子になっていた(一同笑)

クフィル:いちいちかわいいんだよバカ(笑)てかさっきまで一緒に居ただろう(笑)

アスタロト:きっとトイレにでも行ってたんだよ(笑)

GM(ユリウス):「フンッ、このままでは平行線だな…」
君の考えを読み取ってか、ユリウスはそう言う。

クフィル:「こればっかりは似た者同士だから仕方ねぇな」

GM(ユリウス):「ならば、クフィル。この地の王としてはお前が立つがいい。
ただし事、軍事・戦術・戦略など、この国に関する政略等の指揮は私にも一任させてろ。
無論、私の戦時となれば、お前は私の作戦に従ってもらうぞ、クフィル」

ライラ:(意訳:お前飾りな!)

アスタロト:(ジャ○アン…ユリウス心臓太いよ(笑))

ライラ:(きっと彼の神経には縄文杉が根を張ってる)

アスタロト:(「お前の国は俺の国。だが、俺は国を追い出された」)

GM:(だから追い出されたのか)

クフィル:「まぁそれが民の為になるなら当然だろ?」
つっても全部お前の言う事聞くのは癪だからな。俺も俺なりに行動させて貰うさ」
共に民を想い道を同じくするのであれば悪くない。

GM(ユリウス):「フンッ、とりあずは私もお前も当面はそれで形だけは納得だろう。
まぁ、私とお前の道は決して交わらない。いずれは決着を着けるべきだろうが
今は先に機関を潰す事が共通の目的であるからな」

クフィル:「俺とお前が揃えば怖いモンなんてねーよ」
ユリウスを見て不適に笑う。

GM(ユリウス):「言っていろ」
あくまでいつもの冷めた態度のまま、そう宣言。
そうしてクフィルとユリウスの問答にも一決着が着いたかと思われたその瞬間――

『どごおおおおおおおおおおおぉぉぉぉん!!!』

GM:それはこの神殿を揺らす轟音と爆音、そして振動。

ライラ:警戒態勢。傍らにいた誰かを押し倒して床に伏せさせ、亀の子みたく背負ってた盾を構えながら
「その場に伏せて!」と叫びます

クフィル:(「グェ」)

ライラ:(でも身長的に彼女くらいでないと押し倒せないけどね!)

GM:ぱらぱらとこの最深部にも天上から落ちた破片が飛び散るが
見たところこの神殿には結界が張られていた様子で内部へのダメージはそれほどではなかったようだ。

クフィル:「さて、征くか」
背中に愛剣を背負い歩き出そう。
「ユリウス」唯一言、それで通じるだろう?

GM(ユリウス):「先ほども言ったが…」
すでに歩き始めたユリウスは君に顔を向ける事無く宣言する。
「私の指示には従ってもらうぞ」

クフィル:「やれやれ、うちのお姫様は本当に可愛くねーのなぁ」
ユリウスのキツイ言葉にも慣れた。こちらも皮肉で返そうか(笑)

アスタロト:「行きましょう」
フィーの方を向いて、そう声をかけてみます

GM(フィー):「ええ、もちろんよ(……ぜーはーぜーはー)」
銃を構え、彼女も凛と答える。

クフィル:迷ってた(笑)凛としてねぇ(爆笑)

GM(フィー):(「私はポーカーフェイスなのよー!!」)

ライラ:(「これは嘘をついてる味」←舐めた)

GM(フィー):(「な、な、なにするのよー!!」)

そして、彼らはそれぞれ武器を手に向かう。

そう、今まさに領主ファルナスを亡くしたこのミシアンの地にて
かつてない絶望的な戦いが幕を上げようとしていた。

だがそれは同時に、王者と覇者。
二人の王が共に協力し合った最初で最後の壮絶なる歴史戦でもあった。


◆GMシーン 〜絶対の差。絶対なる絶望。絶対たる忠誠〜
それは予想外の敵の軍勢。
ミシアン領地の首都にある神殿の最上層から見えるのはミシアン領地のほぼ全貌。

そしてこの首都を囲むように数万の軍勢がそこに集結していた。
軍勢が掲げる国旗は帝国、ラヴァード帝国の紋章。
そして、そこに集うは――

「よぉ、ブルーメ。オレ達はレトの丘の加勢じゃなく
こんな辺鄙な領地の制圧で本当にいいのかよぉ?」

「ガイアス、これは天皇大帝様からのご命令です。僕と貴方、そして“彼”に与えられた任務は
このミシアンの地の制圧。それを邪魔するものは皆殺しにしろとの命令。
よもやこの期に及んで不服とは言わないでしょう?」

それは帝国最強の騎士“七将王”のうちの二人。
“四季の華”と謳われるブルーメと“戦場の獅子”と恐れられるガイアス。

「はっ、まぁオレ様は暴れられるならどこでもいいがよぉ」

「…では、僕は正門を崩しに行きます。貴方は側面に配置されている騎士団を食いちぎり
神殿側面を襲ってください」

「ああ、いいぜ。それよりも、オレ達と来た“あいつ”はどうしたんだよぉ?」

「…“彼”の得意分野は貴方も知っているでしょう。ガイアス」

どこか皮肉交じりにブルーメはこの地に来た三人目の将の任務を告げる。

「暗殺、ですよ」

◆    ◆    ◆

神殿すぐ傍にある樹の上に彼は立っていた。
眼前に見えるはミシアン首都の護りの要、ファルナスの神殿。

彼は手に持った鎌を振るい、結界が唯一綻んでいたその場所を切り裂いた。
彼は、まるで“そこが最初から綻んでいたのを知っていた”かのように正確に結界の綻びを裂いた。
神殿に入った彼は自らの後ろに控える数百の精鋭達を見渡し、頷くように静かに宣言を行なう。

「行くぞ、我らの目的はただ一つ―――ヴァーレンハイトの皇子・クフィルだ」

クフィル:あ、俺の方なんだ(笑)

アスタロト:諦めてユリウスを差し出そうと思ってたのに…。

クフィル:ちょ、アスト黒い(笑)

その人物――“処刑人”の異名を持つ七将王アーグスト=ミュラーは神殿内部へと侵入を果たす。

◆    ◆    ◆

そして、それはまさに絶望の上塗り。

数万の軍勢。三人の七将王。だが敵はそれだけではなかった。

この地に辿りついたその“四人”。真紅のコートを身に纏う彼らは宣言する。

「もはや、これまでだ。奴らに逃げ場はない。
いかに最強のフラグメント・ファルナスと言えどもこの状況を切り抜ける事は不可能」

「ん〜…せやけど、妙やな。ファルナスの気配がさっきから全然せんでー」

『無駄な雑談はいい。我らの目的は欠片の継承者、およびそれに関わる全ての者達の抹殺』

「…………」

四者四様にそれぞれの胸の内と、この場における状況についての一言と反応を現す。

一人はこの圧倒的戦力の差と状況に勝利と任務の達成を確信し
デミウルゴスとしての傲慢を口にし、むしろ、それこそが己の誇りであるかのように告げ
一方の奇妙な言語を使うその人物は眼前の状況より、その先の内面
本来ここにいるはずの強大な存在を感知出来ない事に疑問符を浮かべる。
そして、その隣りから声を掛けた人物は、神よりの命を忠実に果たすべく
ここへ来た目的を他の同胞へと改めて声をかける。
残った最後の一人をそれを受け止めてなのか、ただ沈黙を護ったまま、眼前の神殿を眺めていた。

「…まぁ、状況についてあれこれ言ってもしゃーないな。ここまで来た以上、ワイはワイの目的を
果たすまでや。言っとくけど、ワイの獲物に手を出したらお前らとて容赦せんでー」

「それはこちらの台詞だ。くれぐれも私の邪魔をするなよ、アルタイル」

『ふっ、貴殿らは相変わらずよ。では我も機関よりの命を果たすため
まずは欠片の継承者を探すとしよう』

そう言い三人の真紅のデミウルゴス達は眼前に張り巡らされた結界をものともせず
神殿内部へと入り込む。

そうして三人が入り込んだ後、最後に残ったオグドアス4シリウスは
静かに、その場から動く事無く現状を見つめていた。

まるで何かを期待するかのように――。
この場における戦いの展開を眺めるかのように、ただ静かに月夜の景色と共に佇ずんでいた。


◆ミドルシーン3 〜ミシアン会戦・邂逅する因果〜
GM(ユリウス):「どうやら敵はラヴァード帝国数万の兵とブルーメ、ガイアスの隊。
それにおそらく処刑人ミュラーも来ている」
現状の報告を兵から聞いたユリウスは作戦会議室にて、そう簡潔に君達へ宣言する。

クフィル:「ミュラーか…」

GM(ユリウス):「対してこちらの兵はファルナスが抱えていた精鋭が数千。
数の上では論ずるに足りぬ。これだけならば、まだ打開策がいくつかあったが……」
と、ユリウスは会議室にいるシャマリーを見る。
「デミウルゴスの女。さっきの発言は本当か?」
それに対してシャマリーは事務的な口調のまま事実を告げる。
「ああ、たった今、この地に機関メンバー、それもオグドアスb持つ者が四人来訪した。
奴らの目的は言わずとも解るだろう」

それはまさに絶対的戦力差の告知。
たとえ、ファルナスが存命していたとして、この状況を覆せただろうかと思える状況。
だが、その発言を受けてもユリウスは変わらずいつもの冷静な態度でいた。

GM(ユリウス):「そうか。では時間も無い。全員私の指示に従ってもらう」
この状況下でユリウスはいつもの口調のまま、そう宣言する。

クフィル:「今回はお前の策次第で勝負が決まるな」
クフィルもいつもと変わらぬ笑みを浮かべ答える。

GM(ユリウス):「…フンッ、まずクフィル。お前には神殿内部のこの通路の防衛にあたれ」
そこは正門とも裏門とも離れた場所に繋がる通路の一角。
このような状況下でここを護るのに何の意味があるのか、そう思える場所であった。

クフィル:「任せな」
コイツが護れというのならば護らなくてはいけない箇所なのだろう。
「ユリウス、お前を信じる」

GM(ユリウス):「…ほぅ、迷わず私を信じるか」
君のその発言には思わず顔を向けるユリウスであったが、すぐさま視線を外し
「…そこに来る敵はお前でなら止められる。任せる」
といつもの口調のまま、端的にそう告げた。
「次にアスタロト。お前は軍勢の半数を引き連れて正門へ迎え。
正門が崩されれば軍勢は一気にここへなだれ込む。死力を尽くして正門を守り抜け」

アスタロト:「了解しました・・・全力を尽くします」

GM:君のその返答に頷き、続いてユリウスはライラを見る。
「次にそこのマシーナリー。お前にはこの神殿中央通路の防衛にあたってもらう。
お前が相手にするは帝国軍ではない。ここへ真っ直ぐ向かってくるであろうオグドアスbセ」

ライラ:「了解しました」
短く答えてとたとたと走っていきます。

GM(ユリウス):「残るシャマリーと他の精鋭はこれから私が指示する持ち場へと着け。
また各自の連絡をスムーズにするためにそれぞれ通信機器を保有する事。
私からも作戦変更があれば随時連絡を入れる」
と、ユリウスはクフィルとアスタロトにシャマリーが持っていた通信機器を渡させる。

ライラ:あっ、移動してしまった(´・ω・`)

クフィル:大丈夫、マシーナリーだもの(笑)

GM:そうそう、ライラたんは通信機器なんて常時装備だよ(笑)

アスタロト:その場のメンバーに敬礼をして退室します。

クフィル:「ユリウス、シャナリーさん、皆。俺は難しいことは言えねぇ。
だから、俺は行動で示す。だから信じてくれ。彼がこの地を託した俺達を」

GM:君のその言葉にシャマリー他、この場にいた全員が君を見て頷く。またユリウスも
「…精々、健闘を祈ろう。お前たち一人一人の活躍にこの地の命運がかかっているからな」
と彼なりの声をかける。

クフィル:「ンじゃあ、クフィル=フォン=アレキサンドロス…征くぜ」

◆    ◆    ◆

クフィルが走り出し、残ったメンバー、シャマリー達も移動し
この会議室にユリウスとユニだけが残り、ユリウスは宣言する。

「では我らも向かうぞ、飛空艇に」

「…え?」

そんなユリウスの発言に一瞬きょとんとするユニだが、理由を問う。

「飛空艇に、なにかあるんですか?」

「ああ、この戦局を挽回するのにに欠かせない最後の戦力がな」

言いながら二人は飛空艇へと向かう。

「私の予測が正しければもうじき、戦力的には均等は取れる。
だが完全に拮抗させるためにはどうしても奴の戦力が必要。
そのためには…“ラヴァード帝国第一皇女キリエ”の力が必要だ。分かるな?」

「………」

ユリウスの言葉をただ黙って受け取り、二人は飛空艇内部のその場所へ向かう。
それは監禁室。ただし鍵はかかっておらず、ここに居る者は己の意志でここに入り
以後出ようとしなかった者、即ち――

「“三腕刃”ガゼル=フォン=サレノス。お前の力が必要だ、立て」

ユリウスは目の前で座るその騎士にそう宣告する。だが……。

「…ユリウス様、知っているはずですよ。私は騎士。忠義を掲げる方はただ一人。
その方の為だけに剣を振るう。生憎、貴方が帝国の第二皇子だったとは言え従えません」

言ってちらりと、ガゼルはユリウスの隣りにいるユニを見る。

「ましてや、今そこに居る少女は――」

「ガゼル」

それは凛とした魂に響く声。
ガゼルはそれを聞いた瞬間、己が耳を疑い、思わず彼女を見上げる。

「貴様は何をしている。今の危機を知らぬのか。忠義を掲げた私の命にも従えぬと言うのか」

真っ直ぐな瞳。迷い無き澄んだ王の瞳。
その瞬間ガゼルは歓喜と同時に、忘れていた忠義の心を振るわせた。

「ガゼル。帝国の第一皇女キリエがお前に命ずる。
この危機を覆すために私と我が兄上の策に従い、敵を討て」

「――イエス、ユアハイネス」

ガゼルは立ち上がり、その背に第三の腕を生み出し、それぞれに己が愛剣を生み出す。
そう、今ここにいるのは一人の王女に仕える騎士の鏡。
帝国にてその名を知られた七将王の一人“三腕刃”ガゼル=フォン=サレノスであった。

 
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