第十二章「崩れゆく星王殿」
GM:一方、ミシアン首都、ファルナスの神殿の最深部にて。
ミシュラとポルクスの前にいたファルナスが前回の事とこれからの事について話していた。
「ミシュラ君。実は先日の襲撃の時、私とエルナト君が中央の通路に向かったのだが
そこに現れたのはオグドアス5のシリウスというデミウルゴスだった。
エルナト君は彼の相手は自分がすると言って、私はガーディ君の危機を感じてその場を離れた。
だが、私が戻った時には二人の姿が消えていた。
どういう過程があったのかは分からないが、エルナト君は機関本部へ行ったか…
あるいは殺された可能性がある。それを伝えておきたかった」

ミシュラ:シリウス…ルナっちの上官だったか。あまり話はした事が無いが、
かなりの手練だという話は良く耳にしていた。しかし…
「エルっちは負けないよ。きっと機関本部に、何か考えがあって行ったんだと思う」
エルナトの『人間になりたい』という望みを口にした時の表情を思い出しながら、そう答える。

GM(ファルナス):「そうか…。だが現状、ガーディ君が星王殿に行けない事を考えると
今、星王殿に行けるのは君達とルナ君だけになる。
残念だが、私がここを離れるわけにはいかないのでな…」

ミシュラ:がっちーの傷。もう、彼に頼る事は出来ない。
ファルナスの言葉に頷きを返しつつ言う。
「大丈夫、ファルさんは心配しないで!僕達だけでもへっちゃらさ」
心配をかけないよう、明るく笑いかけよう。

GM(ファルナス):「そうか…。だけど、これだけでも君達の役に立つ事を祈るよ」
そう言って彼は君の手を取る。
その瞬間、ファルナスの中にある太古からの大いなる力、魂の脈動がミシュラの身体、魂を駆け巡る。

ミシュラ:「…!これは…」

GM:それは温かで君の中にある力を極限まで高める加護。
 
《ファルナスの加護》 タイミング:本文 対象:自身 射程:−
貴方が[戦闘不能状態]となった時に発動可能。
即座に生命力・精神力を全回復させ、復活する。
この時に貴方は自動的にセイバーモードとして復活もする(このセイバーモードはカウントに数えない)
更に貴方の全ての戦闘能力値を2倍として、戦闘終了時までこの効果を持続させても良い。
(セイバーモードも戦闘終了まで持続させても良い)
 
GM:一度しか使えないのでご注意を(笑)

ルナ:さすがファルナス。太っ腹な上に超強力。

ミシュラ:ファルナスの父性にゆったりと包まれていく感覚。
この力を分けてくれた彼の期待に応え、自分の成すべき事を成すために―――
決意を新たに、ファルナスに微笑みを返す。
「ありがとうファルさん。僕、きっとやり遂げてみせるよ」

GM(ファルナス):「これくらいしか君達の協力はできないけど…今からルナ君にも渡しておくとするよ」

ミシュラ:(下手なところで死ねない。いや、下手なところじゃなくても死なないけどねっ!)

GM:君のお礼を胸に受け、ファルナスは優しく微笑み、この場を後にする。
「さすがはかつてこの世界に存在した神の種族フラグメントってやつだよなー。
まあ、あいつが特別なだけかもしれねーけど」
ファルナスが去った後でポルクスはいつもの口調でそう君に話しかける。

ミシュラ:「かつての種族、か…」
少しの間考え込んでから、ぽつりと言う。
「ファルさん、自分がこの世界に残った最後のフラグメントだって言ってた。
自分しかこの世界に居なくて、同じ種族が居ないって…どんな気持ちなんだろう」
それはきっと、とても寂しく 満たされないものである筈だ。

GM(ポルクス):「さあな、あいつの場合神話の時代から生きているから
もっと深いものを抱えてるかもしれねーな。
…けどまあ、一人だけ世界に残る気持ちは少しだけ分かるかもしれねーな」
今までと違い少し憂いを込めてポルクスは言う

ミシュラ:そんなポルクスの様子を少しだけ意外に思い
そして、また少しだけ安堵を覚えた。
自分から見れば感情が十分存在するように思える彼女もまた、
人間に戻りたいという願いを持っているのだろうか…?

GM(ポルクス):「そう言えば、お前に話したことなっかったな、オレがデミウルゴスになった時の事。
いい機会だし、教えておいてやるよ」

ミシュラ:居住まいを正し、耳を傾ける。

GM(ポルクス):「オレがデミウルゴスになったのが1年前ってのは知ってるよな」

ミシュラ:「知ってるよ。酷い目にあった」
少々憮然としつつそう返す。

GM(ポルクス):「はは、あん時は悪かったよ。けどオレも暴れなきゃ色々と気がすまなかったんだよ」

ミシュラ:「デミウルゴスになる時に、何かあったの?」

GM(ポルクス):「オレはこの大陸の4割を支配するラヴァード帝国の貴族家庭に生まれたんだよ。
こう見えて結構いいところのお嬢様だったんだぜ」

ミシュラ:ポルクスの口から、彼女自身の事をお嬢様と称する言葉が出てきた事が
たまらなく面白く感じられる。
口がひくひくしている気がするが、バレていないだろうか。真面目な話の途中だ、笑ってはいけない。
「…続けて」

GM(ポルクス):「…なに笑ってんだ、お前。まあ、いいけど…。
で1年前に機関による星蝕計画再開のためのテストのために
オレのいた領土が丸ごと星蝕に飲み込まれた。オレ以外、家族も全員星蝕に飲まれて消滅したよ。
機関からすれば星蝕の復活が目前まで迫ったいい結果報告を得た上に
オレというデミウルゴスも得た二重に行幸だったらしい」

ミシュラ:「そんな…!」
それじゃあ、機関がポルクスの家族や故郷を奪ったという事じゃないか。
「そんな事があったなんて…」
自分は、良い事をやってきていたと信じて数百年やってきていた。
なんて愚かしい。自分の所属していた機関の蛮行を知らずにのうのうと生きていたとは。

GM(ポルクス):「普通はデミウルゴスになった際はこういう人間だった頃の記憶なんてなくなるもんだ。
けど、オレの魂だけはデミウルゴスとなっても家族や故郷が消えたその瞬間の記憶だけは
覚えてるんだよ。自分の名前や家族の顔なんかは思い出せないのによ」
言ってしかし、ポルクスは自分が真に憤慨しているのはそこではないと付け加え続ける。 
「けど、オレが機関や神に反逆するのは故郷や家族を奪われたからじゃねぇよ。
“何も無いからだ”。オレは確かに家族を奪われた、その記憶が残っている。
それほど人間だった最後の瞬間、強い憎悪や感情があったんだ。
なのに、今のオレにはその時の感情の欠片もない。何も感じないんだ」

ミシュラ:故郷を 家族を消された時の事を記憶している…それ程の出来事だったと言う事だろう。
彼女も又、感情を奪われた事を悔やむ友人達と同じように機関によって苦しめられていた【人】だった。
「…ポルっち」
改めて彼女の顔をまっすぐ見つめて言う。

GM(ポルクス):「ただ、「そんな事があったな」って程度に過ぎない。
だからオレが神に挑むのは家族の復讐とかじゃなく、オレを空っぽにした報いを与えたいだけだ。
傲慢な神をその傲慢な椅子から引きずり下ろして笑って見てやりたい。ただそれだけだ」
言いながら彼女は自嘲気味に肩をすくめ言う。
「まあ正直、カストルとかみたいに感情や記憶が全部なくなってれば楽だったろうな。
オレみたいに人間の時の記憶があると、こんな半端な奴にしかなれねーしな」

ミシュラ:そうかも知れないねと返し、微笑む。
「ポルっち」そして続ける。
「生きて帰ってこよう。辛い戦いになるかも知れない。
勝てないと諦めてしまう事もあるかも知れない。
でも、生きる事だけは諦めずに、皆でこの場所に帰ってこよう。
きっと皆で人間の感情をもって笑いあえる日が来るよ」

GM(ポルクス):「…ミシュラ…」
君のその言葉を聞き、少し驚くがやがて彼女は笑みを作って言う。
「ああ、そうだな。人間に戻れるならオレも戻ってみたいと言う気持ちはある…」
そして、ぼそりと「……あ、ありがとうな、ミシュラ……」と呟いた。

ルナ:よしきたツンデレだ!

ミシュラ:「素直でよろしい」
おどけた口調でそう言い、ポルクスの頭を撫でる。
きっとここに帰ってこよう。神がどう運命を示そうと、幸せな結末を掴み取ってやる。

GM:君のその言葉にどこか釈然しない表情を向けるポルクスだったが
彼女の中にある決意もまたミシュラによって固められていた。そう生き残る為に。


◆GMシーン 〜滅亡への宣告〜
星王殿――。
神が住まうその機関本部にて神の僕たるデミウルゴス達は集っていた。

そこは大いなる神の門の御前。
その神門の前に集うは純白のコートを着た機関最高の
四人のプロパテールrBがいた。
 
そして彼ら四人のプロパテールの前に跪くのは
真紅のコートを羽織る全オグドアスrB。
彼らオグドアスrBを前にプロパテールcTダルメリクが静かに宣言を告げる。
 
「神の意志を告げる。これよりお前達全オグドアスbヘミシアン領地に向かい
己が全霊全身、魂を賭けてミシアン領地に存在する領主ファルナスと
そこにいる機関の裏切り達を抹殺せよ」
 
それはかつてない機関と神による総攻撃。
ここに集いしオグドアス8人がミシアンへと向かう。
 
「――御意、我らオグドアスaA神とプロパテールwlの仰せのままに」
 
オグドアスbフ代表としてシリウスは受諾の言葉を口に、立ち上がり
それとと同時に全てのオグドアスrBもまたその姿を消した。
彼らが向かう先はただ一つ、ミシアン領地。
 
「そして分かっているな。サダルスード、ベテルギウス、アルレシャ」
 
サダルメリクは静かに自分の背後に立つ同じ純白のコートを着た同士を見る。
 
「我らはこの神の座《エンピレオ》へと唯一繋がる門を死守する」
 
そのサダルメリクの言葉にベテルギウスはさすがねと言ったように感嘆の息をつく。
 
「確かに連中の何人かがすでにミシアンを出立していたとしても
私達、機関の最高幹部四人がこの門の前にいれば彼らには死という結末以外ないわね」
 
「ミシアンが奴らの墓場になるか、それともこの神への門が墓場になるか。
その違いだな。私としては後者になる事を祈ろう」

ベテルギウス、アルレシャの言葉に同意するようにサダルメリクもまた頷く。
そうして、それまで静かに口を閉じていたサダルメリクと同じ髪の色を持つ弟
サダルスードもまた口を開く。
 
「…でも兄さんにしては随分と用意周到だね。
なにも僕達四人を一箇所に集める事もないじゃない」

弟のその言葉を受け、サダルメリクは静かに返す。

「…念のためだ、それにお前が戦う必要は無い。連中如き、私一人でも十分だからな」
 
弟の肩に手を置き、サダルメリクは言う。
その彼の発言にどこか安心感を覚え、サダルスードも頷く。
 
「うん、そうだね。もうじき星蝕の機能も回復して神による人類の救済が始まる。
それが終われば、この世界は永遠の繁栄が約束されるもんね」
 
「……ああ、そうだな」

ミシュラ:(スーやんかわいいよスーやん)

頷き、しばしの後、サダルメリクは自らの弟であるサダルスードの名を呼び
それに反応し振り向くサダルスードだが、弟の顔を見ると同時にサダルメリクは
何か深い感情を隠すかのように俯く。

「…いや、何でもない。我々は我々の任務を最後まで果たすぞ、サダルスード」

その言葉にサダスルードは無邪気な笑顔を浮かべ頷く。
 
「うん、もちろんだよ。兄さん」

ルナ:(スードは美人。メリクは美形)

ミシュラ:(スーやんの髪の毛もふもふしたい…)

GM:(たしかにもふもふしてるけどね)
 
そうして兄弟の会話が終わると同時に、終わりへのカウントダウンが始まる。

そこへ至る結末を知るのは、この時点では僅かな者達だけであった。


◆ミドルシーン11 〜崩れゆく星王殿〜
GM:ファルナスの神殿。その前に君達は立っていた。
ファルナスは領地を離れることは出来ず、ガーディもまたファルナスと共にここに残る事となり
ルナ、ミシュラ、ポルクス、マークを見送っている。
「ルナさん。最後に君へ伝える事がある」
とファルナスさんがルナに声をかける。

ルナ:「何かしら?」振り返るよ。

GM(ファルナス):「もしも、貴方達が神と対峙する事になれば
貴方達に生き残る可能性はありません。
神という存在に貴方達では絶対に勝つことは出来ません」

ルナ:「でしょうね……ただの人間には、荷が重いわ」

GM(ファルナス):「神に唯一対抗できる存在がいるとすれば
それは神に最も等しきデミウルゴス、アケルナルのみです。
…私が伝えたい事の意味、分かりますね」
彼はどこか悲壮な想いを秘め、君を見ていた。

ルナ:「戦う気なんかありません。勝てることはありえないし、戦ったところで犬死にですから」

GM(ファルナス):「そうかもしれません。ですが、もしその時が来ましたら
私の言った言葉を思い出して下さい。“勝つためではなく、生き残る為に”」
そう言い終えてファルナスは改めて君を見回し告げる。
「――では、気を付けて。また貴方達が戻ってくるのを楽しみにしていますよ」

ルナ:「また会えたら……いいですね」

GM(ガーディ):「そう言うことだな、気を付けて行って来いよルナ。
それとオレとの約束忘れるなよ」ガーディもまた笑いながら君へ。

ルナ:「えぇ、ですから待っていてください」

GM(ガーディ):「ああ、必ず待っているよ。ずっとね」
そうして君とガーディの会話が終わり、マーク博士が君達を見回し告げる。
「それでは行きますか。星王殿へ」

ミシュラ:「うん、行こうか」
同じく全員を見回してから歩き出す。

ルナ:「行きましょう」

そうして彼らは向かう。
それぞれが求める人、目的がある場所。

その地――星王殿へと。

◆    ◆    ◆

彼らが向かってしばらく、ファルナスとガーディはその気配に気づく。

「貴方がここに残る事をあっさり受け入れたのはやはりこういう事態を想定して、ですか」
 
「少しでも機関の戦力がこっちに向かえばルナ達の道行きは楽になるからな。
ま、それでもあいつらと一緒に行った方がいいって気持ちも残ってるけど」
 
この地へと集う真紅のコートを着た数人のデミウルゴス。
彼らは中空より現れ、それぞれが己が星宝を解放し始める。
 
「この地を彼らに明け渡す気は毛頭ないですからね。
では協力して彼らを迎撃しますから、ガーディ君」
 
「そうだな」

そうしてガーディもまた星宝を構える。
 
「ルナ――」

その呟きと共にミシアンの地にてデミウルゴス達による激戦が開始された。
 
◆    ◆    ◆

星王殿――。
神が住まう城にして機関本部へと戻ったルナ達は意外な程スムーズにその通路を走っていた。
 
GM:ここまで襲ってくる敵、おそらくオグドアスrBが来てもおかしくはないのに、
その気配すらもなく君たちは順調に進んでいた。

ミシュラ:「おかしい。もっと厳重に守られていてもいい筈なのに…」
不安に駆られ、そう呟く。

GM(ポルクス):「…まあ、罠だろうが何だろうが進みやすい事に変わりはねぇ。
ここのまま真っ直ぐ目的地まで向かうぜ」

ミシュラ:その言葉に頷きを返し、駆ける速度を速める。
早く、早く深奥へ。

GM:やがて君達四人が歩いている先で、通路が二つに分かれる。
一つは天を突くように螺旋渦巻く階段。もう一つは地の底へと向かうような階段。

ルナ:「ダーク・レーンはどちらですか?」ポルクスに聞くよ。

GM(ポルクス):「下だよ。ダークレーンは機関本部の最下層だからね」

ルナ:「御武運を」短く告げて下に向かう階段に。

ミシュラ:「ルナっちも。必ず生きて帰ろう」
その背中に声をかける。

GM(マーク):「…ミシュラさん。カストルさんと会えることを祈っています」
そう言ってマークもまたルナの後へと続き下の階段へと向かう。

ミシュラ:「ありがとうまーくん。まーくんも、望む事を成し遂げられるよう祈ってるよ」

GM:君のその言葉にマーク博士は笑顔で返した。
「さてと、じゃあオレ達は上を目指すか」とポルクスはミシュラに声をかける。

ミシュラ:「行こう。最上部―――【神の座】へ」
そう言って、螺旋階段を駆け上る。
(俺達はまだ登りはじめたばっかりなんだからよ…この長く険しい機関階段を――(打ち切り)

ルナ:(男坂……)

GM(ポルクス):「ああ、オレ達もオレ達の目的は果たすぜ」
君に続くようにポルクスもまた足を速めた。打ち切らないよ!(笑)
 
◆    ◆    ◆

“絶対牢獄(ダーク・レーン)”

そこは星王殿の最下層にある魂すらも凍えるような暗い暗黒の空間。
 
かつてミシュラが捕らわれていた場所でもあったが、その遥か先の何十もの扉の向こう側。 
“絶対牢獄(ダーク・レーン)”の最深部。
かつてそこへ葬られた者は一人もいなかった魂の牢獄の最終地点にルナとマーク博士は辿りついた。
 
最後の扉を開いた、その先にあったのは真っ白な空間。
 
地平線のような無限の白が存在するその場所に彼は、いた。
 
「…ようやく来たか。ルナ。それにマーク」
 
金の髪、純白のコートを翻し、静かに彼は振り向く。
機関統治者最高責任者、神に最も近しきデミウルゴス。
――0アケルナル。

ルナ:「……アケルナル、様ぁ」
自然と顔がほころぶ。

ミシュラ:(あれだけの事を聞いてまだ慕ってるのか!凄いなルナw)

ルナ:(アケルナル様が全て、という人生だったのだよ……簡単に鞍替えはできませぬ)

ミシュラ:(もっとがっちーも愛して!)

ルナ:(もう少し早くあっていたら……)

GM:アケルナルはルナの背後にいるマークを確認し、彼に対して口を開く。
「ご苦労だったな、マーク。君のおかげで私の計画も無事最終段階を迎えたよ。
今、この時を持ってね」

ルナ:「アケルナル様、貴方は何をお考えなのですか?」

GM(アケルナル):「それでマーク、例の物も無事のようだな」
しかしアケルナルはルナの言葉はシカトしてマークへと質問を繰り返している。
一方のマークはそんなアケルナルの台詞にどこか憤慨するように返す。
「…何を…何を、言っているのですか貴方は。そんな状況で、この状況下で…
貴方の計画はもう失敗したんですよ!アケルナル様!!」

ルナ:「アケルナル様ぁ……何故、何故何も仰って下さらなかったのですか!
私は、貴方様のためなら……」

GM:ルナの台詞などまるで聞こえていないようにアケルナルはマーク博士の叫び対してのみ反応し
しかし、それに対して特にどうという事はないと言うように至極冷静に返す。
「ふむ、確かに現状を見れば私はこの【星王の檻】に捕らわれ身動き一つできない。
ここから出る事も不可能だろう。だがこの状況をこそ、私は最初から望んでいた」
終始アケルナルはルナの台詞を無視したまま、マーク博士へと質問の答えを返す。

ルナ:「アケルナル、様……」
答えの無いことに落胆し、俯く。

GM(アケルナル):「今、神の傲慢と慢心は限りなく高まっている。
なぜならば神の計画はもうじき完成を果たす上に神に唯一対抗できる私は
ご覧のとおりの有様だからな。だからこそ、神を殺す好機が生まれた」

「…!まさか、貴方はわざとここに捕らわれたとでも?!」
 
そのアケルナルの台詞にマークは思わず心中の動揺をあらわにするように聞き返す。

「私はここから出ることは出来ない。
【星王の檻】は神の意思によってか、神の意思が途絶えなければ解除できないからな。
だが私が動けなくとも私は最初から私自身の“スペア”を外に残していた」
 
そうしてアケルナルは――ここで始めてルナの方へ振り返り声を掛ける。

「ルナ、お前へ私からの“最初で最後”の任務だ」

ルナ:「はい!」
応えよう。感謝は尽きない。分不相応の扱いを受けた。感謝しかない、感謝しかないのだ。私には。

「神を、殺せ」

たった一言。アケルナルは君へそう命じた。

ルナ:(約束だ……)
ガドフリートの顔がチラつく
「神、を……?」
ファルナスの言葉を思い出す。
「そんな、私にそんな力は……」

GM:それは絶対不可能な任務。人間が到達できるはずのない完全なる高みへの踏破。

ルナ:だが……

GM(アケルナル):「いいや。“お前なら”できるはずだ。分かっているのだろう」

ルナ:私にはできない。だが、“私”にはできる。
そのための力が、ある。

「神を殺せ。我が身を映せし月よ」

ルナ:世界に唯一つ、ただ私だけに与えられた力だ。
 
◆    ◆    ◆

一方で――無限に続く螺旋階段にて。
 
それはまるで人の足で天空を貫き星のある位置までいける高みのように 
そんな無限に続くと思われた上空の階段にて光が差し込みはじめる。
 
GM(ポルクス):「…ミシュラ。いよいよ神の座へと行くための門の前だぜ、覚悟は出来てるか?」

ミシュラ:「勿論。頼りになるポルっちも居るしね。怖い事なんて何も無いさ」
そう、軽口を叩く。自分はこれから死ぬかもしれないという実感はあるが不思議と心は落ち着いている。

GM(ポルクス):「…なあ、ミシュラ。こんな時に言うのもあれだけど
お前と一緒にここに来れて…良かったぜ」
どこかで、彼女も本能で感じていたのかもしれない。
だからこそのそんな言葉か、彼女は呟くように言った。

ミシュラ:「ポルっち…」
そんなポルクスを見て続ける。
「…うん。僕もだよ。色んな事があった。辛い事も沢山あったけど…
この場所にこれたのは、君のお陰だとも思ってる。ありがとね」
そう言って、彼女に笑いかけた。

GM:そして魂を圧迫するかつてない重圧感。
それが間近に感じられた。この先にいる“何か”
ただ感じられる存在としての生物としての桁の違い、密度の違い。

ミシュラ:「………」
びりびりと空間そのものを震わせるような威圧。
「ついに来たね。この場所に」
誰に言うとでもなく呟く。

GM(ポルクス):「…ああ、けどオレ達は生き残るぜ。ミシュラ」

ミシュラ:「勿論。生きて、皆で楽しく笑いあうんだ」

そして、天へと続いた螺旋階段を――抜けた。

同時に君とポルクスの瞳に飛び込んだ光景、それは――
 
サダルスード。ベテルギウス。アルレシャ。
機関最高幹部、プルパテールb持つ3人の――“水晶と化した姿”。

ルナ:!?

ミシュラ:「え…?」
その光景を前に絶句する。

GM:そこに魂と生命の脈動は―――感じない。
それは死。魂の死。彼らは目の前で、死んでいる。
 
「……デュナミスを…抜かれている………」
 
絶句するように、ポルクスもそう漏らした。

ミシュラ:馬鹿な。敵として対峙する事になるのは覚悟していた。
だが―――こんな事は。 こんな、状況は。
「スーやん…ベっさん…」
よろよろと近付く。
「アレルシャさんまで…こんなの…嘘だよね…?」

GM(ポルクス):「…ミシュラ…」
君の肩へ手を置こうとしたポルクスだったが…
「?!危ない!ミシュラ!!」
そう叫ぶと同時に彼女は君を突き飛ばす。
同時に“どすっ!!”という音と共にミシュラの目に入るポルクスを貫く一筋の光。
「……ぁッ…」

ミシュラ:「っ!?」
受身を取り振り返った直後。
「ポルっち!」

GM:彼女はゆっくりと倒れる。倒れたその場で鮮血の血が広がり始める。

ミシュラ:すぐにでも抱きかかえたい。邪魔が入らないならば!

GM:抱きかかえるのはOK。ただしその瞬間に声が響きわたる。
 
「よくぞここまで来た。ミシュラ、そしてポルクスよ」
 
それはまさに神の如き声。

ミシュラ:「……」怒気を孕んだ目で見返す。

GM:ミシュラ、ポルクス。そして水晶と化した三人のデミウルゴス達の前にある壮麗なる神の門。
 
その扉がゆっくりと開かれる。
そしてそこから現れたのは―――プロパテール2の“運命支配”のサダルメリクと
彼に付き従うカストルの姿だった。

ルナ:メリクだー。

ミシュラ:「サダルメリク―――!」
そっとポルクスを寝かせ、立ち上がる。

GM:光り輝く扉の向こうから静かにサダルメリクとカストルはこの場所へと降り立つ。
「ルナがいないようだな。まあ奴が来たところで障害は大して変わりはしない」

ミシュラ:耳の頂点からつま先まで臨戦態勢。槍を後ろ手に携え、歯を食いしばる。
「…だからどうした。プロパテール2“運命支配”サダルメリク」
睨み付けたまま、そう返す

GM(サダルメリク):「怒りか。くだらないな、そんなものがあるからお前達はこのような愚行を取る」

ミシュラ:「怒りが在るからこそ、手に入れられるものだってある」

GM(サダルメリク):「だがしかし、ここまで来た事には敬意を評し
貴様らに教えておこう、もはや神がこの世界で果たすべき目的は終わる。
神はもうまもなく、旅立ちの準備を完了する――」

ミシュラ:「…そんなもの、僕等が止めてみせる。貴様等の思い通りにはさせない!」

GM(サダルメリク):「無駄だと言った。もはやお前達に出来ることはない。
すでに198年前に失われた“星蝕”はその機能を完全に取り戻した、故に――」

「神の第一計画と第二計画は今ここで同時に果たされるのだ」

 
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