◆ミドルシーン9 〜一筋の希望を求めて〜
GM(ガーディ):「ぐあああああああぁぁぁぁッ!!」 ミシュラとポルクスがそこに辿りついた時、その目に入ったのはそんな光景。 ガーディの両の目が切り裂かれ、彼はサダルメリクの前に跪くように肩膝をつく。 ルナ:「が、ガドフリートさま……」 駆け寄ろうとするよ。 ミシュラ:「がっちー!」目を見開く。 GM(サダルメリク):「終わりだな、だがその前にルナは回収しておこう」 言って彼はルナの手を無理やり取る。 ルナ:「あっ!は、はなしてっ!」 ミシュラ:「その手を離せぇっ!」 瞬速で近付き、槍をサダルメリクの腕へと突く。 GM:しかし君の叫びは虚しく目の前の男に君の力は全く届かずにいた。 「馬鹿、ミシュラ!そいつに近づくな!」 ポルクスの発言と同時だった。 その瞬間、君の槍とサダルメリクとの間に落石がおこり サダルメリクを貫くはずだった槍はその瞬間に目の前に現れた落石を砕き、威力が衰え 君はその瞬間において視線を彼から外した。 「あらゆる運命の可能性は我が手の内にある。私の前では奇襲などは意味を持たない」 気づくと彼の姿は君の背後にあった。 ミシュラ:槍を引き抜き、飛び退く。 GM(ポルクス):「奴は星宝は領域型のSランク。奴の星宝の領域に入れば あらゆる存在、事象の可能性や運命は奴に支配される。 だからあまりうかつに奴に近づくな、ミシュラ」 君の隣に来てポルクスがそう言い。 「そう言うことだ。お前達では私を倒す可能性を作り出すことなど不可能だ」 そうサダルメリクが言うと同時だった。 GM(???):「ならば君の星宝の領域外から君を倒せばいい」 言うや否や、光の速さに匹敵する矢が瞬時に通路の遥か向こうから サダルメリクへと放たれた。 サダルメリクは瞬時にルナを掴んでいた手を離し、その矢を受け止める。 そして通路の奥よりその矢を放ったのは、真紅の髪を靡かせる人物ファルナス。 ルナ:「いたっ!」急に離されて尻餅ついた。 GM(サダルメリク):「ファルナスか。さすがにこの人数と貴方を相手にするのは得策ではないか…」 呟き、サダルメリクは倒れたガーディを見て言う。 ルナ:「ガドフリート様!」駆け寄って抱き起こすよ GM(サダルメリク):「だがガードフリートの戦力は削った、成果は十分だ。 もはやお前達に神に勝てる機はない」 そう宣言し、彼は静かにその姿を消した。 ガーディは駆け寄って抱き起こした君に無理矢理笑みを浮かべる。 だがその瞳は開かれることなく、まるで血の涙を流しているように瞑った瞳から血が流れていた。 「はは、大した事はないさ。けどちょっとかっこ悪かったな。 すまないな…君をエスコートすると言ってこんな様をみせて…」 倒れたガーディの元にファルナスが近づき、彼の傷を見てその表情を曇らせる。 ルナ:「いいえ、いいんです……貴方は私を守ってくれましたから」 GM(ガーディ):「そう言われて少し安心したよ。ミシュラの方は無事だったか?」 目が見えなくなったため、彼は君のほうは振りかえず、声を大きくして聞いてくる。 ミシュラ:「えと…あの……うん、大丈夫だったよ」 本当の事を言おうかと迷ったが、今この場では言わない事にした。 GM(ポルクス):「だっせーな、ガーディ。そんな調子じゃこれから先は期待できねぇなー」 ガーディの前に立ってポルクスは生意気にそんな事を言う。 ミシュラ:無言で、槍の柄をポル公の後頭部に叩きつけよう。 GM(ポルクス):「いってーな。なにすんだよ、ミシュラ」 そんなポルクスの声を聞き、ガーディは笑顔で返答する。 「その声は…ポルクスか。そうか、と言う事は例の情報を集めて 無事にミシュラと合流できたんだな」 とガーディは思い出したようにルナとミシュラに告げる。 「そうだ、紹介しておこう。ルナにミシュラ。 “彼女”がオレの最初の同士・ポルクスだ。一番最初に反魂を機関から持ち出して オレの部下のいる飛空艇にそれを届けたのも彼女だよ」 ミシュラ:「…かのじょ」 GM(ガーディ):「…ん?もしかして、気づかなかったのかい?ミシュラ」 とガーディは改めてポルクスの事を紹介する。 「そこのポルクスは女性だよ」 ミシュラ:「…」こくこくと頷きを返す。 「う、うん…いや、ううん。気付いてたもん」 しどろもどろ。 ルナ:「女性……」 GM(ポルクス):「嘘付けー」 どこっとミシュラをつつくポルクス。 「ああ、それと反魂を盗んだ時はお前を犯人に仕立てて悪かったな。 けど、多分お前なら機関の間違いに気づくって思って賭けたんだぜ。 実際、お前はこうして正しい道に入れたし、少しはオレに感謝しろよ」 ミシュラ:「いやでも生物学的には女かもしれないけど実際どうなの…ゲフゥ」 思いっきりつつかれたところをさすりつつぶーたれる GM(ポルクス):「まあ、とりあえず機関本拠地の星王殿の見取りと 神・イシュタルが存在する最果ての空間、エンピレオに至る場所も掴んできたぜ」 ルナ:「エンピレオ?」 GM(ポルクス):「星王殿のその先にある、神が住まう場所だ。 そこに入れるのは神本人と機関統治者の0だけだ。 さすがに探し出すのには苦労したけどなー」 ルナ:探し出せたのがすごい GM(ポルクス):「まあ、そりゃその場所を知っている本人に聞いたからな。 つまり0アケルナル様にな」 ルナ:本人に!? GM(ポルクス):「“絶対牢獄(ダーク・レーン)”のその更に向こうに入るための鍵を 何とか入手して本人に会ってきた。アケルナルの目的も神の抹殺なら教えてくれるかと賭けて 聞いてみたが意外とすんなり教えてくれてな」 ルナ:すごくあやしい…。 GM(ポルクス):「あ、それと“絶対牢獄(ダーク・レーン)”最深部に行くための鍵も ついでに持ってきたから、そっちのお前にやるよ」 と言って彼女はその鍵をルナに投げる。 ルナ:「あ、ありがとうございます」受け取るよ。 GM(ポルクス):「信じる信じないは好きにしていいぜ。 ただオレはこれからオレの意志で神を潰しに行くだけだけどな」 ルナ:「……お手伝いできたらいいのですが」 GM(ポルクス):「でもお前はアケルナルの方に用があるんだろう?」 とポルクスはルナへ聞いてくる。 ルナ:「え、えぇ」頷くよ。スナオでいい子じゃないか。 GM(ポルクス):「なら、お前はお前で勝手に行動すればいいさ。オレもそうしてるだけだし。 で、ミシュラはカストルにまだ未練たれたれな訳?」 と今度はミシュラの方へ彼女は聞いてくる。 ミシュラ:「たれたれってゆーな!かっちゃんは絶対、悪くなんかないよ!」 槍をぶんぶん振ってそう言い返す。 GM(ポルクス):「はいはいー、まあカストルにもう一度会いたいならオレと一緒に神に殴り込むのが 一番早いと思うぜ。カストルが行き着く先はデミウルゴスを人間に戻せるかもしれない 星王の所しかねーしよ」 ミシュラ:「よし!なら僕はポルっちと一緒に行くよ。神サマをぶん殴ってでも、 かっちゃんを人間に戻して貰うんだから」 GM(ポルクス):「なら、そう言うことで決定だな。しかしお前のその馬鹿っぽい純情っぷり、 相変わらずだなー。ほんと、見ててついついイジメたくなるほど可愛いぜ」 ミシュラ:「ば、ばかっ!僕はクールな大人なんだからねっ!可愛いとかゆーなよ!」 憮然として言い返す。 GM(ポルクス):「クールね〜、とてもそうは思えないぜ〜」 うりうりとほっぺを指で指しながらポルクスは笑う。 ミシュラ:「そ、そー言うポルっちだって良く見れば可愛い顔してるじゃないかっ!うりうり!」 反撃をとばかりにポルの両ほっぺを両人差し指でダブルぐりぐり GM(ポルクス):「や、やめろ!そ、そう言う、うざい真似はするんじゃねーよ!」 更に両手の人差し指でうりうりし返すポル。 ルナ:なにこの微笑ましい光景。 ミシュラ:「顔あかくなってるー!まんざらでもないんだー!」 両手を顔の横でぴろぴろさせつつ高速でバックステップして逃げよう GM(ポルクス):「ミシュラー、あんまりいい気になるなよ、またオレの星宝でお前の星宝封じるぞ!」 それはほんの少しの笑い合い。 一瞬のやすらぎに過ぎなかった。 だがそれでもその瞬間の安らぎはこの場にいた全員の心に響くものがあった。 やがて来る運命の最後を前にその時の皆は笑っていた。 星王殿。神が住まう城にして機関の本部。 今、物語はその最後の舞台へと再び戻ろうとしている。 そこに待っている結末をこの中の誰一人予測できないまま―― ここにいた皆はただ、無邪気に笑い合っていた。 ◆幕間シーン 〜傲慢なる神〜 「……そんな…まさか……」 荘厳なる扉。 星王殿。機関本部にして神の居城。 その最頂上、神の座へと至るための唯一の門、神の門を前にエルナトは呟いた。 『これで君の抱いていた疑問も解けたかね、エルナト』 そして、扉の向こうから聞こえる魂を圧迫する重圧を秘めたる声。 それは神の声。 「………」 エルナトは答えない。答えようがない。彼が抱き続けた幻想は、求め続けた答えが あまりにもあっけなく神によって示されたのだから。 『君がこちらに戻ってくるかは君の意思に委ねよう。ただし答えを知って尚 私を、機関を裏切ると言うのならば君もヒルデベルト(裏切りのデミウルゴス)と 同じ結末を歩む事になるだろう』 その声を最後に扉の向こうから響いた神の声は途絶えた。 ただ立ち尽くすままのエルナトの背後に一人の男が現れる。 それはエルナトをこの場所まで導いた者、シリウス。 「神からの答えは聞いたようだな、エルナト」 「シリウス…お前はこれを最初から知っていたのか」 「さぁな、オレには興味が無い。オレにあるのはただ主人に尽くすこの唯一の使命のみだ」 シリウスのその言葉を聞いてエルナトはどこか遠くを見るように呟く。 「私は…お前やミシュラが羨ましい。 ミシュラにはデミウルゴスでありながら人としての感情が、お前には感情はなくとも ただ自らの信仰する主人に尽くす武人としての矜持がある。 私にはそのどちらもない。ただ流されるままに存在している。 なぜ生まれたのか、なんの為に生きているのか、その理由も意味も何も無い。空っぽのままだ」 それだけを呟き、エルナトはシリウスに背を向け歩き出す。 「…エルナト。これが最後のチャンスだぞ。機関に戻らなければお前は殺される」 「シリウス」 武人としての情けかシリウスのそんな言葉をエルナトは遮る。 「言っただろう。私は最後までこの道を、私が選んだ道を選ぶ。 例えそこに可能性が無くとも、最後まで無いはずの希望を求めると」 「……必ず、後悔する事になるぞ……」 「いいや、私は後悔はしない。私自身の命が消えるその最後の瞬間まで」 エルナトのその言葉を耳に、シリウスは静かにエルナトの後姿を見つめ―― 「――さらばだ、エルナト。もしもオレとお前が人であったのならば きっと…友と呼べる存在であったのだろうな…」 その言葉を最後にシリウスは姿を消した。 シリウスのその言葉がエルナトの耳に入ったのかどうかは分からない。 だがエルナトはしばし、その場に立ち尽くしやがて――― 「【エペ・ルーチェ(光刀の千突)】」 その背後に千に及ぶ光の剣を創生する。 そのうちの一つを握りしめ、そして―― “きぃぃぃん――” 静かに自らの足元にその剣を突き刺す。 やがて剣はその足元の地面に吸い込まれるように消えていく。 「…これが何の役に立つかは分からない。 偶然の確率にも入らない奇跡の確率かもしれない、 それでもこれが今の私に出来る唯一の事…。 ミシュラ、最後まで共に戦えずにすまない…」 その言葉を言い終え、彼は真紅のコートを翻す。 「私は、残された私の最後の道を歩む。そこに可能性が無くとも――」 そうしてエルナトは姿を消した。 やがて訪れる自身の死をエルナトは魂で感じていた。 だが、それでも彼は願った―― 人間になりたいと。 ◆ミドルシーン10 〜約束の樹の下〜 GM:ミシアン領地の首都クロナス。 そこから少し離れた森の奥に存在する一つ大樹。 このベルシェルス大陸の発足と共に生まれたと言われる大樹の前にルナとガーディはいた。 ガーディは先日の傷が治っておらず、戦闘参加は不可能だとファルナスに言われていた。 「…目は見えなくなっても風や緑の匂いが感じられるのが唯一の救いだな」 吹き抜ける風を感じならガーディは呟いた。 ルナ:「風に匂い?」 すんすん、と鼻を鳴らして匂いを確かめる…。 「よく、お話や物語で聞くフレーズ。でも分からないわ」 GM(ガーディ):「風というよりも自然の匂いだよ。ほら、そういうのってあるだろう。 都会よりも自然の空気の方が美味いって。アレとおんなじだよ」 ルナ:「そう……」 風に髪を靡かせて返事をする。 GM(ガーディ):「で、やっぱり星王殿に行くのか。アケルナルに会いに」 ルナ:「もちろん」 GM(ガーディ):「そっか。本当ならオレも一緒に行きたいんだけど、ファルナスさんに 今、行ったら死ぬとか言われて止められてるからな〜、ははは」 ルナ:「仮面の中に、盲目の剣士とかはないんですか?」 GM(ガーディ):「んー、無い事は無いぜ。ただオレの星宝ってちょっと危険なんだよ」 ルナ:「危険? そのようには見えませんでしたが――」 仮面被るだけかと思ったけどやっぱ違うのか…… GM(ガーディ):「イデアを仮面として被るって事は普通よりも器に入る魂の容量が半端じゃない。 今のオレは盲目だから、それを補うためには仮面を被り続けないと行けない。 そうなるとオレ自身の肉体と魂への負担が掛かり続ける。 つまり、君がアケルナルと同調し続けるのと同じ容量ってことだね」 ルナ:「そういうことですか……」 GM(ガーディ):「それにここ最近は仮面を被り続けだったから、 結構肉体と魂に限界きてるかもしれないしな」 そう言いながらもガーディはどこか明るい口調で言っていた。 「なあ、ルナ。もしも星王殿に行ってなら一つ約束してくれないか」 ルナ:「約束、ですか?」 GM(ガーディ):「ああ、この場所にこの大樹の下でまた会おうぜ。 ほら、こういう約束があった方が生き残る理由とかにもなるしさ」 ルナ:逆にフラグ立てるような気がしないでもない。 「人間みたいな約束ですね」 GM(ガーディ):「そりゃ人間に憧れてるからな。いかにも人間っぽいだろ」 ルナ:「ただの人間には酷な約束です。けれど、承りましょう」 GM(ガーディ):「ありがとう、ルナ。じゃあ、約束だ。またここで二人で会おうぜ」 光無い瞳でそれでもガーディは君の方を向いて笑った。 ルナ:「えぇ。またこの樹の下で、会えたら……いいですね」 ガーディに背を向けて言おう。 (私は、アケルナル様次第で貴方を裏切る。けれど、少しぐらい夢をみたい……そんな気がする) GM:では、そうして君がガーディから離れた時、君の前に一人の男性が現れる。 白衣を身に纏った青年、マーク博士。 「…ルナさん。星王殿への突入、私も一緒に同行させてください。 私も貴方同様にアケルナル様に会う必要があるのです。お願いします」 ルナ:「マーク博士、何を……」 GM(マーク):「足を引っ張るような真似は極力しません。もしもそのような場合があったら 私の事は容赦なく切り捨てて構いません」 彼の瞳は真剣だった。そして何よりも強い決意を秘めている。 ルナ:「私に頼むのは筋違いですわ。他の……デミウルゴスの方にお頼みください」 GM(マーク):「いえ、ミシュラさんもポルクスさんも向かうのはアケルナル様のいる “絶対牢獄(ダーク・レーン)”ではなく神の座《エンピレオ》。 ですから貴方に一緒に同行させて欲しいのです」 ルナ:「勝手に着いて来れば宜しいのに。私がなんと言おうと、来るのでしょう?」 GM(マーク):「無論、そのつもりです」 彼は君の言葉を受け、そう答える。 ルナ:「なら、この話はもうお終い、ね」 GM(マーク):「はい。…ルナさん、ありがとうございます」 彼は別れ際、君にそうお礼を告げる。 ルナ:「お礼は必要ありません。守るつもりも速度を合わせる気もありませんので」 苦笑しつつマーク博士とルナは出発の準備を整えるため都市へと戻った。 |