第三章「白のav
◆GMシーン 〜神の座〜
星王殿―――最上部・“神の座”
そこはこの星王殿の遥か高み、神の存在する空間。
そこから見えるのは現在、世界に存在する浮遊大陸ベルシェルス大陸全てを見渡す光景と
手を伸ばせば届くかもしれない星の海の光景。

星と地。その境目とも言える場所。
そんな世界を全てを見渡す空間に二人の人物がいた。

 “神”――星王・イシュタルと彼に最も近い存在、“機関”の統治者、その左手に“0”の称号を持つ者。

「…“機関”内の入れ替えが行なわれたらしいな、アケルナル」

玉座に座り、自らの隣に存在する腹心に神はそう会話を始めた。

「はい。オグドアス10の入れ替えが行なわれました。
ミシュラ=プロディズィーの代わりに新たにポルクスという新世代のデミウルゴスがその地位に…。
それと長らく空白だったオグドアス9とプロパテール5も新たにその地位につく者が現れました」

機関内で起こった出来事を正確に神へと報告するアケルナル。
そのアケルナルの報告を聞く神だが、何がおかしいのか笑みを浮かべもう一度アケルナルへと問う。

「…それだけではないだろう?お前が拾った例の人間、それが称号無しの
デカスbナの地位を獲得し始めているだろう」

神のその言葉を聞き、アケルナルは思い出したようにその事を口にする。

「はい。ですがあれはまだ成長段階。
潜在的な素質はありますが現状ではまだ称号無しの6〜7程度、
あと一年ほどもあれば1となれるかもしれませんが…。
しかし、星王様が“人”に興味を持つとは驚きました」

アケルナルのその言葉に星王は愉悦の表情を浮かべ言う。

「それは私の台詞だな。お前は私が生み出したデミウルゴスの中で“完璧なデミウルゴス”
そんなお前が人間を拾い、それを配下に加えたのだからな。
…その人間に先天的な“星宝”が宿っていたため、か?」

神のその言葉にほんの一瞬、表情を変えたアケルナルだが
すぐにいつもの何の感情も浮べない氷のような表情へと戻す。

「確かにそれもありました。しかし、あの人間の持つ“星宝”はランクの設定すらも難しいもの。
戦闘用とも断言出来ません」

「だが、お前の計画には必要不可欠な物、というところか?」

「おっしゃる意味が分かりかねますな、我が神よ」

その口に笑みを浮かべたまま神は玉座より立ち眼下の世界を見渡す。
そうして再び、今度は正面からアケルナルを見る。

「アケルナル。以前にも言ったが…私を、“神”を越えるだけの自信と実力があるのなら
いつでも私に反旗を翻すがいい。私の理想は“神”すらも超越する“完璧なる存在”
その“完璧な存在(デミウルゴス)”にお前がなれるのならば、なってみるがいい」

言って神は何かを思い出すように再び、眼下を見る。
彼の目に移るのは浮遊大陸より遥かに下、もはや人の住む大地ではない荒廃したかつての地上。

「ヒルデベルト…。かつて私に反旗を翻した奴は最後まで失敗作のデミウルゴスだった。
お前はそうならないよう、望んでいるよ」

神のその言葉に対し、アケルナルはただ一言のみで返した。

「……お戯れを」

そうして両者の会話は終わる。
静寂と沈黙が続く中、静かにアケルナルは退出をする。
この時、“神”も“完璧なるデミルウゴス”もすでに未来を悟っていたのだろう。

――滅ぶべきが、何であるかを。


◆PC1オープニング2〜白のa`
あの任務から数日、ルナは上官のシリウスと共に練磨に励んでいた。
すでに称号無しのデカスbノおいては無類の強さ、1の称号を得たものの
まだその力はオグドアスには追いつかない。
今も上官のシリウスを相手に君は自信の持つ力を更に上げている。

GM(シリウス):「…もうここまででいいだろう」
言って打ち合っていた剣を降ろすシリウス。

ルナ:「分かりましたわ」
剣を鞘に収め、ベルトに留めてあった日傘を差そう。

GM(シリウス):「しかし、大した物だな。お前の上達速度は」

ルナ:「お褒めに預かり恐悦至極♪」
ころころと楽しそうに答えるよ。
「貴方の教えのお陰……といえば少しは笑う?」

GM(シリウス):「……さあな」
シリウスはそんな君の言葉を受けつつ、表情を変えずに持っていた剣を鞘に収める。
その時、この修練場の扉が開き誰かがここへ入ってくるのが見えた。

ルナ:おや?

GM:その人物はシリウスと同じ真紅のコートを着た人物。
間違いなくオグドアスbフ一人のようだ。
そしてその人物を見てシリウスは名を呟いた。
「エルナトか」

GM:エルナトと言われた男は君とシリウスを確認すると真っ直ぐ近づいてくる。
「ここにいたのかシリウス。と、そちらが例のデカス1か?」

ルナ:「お初にお目にかかります、エルナト様。私、ルナと申しますわ――」

GM:エルナトをそれと気づかれないよう観察する。
「ルナか。私はオグドアス4のエルナトだ」
エルナトはルナと異なり傍目にも分かるほど、じろじろとルナの事を見る。

ルナ:「あら? 私の顔に何かついているのですか?」

GM(エルナト):「…君は確か人間だったな?ミシュラとはまた違う感じだな」

ルナ:「えぇ。“まだ”人間ですわ」

GM(エルナト):「?奇妙な言い方をするな。人間である事が嫌なのか」

ルナ:「人など、止めてしまったほうがアナルケル様のお役に立てますから――ね」
ふふ、と微笑む。

GM(エルナト):「人間にも色々な種類の者がいると言う事か。
まぁ、それはデミウルゴスにも言えるかもしれないな」
そう言った後、エルナトは君とシリウス両方を見て告げる。
「ルナ、シリウス。君達にプロパテールb謔闖「集がかかった。
これから共に星王伝の“純白の間”に来て欲しい」

ルナ:「了解しました――参りましょう、シリウス様」

GM(シリウス):「…ああ」
では君達を案内するようにエルナトは君達の先頭を歩き、星王殿の奥を案内する。
しばしの歩いていく後に、ルナは見覚えのない星王殿の深部まで来る。
そうして一つの大きな白い扉を前にエルナトが止まる。
「ここが“純白の間”だ」
そう言ってエルナトは振り返り、扉から離れた場所に立つ。

ルナ:扉を無感動に見上げる。
「あぁ、制服のコートを忘れてしまいました……大丈夫でしょうか?」

GM(シリウス):「…つまらん事を気にするな」
そこでシリウスは君の方を向いて、少しいつもより異なった雰囲気で君に言う。
「ルナ…。この先のプロパテールbフ者達に会うに際して、一つ言っておく」

ルナ:「心して聞いておきましょう」

GM(シリウス):「プロパテール4・アルレシャの機嫌だけは損ねるな。
言ってしまえば、アルレシャに対しては気を抜くなということだ。お前がアケルナルの配下なら尚更な」

ルナ:「ご心配なさらず……」

GM(シリウス):「お前の普段の素行を見ているかぎり安心できんな」
言いつつ、シリウスは目の前の扉をゆっくりと開ける――。

扉の先―――そこにあるのは純白の間。
5つの玉座が来訪した者達を見下すように遥か高みに存在した。
その玉座に座っているのは3人。

プロパテール1の玉座に座るのは、30半ばの外見をもつ男性
“時の変革者”ベテルギウス。

プロパテール3の玉座に座るのは、エメラルドの髪を持つ中性的な美少年。
“絶対幸運”サダルスード

そしてプロパテール4の玉座に座るのは、漆黒の髪を靡かせる女性。
その瞳は、殺気を纏っているかのようにこの場に来たルナだけを見ている。

ルナ:跪いて、頭を垂れる。ゆっくりとね

GM(ベテルギウス):「よく来てくれたわね。ご苦労様。シリウスにルナ」
来訪した君達に対し最初にそう言ったのはプロパテールbフ指導者・ベテルギウス。

ルナ:あ、カマ言葉なんだ…。

GM:人間慣れしないといけないのよ、彼は(笑)
「まずは先日の奪還任務の件だけど、ご苦労だったわね。
おかげで私達機関にとっての重要な物も取り戻せたわ」

ルナ:「ありがたきお言葉、もったいなく存じ上げます」
丁寧に

GM(ベテルギウス):「まあ、それで今回の任務もそれに関連したものでね。
そこで貴方達に頼もうと思ったわけよ」

ルナ:「その任務とは?」

GM(ベテルギウス):「実は…見て分かるかもしれないけど
今、私達“プロパテールahの席が二つ空いてるのは分かるわよね?」
言ってベテルギウスは“2”と“5”の席を指す。

ルナ:頷こう

GM(ベテルギウス):「プロパテール2はちょっと野暮用で現在、ここには来れないのよ。
これは問題無いとして、問題はそっちの5の席にいた人物よ」
そのベテルギウスの台詞を継ぐように隣にいた3のサダルスードが続ける。
「実は1年ほど前にこのプロパテール5を継ぐ者が人間の中から生まれたんだ。
新世代のデミウルゴスとしてね。彼の名は“プロパテール5”のガドフリート・アイオニアス。
このガドフリートが数日前から行方不明なんだ。それでまぁ、任務って言うのが他でも無いんだ。
このガドフリートの消息を探してきて欲しいって事だね」

ルナ:「人探しを? 分かりました。承ります」

GM(サダルスード):「と言ってもそんなに簡単じゃないよ。ルナ。
何しろ相手は僕達機関の頂点の称号を持つプロパテールb持つ人物だよ」

ルナ:「殺せ、といわれるよりはマシです。とても太刀打ちできないしょうから」

GM(サダルスード):「出来れば力づくで連れ帰って欲しいけど
無理なら現在の彼の目的だけでも突き止めて戻ってきて欲しい」

ルナ:「……2,3お願いがあるのですが、よろしいでしょうか?」

GM(サダルスード):「うん?なにかな」

ルナ:「私(わたくし)、ガドフリート様のお顔を存じません。
なので、ガドフリート様の情報を戴きたいのです」

GM(サダルスード):「ああ、それなら後で写真とかあげるよ。
それにそっちのシリウスがガドフリートの姿とか特徴を知っているから後で聞くといいよ」

ルナ:「ありがとうございます。それともう一点。
手掛かりや目的などが分かっていれば、それもお願いします」

GM(サダルスード):「そうだね。最初に奪還任務の件と今回の件が関わりあるって言ったよね?
実は君達が奪還した重要物『反魂(エイドス)』
それの存在や居場所を知っていたのは僕達、プロパテールbセけだったんだ。
そしてそれが機関から奪取される前日にガドフリートの消息が途絶えた。
これだけで二つの事を関連させるのは早計かもしれないけど、何らかの接点はあると見ていいと思うよ」

ルナ:「『反魂』……それは如何なる存在なのでしょうか?」

GM(サダルスード):「う〜ん、それはさすがに機密事項だから言えないな〜。
もしも、君がプロパテールbフ地位まで来る日が来たら、その時にお楽しみにするといいよ」

ルナ:(……それが分からなければ調べようはないのですが)
「承りました」

GM(サダルスード):「それともう一つ、君達が『反魂』を取り戻した例の飛空艇が向かっていた
あるポイントと言うのがミシアン領地の一角だった。
まあ、これに関しても後でシリウスに聞くといいよ」

ルナ:「では……御期待に添えますよう力を尽くさせて戴きます」

GM:そう言って君とシリウスがこの場を去ろうとした瞬間――
「待て、人間」 それまで黙っていた4アルレシャが口を開いた。

ルナ:ん?

GM:玉座の上にいたはずの女性。
それは瞬時に君の目の前に居た。移動した気配や動きそれすら全くなかったにも関わらず。

ルナ:「ッ!!」

GM:目の前に存在する彼女を前に君はかつて感じた事の無い圧倒的な存在力を受ける。
それはただ目の前で対峙するという事だけでエネルギーさえ消費する。

GM(アルレシャ):「…お前に確認しておきたい、人間」

ルナ:「何なりと」

GM(アルレシャ):「お前は何故“機関”にいる」

ルナ:「何故……と言われましても」

GM(アルレシャ):「ならば言い方を変えよう。お前はアケルナルのためにここにいるのか?」

ルナ:「然り。その通りでございます」

GM(アルレシャ):「……そうか」
それを聞いた瞬間、目の前のアルレシャより全身を刺すような“殺気”が放たれる。
それは触れるだけで相手を殺しかねないほどの圧倒的な殺意の塊が発せられる。

ルナ:「――」

GM(アルレシャ):「…ならば精々、アケルナルのためにも任務を遂行することだな。
それと――我ら“機関”を裏切れば、真っ先に私が貴様を殺すことを此処に宣告しておこう」

ルナ:「……御意に」

GM:そのやり取りを終え、アルレシャは瞬時に元いた玉座へと戻る。
先程まで君を刺していた殺気は嘘のように消えて。

ルナ:踵を返し、立ち去ろうか

それに続くようにシリウスもまた静かに立ち去る。
後には冷酷な、しかしその瞳の奥に殺意を宿したアルレシャが消えていった
ルナの扉の方だけを見ていた。

◆   ◆   ◆

GM(シリウス):「…やはりと言ったところか」
扉を出てすぐにシリウスはそう口にする。
「アルレシャがお前に対しただで帰すわけはないと思ったが、どうやら想像以上に目をつけられたな」

ルナ:「そのようですわ。困りました」

GM(シリウス):「まあ…それも無理はないか。
教えておこう。河の果ての月・ルナ。アルレシャ、あいつはな――本来なら、我ら“機関”の統治者
0となっていた者だ」

ルナ:「……そうですか」

GM(シリウス):「200年ほど前に神の意志により0を決める会議があった。
その際に候補に挙がったのが、アケルナルとアルレシャだ。
そして、最終的には両者の戦いにその座が委ねられた。その戦いの結果…どうなったと思う?」
シリウスはそう結末を君へ問うた。

ルナ:「戦いの末、今があるのならば……アナルケル様の勝ち。もしくは引き分け」

GM(シリウス):「違うな。その戦いで勝ったのは――アルレシャだ」

ルナ:「そうですか。では、何故アルレシャ様ではなくアナルケル様がNo.0に?」

GM(シリウス):「さあな、アルレシャには0、機関の統治者に必要なある物が
無かったと言われている。あるいは――神(イシュタル)の気まぐれかもしれん」

ルナ:「イシュタル様もお人が悪い……理由を述べれば確執も和らぐでしょうに。
それとも、本当にただの気まぐれか」

GM(シリウス):「とにかく、アケルナルに対するアルレシャへの態度はその時からあんな感じだ。
アケルナルの直属の配下のお前に対してもまあ、あんな態度を取るのは道理だな」

ルナ:「……仕方のないことですそれが、嫉妬というものですから」

GM(シリウス):「…まあ、今は任務に集中するとしよう」

ルナ:「御意に」

言ってルナとシリウスは共に星王殿の通路を歩き、任務へと向かった。

 
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