第一章「色の無い世界」
2008年、某月。遂に開幕となったエスペランサーセイバーのシナリオ星の伝承記。
しかし、この物語、実はこれ単体だけでは完成とは言えず
実はもう一つ、この星の伝承記に関連した外伝にあたる物語を考え
それを行い、照らし合わせることで、初めて二つの物語が一つとして交わるという
シナリオ展開を考えてみました。
そうして、そんなもう一つの星の伝承記ともいえる外伝シナリオMemory of Istharをするにあたり
厳選して選んだプレイヤーがこのお二方。
プレイヤーでは初のデミウルゴスキャラとなるミシュラを演じるPLねおしの。
今回の物語のキーパーソンとなる機関に拾われた少女ルナのPLと〜か。

お二人にはエスペランサーセイバーにおける敵役であるはずのデミウルゴスと
彼らが所属する機関でのお話をやってもうらおうという事になりました。

そうして、星の伝承記に影響を及ぼす、知られざる外伝の物語が今、幕を開ける――。

◆   ◆   ◆

GM:今回はOPなので次回辺りから本編に入ると思いますので
とりあえずは物語の雰囲気とかそういうのを掴んでもらえればいいかと(笑)
ではよろしくお願いしますです〜!

ミシュラ:よろしくお願いします〜!

ルナ:お願いします。


◆序章 〜終焉の雨〜

――ざぁぁぁぁ…――

雨が降っていた。
静かに世界を包むように暗い夜の中、雨が降っていた。
 “君”はそんな雨の中、降りかかる滴を払う事無く打たれていた。

そこは約束の大樹の前。
この大陸、ベルシェルス大陸の発足と共に生まれた大樹。
その前で“君”は静かに待っていた。

すでにその腕は折れ、体中の傷は致命傷。
流れる血は止まる事無く、意識もまどろみへと沈む手前。

自分自身でも分かる死の匂いが纏わせながらも“君”は待っていた。

そして――そこに人が来た。

前方の森を掻き分け、その場に姿を現す。
 “君”はその音と気配に反応して顔を上げる
約束の人物が来てくれたと信じて――

だが。

「奴は来ない」
目の前に現れた男は開口一番、そう言った。
約束の人物では無い。男は“君”のよく知る者。
その手に握られた真紅の刀はこの世ならざる美しさを放っていた。

「……最後に、一つ聞いていいか」

男は“君”の前まで近づき静かに問うた。

「お前はこうなって――後悔…していないのか」

男のそんな問いに“君”は――

―――――――

「……そうか」

――ざぁぁぁぁ…――

静かに雨が降っていた。
まるで世界全てを包むように。
そうして物語は終わり―――始まりを迎える。

それは200年続いた星の物語の終幕。
語られなかった終焉の噺。



これは“理”に挑み、そして“始まり”を得た者達の物語。


エスペランサー・セイバー
星の伝承記
〜Memory of Isthar〜

始まりを奏でる為に今、終わりへと向かおう―――




GM:と言う事で次はPC1のOPです。よろしくです〜。
ルナ:はい。

◆PC1オープニング1 〜色の無い世界〜
星王暦198年 ミシアン領地・ヘルシトア地方上空1800m

『ごおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ』

風すらも届かぬその遥か天空で疾風の如き速さを得て移動する一つの物体。
それは飛空艇。
しかもそれは現在の人類達ではまだ到達できぬ技術が駆使された星王の技術の結晶。
その内部に複数の者が存在した。

GM(???):「あれの活動は収まったか?4」
漆黒のコートに身を包んだその四人は船の中心部にて集まっていた。

GM(4):「安定はした。だがあれは我々の認識では理解する事が不可能な超越物だ。
今は急ぎあれを閣下にお届けするのが先決だろう」

GM(???):「無論、そのつもりだ。5、9。お前達は襲撃に備え船の周りの観察を怠るな」
リーダーらしい男のその言葉に反応するように漆黒のコートに身を包む二人が頷き、
各々の持ち場へと向かう。

GM(???):「必ずやあれを届ける。我らが閣下・ガドフリート=アイオニアス様の下へ」

一方、その飛空艇の後尾500m後方にて。

GM(男):「…あれだな。目標を“視認”した」
小型の超高速飛空艇にて二人の人物が前方を泳ぐその飛空艇の後尾を捉え、追いつこうとしていた。
「準備はできているか?ルナ」
君の上官は確認するように隣にいる君へ聞く。

ルナ:「勿論よ」
日傘をくるくると回しながら答えよう
「でも、私じゃ役不足じゃない?」

GM(男):「それはこれから分かるさ。もう一度確認のために言っておく。
我々の目的はあの船に存在する叛乱分子四名の始末と
最重要物『E』の奪還だ。これを速やかに行なう」

ルナ:「分かったわ」
視線を空の先――敵に向ける

GM(男):「では行くぞ。船まで50m近づいたこの程度なら跳躍で飛び移れる」

ルナ:「動くものは始末していいのね? それとも……どれか捕まえるの?」

GM(男):「始末しろとの命令だ」

ルナ:「じゃあ、楽ね」

そう言ってルナとルナの上官――『機関』における幹部の称号を持つ男
オグドアス5“天狼”シリウスは目標の船へと到達した。

――――『E奪還作戦』開始

GM(シリウス):「オレは機関部の制圧に向かう。お前は中央へと向かえ」

ルナ:「分かりました、シリウス様」
見ようによっては微笑んだように見える表情で答え、剣を抜こう。日傘は差したまま、片手で持つ。

GM:では中央へと向かう君。
だが中央へと向かう途中の通路で前方から風を斬る音と殺気のこもった刃が振り下ろされた。

ルナ:体を少しずらして避ける。
「不意打ちのつもり?」

GM:見ると目の前には漆黒のコートを着た一人の男。
その頬には9の数字が。
「…もう来たか。だがここから先はいかせん」

ルナ:「裏切れるほどの実力は……なさそうね」

GM(9):「…なんとでもほざけ。我らは我らの閣下に従うまでだ」

ルナ:軽い持ち方で、剣を振る。そして、No.9の手首を斬ろうか
「閣下、ねぇ?」

『ぶしゃあぁぁぁぁ!!』

GM(9):「――!」

ルナ:「それは」
肩口を「こういう目にあっても」
頬をナマスに「頼れる方なの?」

GM:あまりの咄嗟の出来事に全く反応が出来ず手首を斬られる9。

ルナ:致命傷ではなく、行動にも支障がでない加減。

GM(9):「……少なくと、今の貴様らよりはあの方は遥かに偉大だ…!」

ルナ:「そう」
右の二の腕。左のふともも。右ふくらはぎ。

GM:追い込まれながらも9は投降も敗走の気配も見せない。

ルナ:「抵抗はどうしたの?」

GM(9):「…ちぃ!」
9は手に持った剣をなんとか瞬時に君へと目掛け放つ。

ルナ:「遅いわ」
9の親指を切る。

GM(9):「―――」
からん――支えをなくし剣は乾いた音を立てて落ちる。

ルナ:「雨はいやね」
ポツリと、呟く。見ようによっては、笑顔に見える表情で。

GM(9):「……人形が、貴様らはただの言いなりの人形だ!」

ルナ:「雨が降らないように、焼いてしまいましょう」
9の首を斬る。剣に魔力を纏わせて、焼き切る。
「次ね」 死人に口無し。次の敵を探しに行くよ

GM:それは全く無駄の無い完璧な断罪。
9は静かにその首を落とされ命を絶たれた。

そして中央部へと続く通路の先、一つの扉を開けた瞬間。
内装が今までと少し違う荘厳な作りの場所へと辿りつく。

そこには二人の人物の姿。
いずれも漆黒に身を包んだ人物。

GM(4):「追っ手か。…私が相手をしてやろう」
片方の人物がそう言って腰に下げた銃を手に。

ルナ:「大言できるほどの力?」

GM(4):「少なくともお前よりは上のつもりだ」
言って刹那の銃弾が数発、君目掛け放たれる。

ルナ:避けられるなら、一発だけ頬を掠らせる

GM:確かに悪くは無い腕だ。
だがそれもあくまで君にとっての平均より上というだけのもの。

ルナ:「そこが知れる……いいわ。少しだけ本気を出してあげる」
日傘を畳んで床に置く。そして、剣を両手で持つ。

GM(4):「――舐めるな!!」
言って4の数字を持つ男は今度は両手に銃を構え
数十の銃弾を君へと乱射する。

ルナ:「悪くないわ。でも、それだけね」
身を低くしてやり過ごす。
「だって、上半身しか狙ってないもの……バカ?」

GM(4):「…貴様…何者だ!貴様のような奴など知らんぞ!」

ルナ:下方から上に振り上げる。〈真空斬〉です。
「はいはい」
「横の繋がりが薄いのも、問題よね」

GM:咄嗟に銃を持った両手で防御の姿勢を取る。
だが君の一撃は余りに重く、4はその姿勢のまま背後の壁にへこみをつけ激突する。
「―――がッ…馬鹿な…これほどの力も持った奴など……!」

ルナ:「教えてあーげないっ♪」
笑ったような表情で答えてあげようか
「少し、強すぎたかしら? でも、それで終わり――じゃあないわよね?」

GM(???):「…もういい、後は私がやる。お前は下がっていろ」
4がすでに戦闘に支障をきたすダメージを受けたのを見かねて
もう一人の男が静かに君と対峙する。
その男は腰に下げた二刀のカタナを手に取り君へと向ける。

ルナ:「あなたは……強そうね」

GM(???):「現存する中では、な」

ルナ:「それとも見た目だけかしら……戦えば、分かるわ」

GM(???):「………」
言って刹那の二刀が君へ向けて放たれる。
君は回避寸前のところを足首を斬られ、この戦いにおいて始めての負傷をする。
「落すつもりが避けられたか…本当に何者だ。お前ほどのやつ、私が知らないはずが…」

ルナ:「知る必要、あるの?」

GM(???):「…いいや、いらぬ会話だったな。
お前も全力で来い。手の内を隠されていても私としてもやり難い」

ルナ:「嫌」

GM(???):「そうか、ならば無理矢理にでも引き出させてもらう」

ルナ:「せっかく、楽しめそうなのに……。一合で終わるのは、勿体無いわ」
間合いの外から斬撃を放ちます。真空斬+ソードダンス

君のその斬撃に対し、相手も全く同じ攻撃で相殺をする。
そして相殺されたのを見計らって瞬時に君へと近付く。
そしてそこから斬撃、斬撃、斬撃。息をもつかせぬ連撃。

ルナ:こともなげに合わせる。

GM(???):「……フッ」
その斬撃のさなか、何かを悟ったように男は笑う。

ルナ:二刀――期待はしていたけど、この程度?
――まさかね
「ねぇ、もっと速いでしょ、あなた」

GM(???):「…ああ、そうだな。どうやら全霊を込めないとお前には届かない、か」

ルナ:「本当なら、一本の私より速いんでしょう?来なさい。受け止めてあげないけど」

言って、男は二刀のスピードを全力で放つ。
それは音を越える超速の神撃。
そしてその二撃に乗るのは剣王の息吹《剣王極淵斬》

ルナ:《完全なる盾》
手を止めて、見えない壁に切り込む男を観察しよう

刹那にも満たない瞬間。
男の剣は君の眼前に生まれた壁の前に――ばきぃぃぃん!!
その刃が、砕ける。

GM(???):「…やはり、か」

ルナ:「はい、御仕舞い♪ 残念だったわね」
男の腕を斬りとばしてみる。

GM:男の腕が抵抗する事なく、飛ぶ。
もはや男には分かっていた。この結果も故に抵抗は無い。

ルナ:「あら? 少しは足掻いてみなさいよ」

GM(???):「無駄だろう。すでに先の攻防で理解できた。
お前の能力は私を超えている。だからこそお前がここに向かわされたのだろう」
男は抵抗する事無く静かにそう言って、君を見る。

ルナ:「達観してるのね。お喋りも楽しめないなんて……」

GM(???):「お前ならば私よりも遥かに優秀な統治者となるだろう。さあ――やれ」

ルナ:「そうね。シリウス様を待たせても悪いわ」
さっさと首を刎ねよう

そうして眼前の男の首は刎ねられた――。
刎ねた瞬間、男の後ろ首に刻まれた数字が君の目にとまる。

それは――“1”の称号。
静かにデカス(漆黒種)1の首は地に落ちる。

ルナ:剣についた血を男のコートで拭いて鞘に納める。

GM(4):「……申し訳ありません…ガドフリート閣下…」
そう言って残る4の胸に大穴が開く。
君の背後から合流した上官――シリウスが放った攻撃によって。

ルナ:「あら? 後で楽しもうと思ったのに……」

GM(シリウス):「迅速にと言ったはずだ。遊ぶな、ルナ」

ルナ:「申し訳ありません。これでよろしい?」

GM:シリウスは手に持った真紅の刀を鞘に収め言う。
そして倒れた躯の一つ――デカス1の首を確認する。

ルナ:「ねえシリウス様。叛乱できるほどの実力……彼らは持っていたの?」

GM(シリウス):「…奴らもそれなりの腕はあった。
だが心が弱かった、いや、“心があった”のが過ちだった」

ルナ:「そう」 日傘を拾って広げる。

GM(シリウス):「任務は遂行だ。それとこれでお前へのデカス1への称号を正式に渡せる。
アケルナル総統もお前へのこの称号を渡すのを楽しみにしておられたからな」

ルナ:薄い生地の手袋をはめた指で自分の髪をくるくると弄ぶ。ウェーブのかかった斑の髪だ。
「No.1? 意外と弱いのね。いえ、弱かった、かしら?」

GM(シリウス):「お前が例外なだけだ。それと敵には敬意を払え」

ルナ:「シリウス様は武人なのね……。私もその仲間入り? なら、敬意を払わなきゃね」
No.1の頭を拾ってもとあった場所に置く。

GM:君のその言葉にはただ黙り、彼は腕の中にある不気味に輝く球型の水晶を確認する。
「『E』も奪還できた。5の方もオレが始末しておいた。このままこの船で帰還をするぞ」

ルナ:「分かったわ。……お茶でも入れましょうか?
これほどの船ですもの。多少の準備はあるでしょう」

GM(シリウス):「…後でもらおう。お前はそれまで好きにしていろ」
言ってシリウスは機関室へと向かう。

「……“心”か」

ぼそりとシリウスはその言葉を言い、この場より去った。

◆   ◆   ◆

―――数時間後。
『機関』本部、神の居城『星王殿』 地下深くにて―――

そこでは複数のカプセルが空間を埋めるように存在した。
そのカプセルの中の一つにルナは休息と生体チェックのために入っている。
その身体にはすでに――“1”の文字が刻まれている。

そして、そのカプセルの中で君は心地よい感触と共に
眠りの現象を味わっていた――。


◆??? 〜白と赤と黒〜

それは―――夢か記憶か幻想か。
 “君”はそこにいた。

神の居城『星王殿』の最深部――“神の間”
そこには大いなる神の玉座に座る一人の絶対にして不可侵の存在
―――神がいた。

 “君”はその神の玉座のすぐ隣にて
自分たちの前に傅く者達を一瞥していた。

白いコートに身を包んだ5人の最高幹部
即ち――プロパテール称号の5人。

その後ろには真紅のコートに身を包んだ12人の幹部
即ち――オグドアス称号の12人。

更に最後尾にいるのは漆黒のコートに身を包んだ16人。
デカス称号の16人。

だが“君”からしてみれば目の前に傅く全ての存在のなんと矮小で
魂も存在も低い存在か。
このような脆弱で自分と同じ存在とは未だに信じられない状態だ。

そんな中、プロパテール称号を持つ一人が立ち上がり
君と君の隣にいる神へと発言をする。

「総統。そして我らが神よ。
どうしても『星触』による計画は行なわなければならないのですか」

目の前のプロパテール称号5を持つ男。
名前は確か…ヒルデベルト=アルヴァレスと言ったか。
“君”は記憶を思い出す。

「それが我らの計画であり悲願であり目的だろう」

 “君”は自分たちに存在する唯一の目的理由を目の前の男へと言う。
だが――

ヒルデベルト「…そうですか。分かりました」
言ってヒルデベルトは白のコートを翻し、跪く同胞を背に一人出口へと向かう。

「どこへ行く、ヒルデベルト」

 “君”は大して興味も無いが、去り行く同胞の背にそう一言をかける。

「……私はデミウルゴスだが人の心を持っている。心を無くした貴方達と同じ道は歩めない」

その言葉を最後にヒルデベルトの気配は消えた。
君は隣の座る“神”へ如何致しますか?と指示を仰いだ。

「放っておけ。所詮、奴一人では何もできん。
精々、我ら神を相手にどれほど滑稽な抵抗をできるか、見物するとしよう」

 “神”のその言葉に従うように君は頷く。

だが不思議と“君”の中にはある感情が芽生えていた。
ヒルデベルトがどう足掻き、どう抵抗し、どう戦い挑むか。
興味、否―――愉しむ。そんな感情がふとよぎる。
この時、傅く存在の中で唯一、一瞬だけ顔を上げた
オグドアス10・ミシュラは自分たちの総統・0が始めて“笑み”を浮かべていたのを見た。

◆???終了

GM(シリウス):「ルナの調子はどうだ、マーク博士」
シリウスはカプセルの中で眠るルナを見て、彼女の前にて画面操作をする一人の研究者に問う。

GM(マーク):「…信じられない数値を出している。
能力だけなら貴方達、オグドアスに匹敵するかもしれません…」

GM(シリウス):「…そうか」
言って、シリウスは目の前のルナの姿を見る。

GM(マーク):「…1はこれからも機関に?」

GM(シリウス):「ああ、アケルナル総統が特にルナを評価している。今更、罪悪感か?」

GM(マーク):「…まさか」
言いながら研究者は数値のデータを打ち続ける。
しばしの沈黙の中、シリウスはマークへ最後に問うた。

GM(シリウス):「ルナは夢を見ているのか?」

GM(マーク):「さあ…例え見ていたとしても覗き見るような装置など存在しませんよ」

GM(シリウス):「それもそうだな」
シリウスは刀をさげ、静かにこの場を後にする。
「夢か。それも人に与えられた他愛も無い現象なんだろうな…」

 
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