第二十二章「両雄邂逅」
◆クライマックスシーン 〜蘇る黄金〜
王城を脱出してより半日。すでに日が昇ろうとした時刻。
クフィル達は無事に安全と思える王城を見渡せる丘の上まで来て船体はそこに着陸する。

GM(アイリーン):「ここまで来ればとりあえず、連中も追ってはこれないだろう。
しっかし、これからどうしたものかね」
アイリーンは船を固定し、君達へそんな事を。

だが、その時だった。

不意に眼下の王城にて何らかの動きが発生する。

“ざ……ざざ……ざざっ……”

それは王城だけでなく王都全体に行き渡る程巨大な空中に映される映像。

GM(アイリーン):「星機器か、宰相辺りが何かくだらないことを発表するみたいだね」

ライラ:GN粒子飛ばして干渉してぇ(笑)

クフィル達全員は船体から降り、丘からその映像を見ることに。
まず最初に映ったのは―――光輝五星統括セオドル=グランコーツ。
セオドル
『王国に存在する全ての民、騎士達よ。卿らに残念な訃報がある』

王国中の空に映し出されたスクリーンの先でセオドル=グランコーツはそう切り出した。

『我らのヴァーレンハイト王国国王にして唯一の王であったベテルギウス様が昨夜
ある者達によって暗殺された』

そう告げるセオドルの言葉に王都中の民の混乱する声が聞こえるようだった。

『だが、安心してくれたまえ。王国の民の達よ。
その国王暗殺の主犯の一人は、すでに捕らえた。
そして、今からその者の―――処刑を執り行う』

GM:そうしてセオドルは自らの後ろにある物を見せる。そこにあるのは咎人を葬る為のギロチン。

ライラ:そんでレイルだったら発狂すんぞ。

だが、そのギロチンに首をセットされていたのは――王国宰相・ヴィクトル=フォン=アルバレート。

クフィル:うむ、そうだろうよ。

ライラ:予想通りでフイタ

GM(ヴィクトル):「ち、違う!私では無い!これは陰謀だ!セオドル!!貴様ぁぁぁぁ!!!」
ヴィクトルは動かぬ首のまま、そう恨めしそうにセオドルを責める。
だがセオドルはそんなヴィクトルの戯言などまるで意に返さぬように手を上げる。
それと同時に―――ギロチンの刃は振り下ろされ
王国の宰相はあまりにあっけなく舞台から退場する事となった。

『見ての通り、主犯の一人ヴィクトルは処刑した』

処刑の有様を一通り見せたセオドルは続けて言葉を切る。

『だが、もう一人の主犯、宰相と共に王国転覆と国王抹殺を企てた者。
この国の第二王子・クフィルは未だ捕らえられていない。
帝国との戦争も近いこの状況でこのような事態が起こり
諸君たちが混乱するのも無理はないかもしれない』

王都中の民の不安を感じ取るようにそう述べるセオドルであったが
次の瞬間、その表情は揺ぎ無いものへと変化する。

『だが、どうか安心してくれ。
すでに――この国の新たなる王はここにおられる』

そのセオドルの宣言と同時に再び、画面はセオドルから別の人物へと移る。
その者の姿を見て、クフィル達は、なによりライラは驚いた。

手に握るは―――輝く黄金の剣。
その髪も同じく太陽のような金。
輝く王の衣装を身に纏う者。

『彼』の姿を見た瞬間。
アスタロトは【真白の宝石】が共鳴するのを感じた。

『彼』の姿を見た瞬間。
ライラはその姿、手に持った【黄金の剣】。その全てがかつての主・ヒルデベルトと同じ事に驚く。

そしてまた――『彼』を見た瞬間。
クフィルはその胸の内が何かに共鳴したのを感じた。

その人物。
黄金の剣を手にした―――レイル=ディラスに。

クフィル:「中々どうして。様になってんじゃねぇかよ、レイ」
友の姿を見やり、不敵に微笑む。

画面に映し出された荘厳な姿のレイルを画にセオドルの声が王国中に響き渡る。

『彼はレイル=ディラス。
ベテルギウス様がなくなる前に、彼は王の証をベテルギウス様より授かった。
そう、彼の手にある剣こそこの王国の建国の証にして王の印、【黄金の剣(アルナ=ゴルト)】』

ライラ:「ヒルデベルト様……」 言葉が零れる。

『民たちよ。恐れる事は無い。帝国との戦争は――我々が勝利する』

セオドルの言葉を受け、レイルは静かにセオドルの前に立ち、その剣を抜き、宣言する。

「今より、帝国との全面戦争を開始する」

「「「わああああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」」」

それは王都を見渡す丘にあって尚も聞こえる民達の奮起の声。
自らを率いる王に従い、敵国を討つ決意を秘めた戦士達の鬨の声。

アスタロト:レクトルやフィーの事を思い出し、複雑極まりない心境で情景を見つめます。

GM:そうして全ての宣言を終え。
セオドル、そして黄金の剣を構えたレイルの姿は静かに――消えていく。
そして一連の出来事を見終えた船長アイリーンは
「ふ〜ん、なんだか面白い展開だねぇ。戦争かぁ。
アタシも参加したいけど、とりあえずアタシは殿下に付くって決めたしねぇ」と呟く。

クフィル:「“船長”も物好きだな」 船長の言葉に笑って答える。

GM(アイリーン):「それで、殿下はどうする?」

クフィル:「俺は…俺がやりたい事をやりたいようにやるさ」

「ならばまずは『機関』を潰すのを先にしてもらおうか」

瞬間。

その声はクフィルの耳に入った。
その声に惹かれるように、クフィルは知らずに後ろを振り向いていた。

そこには―――男がいた。

その人物を見た瞬間、クフィルは今まで出会ってきた者達、その全てを凌駕する何かを感じ取った。
そう、それは言葉に出来ない感覚。魂が本能がイデアが震えるような感覚。
例えるならそれはまさに“運命”という言葉を感じ取った瞬間。

まるでそれはここで出会うように定められたように。

「ヴァーレンハイト王国第二王子・クフィル」

銀の髪を靡かせ――男は静かにクフィルへと近づく。

クフィル:鏡写しのように同じ動作で近づく。

「私と共に『機関』を潰せ」

靡く銀の髪。雪のように白い肌。何よりその美しく儚げな容貌と反した強い意志を宿した瞳。
それはまるでクフィルと同じ王の素質を持つ者の瞳。

「私の名は――ユリウス」

男は名乗る。

「ラヴァード帝国第二皇子・ユリウス=アーグスト=ラヴァードだ」
ユリウス
それは出会い。

『王者』と『覇者』の始めての邂逅。

今、物語は大きく動き始める――。


◆幕間シーン 〜フィーとガゼルの冒険譚2〜
ぜーはーぜーはー。フィ…フィーよ…。
ガゼルのアホの馬鹿の方向音痴のせいで森林を数日さまよったけど無事に抜けられたわよ!
い、言っとくけど何度も言うけど迷ったのはアタシじゃないからね!!
とにかくようやく王城が見えてきたわ…―――あ!あ、あ、あそこに…いるのは……!
王国領にしかいない幻の猫・キャットミミー!きゃ〜!キャットミm(ぶつん)

ユリウス「…エスペランサー・セイバー(きら〜ん)」

クフィル:噴いたwwwwwwwwwwwもうwwwwwwwwwwwPLが惚れるwwwww

ライラ:モフモフしたいwwwキャットミミーじゃなくてフィーをwwww

アスタロト:フィーwww輝いてるよwww

GM:いらん幕間シーンは終わりにして改めて続きをいきましょうか(笑)


◆クライマックスシーン2 〜両雄邂逅〜
ユリウス=アーグスト=ラヴァード。
そう名乗った銀色の髪を持つ男はクフィルに言った。

GM(ユリウス):「ヴァーレンハイト王国第二王子クフィル。
私と共にこの世界の遺物『機関』を滅ぼせ」

クフィル:「いいぜ」 即答。

GM(ユリウス):「そうか」 君の即答を受けユリウスと名乗った男は
「話しには聞いていたが本当に予想通りな男だな」
と、風に流される髪を手で流しながらそう答える。

クフィル:「期待に添えたか?」 一々可愛いなユリウス(笑)

GM(ユリウス):「そうだな。ある意味では」
言ってユリウスは視線をフィルの隣にいる少女――ユニに移す。
「お前とも久しぶりだな。――キリエ」

“キリエ”

ユニに対しそう呼んだ名前にアスタロトは聞き覚えがあった。
記憶が確かならそれは2年ほど前に行方不明になった
帝国の正当なる血筋を引く第一皇女。その名がキリエ。

GM(ユニ):「…ひ、久しぶり、です。ユリウス兄さん…」
ユニはユリウスに対してはどこか少しよそよそしい挨拶をし、それを受けたユリウスは瞳を閉じる。

ライラ:ナナンダッテー!

アスタロト:アスタロトは当惑するも、なおさら、その名が持つ威圧のために言葉を失う。

GM(ユリウス):「…その様子では変わってないようだな。まあ、今はお前の事は後でも構わない」
そう言ってユリウスはアスタロトの方を向く。
「あの会議以来だな。壮健の様で何よりだ、アスタロト」

アスタロト:「それは、光栄です、ユリウス、様――」
状況を飲み込めず無難な言葉を選んで返事を返そうとする。

GM(ユリウス):「何故私がこんな所にいるか、疑問に思っているような顔だな。
とりあえずはその件から話した方がいいようだな」
言ってユリウスは瞳だけを帝国領の方へと向ける。
「お前達が帝国領を抜けてすぐに私は帝国に…いや、この世界の裏に存在する
『機関』について調べ、それに接触する事に成功した」

クフィル:「利用するために、か?」

GM(ユリウス):「その通り」
視線を動かす事無くハッキリと宣言した。
「だが、その『機関』という連中に取って、どうやら私という存在は
厄介以上に“障害”と見なされたらしい。我が帝国の“天皇大帝”が『機関』の一員である事は
お前たちも周知の事だろう」
君達の反応を窺いながらユリウスは続ける
「私は機関メンバーの“天皇大帝”より王位継承権を剥奪され抹殺されかかった。
まあ、それより早く帝国領から脱出する事はできたがな」
言ってユリウスは君達に視線を移す。
 
「そしてハッキリと理解した。『機関』という存在はもはやこの世界において
ただの古き遺物にしかすぎない。いつまでも過去のようにこの大陸を支配するのが使命と考え
それ以上を行なえない進化をなくした連中にこの大陸を支配する座に預けるわけにはいかぬ」

GM(ユリウス):「奴らは利用する価値も無い“滅ぶべき存在”
故に、奴らを打倒しようとしているお前達と一時的に手を結ぶ。そう言う事だ」
涼しげな雰囲気はそのままで、しかしユリウスから放たれる威圧感は
不思議と魂の底まで響くようなものがあった。

クフィル:「『機関』が使えなかったから今度は俺達を利用したいっつー事だろ?」

GM(ユリウス):「利用も協力も結局は同じ事。
他者の力を借り、それの力を最大限有効活用する。
言葉の言い方に拘りがあるなら好きな方で言うがいい」

クフィル:「いいんじゃねぇの?やり方なんつーのはソイツの好き好きだろ」

GM(ユリウス):「ではお前達全員、『機関』を潰すまで、私と手を結ぶと言う事で構わないな」
そうユリウスはクフィル・アスタロト・ライラ。全員を見て確認をする。

ライラ:節操ないなァと思いつつも頷くしかなさそうだ

GM:最も効率的なやり方を第一にしてますからね。節操とかそういうのはほぼ無視しますから彼(笑)

アスタロト:レクトル様のご親族とあらば断れなさそうだ

クフィル:「俺はお前を利用する気も利用される気もねぇよ?」

GM(ユリウス):「好きにするがいい。私も自分の考えた通りにしか動くつもりはない」

クフィル:「共に戦う仲間としてなら歓迎するけどな」
ニヤリと笑って手を差し出すよ。

GM(ユリウス):「………」 差し出された手を無視してユリウスは君から離れる。
「馴れ合うつもりはない」

クフィル:「うるせぇ、我が儘言うな馬鹿」
無理やり手を握ってぶんぶんと振る。

GM(ユリウス):「………気は済んだか」
すげぇ冷めた態度。

クフィル:「……にゃろう…(ビキビキ」

GM(ユリウス):「…ああ、それともう一つ。帝国の新皇帝が決定した。
第三皇子のフィリップだ。と言っても“天皇大帝”や他の家臣達の傀儡にしか過ぎん」

クフィル:「ま、扱いやすいだろうしな。どこかの誰かさんと違って!」

GM(ユリウス):そんな君の皮肉を軽くスルーしつつユリウスは付け足すように続ける
「…あと、これも言い忘れたな。恐らく“天皇大帝”から私の排除の為に刺客が来るだろう。
いや――」

「もう来ている、か」

「…もう来てる、な」

ユリウスとクフィル、二人がそう台詞が言い終わるのと同時だった。

GM(ガゼル):「探しましたよ。ユリウス殿下。それに―――クフィル」
その声と共に森の奥から現れるのは二人の男女。
それは帝国の七将王の二人、ガゼルとフィーだった。

クフィル:「よー…壮健そうだなガゼル、結構結構」
ガゼルの姿を確認してニヤリと笑う。
「それに…あー…可愛い子ちゃん?」

GM(ガゼル):「王国に来るたびにお前に会えるとはな。軍神の導きに感謝だな」

クフィル:「運命の赤い糸だろ」
ガゼルの言葉にこちらも笑って答える。

GM(フィー):「……誰が可愛い子ちゃんよ…」
フィーはフィルの軽口を無視し、その瞳はフィルでもユリウスでも無く、アスタロトに向けられていた。
「…アスタロト…」

アスタロト:「……」
伏せ目がちに目を合わせ、痛むほどに唇を噛んで沈黙する。

GM:君の姿を確認するとフィーはすぐさまに腰のホルスターから
二挺の銃を取り出し銃口を向ける。

アスタロト:フィーのその動作を確認して、同じようにライフルを構える。

GM(フィー):「アスタロト。アタシはアンタに聞きたい事がある…。
だけど…それよりも先にアタシはアンタをぶちのめさないと気が済まない…。
アタシと、ここで――戦ってもらうわよ。冗談でも訓練でも模擬戦でもない―――本気で」

アスタロト:「……フィーさん…あなたは、私の言い訳にしかならない言葉など
聞きたいはずもないでしょう。だから、私も、今は何も言いません。
そして、無論、負けるつもりも――ありません」

GM(フィー):「――よく言ったわね。いつも弱気なアンタが。いい覚悟よ!」
そうして戦闘態勢へと移るフィー。
そんなフィーとアスタロトの姿を横目で見ていたガゼルもまた眼前のフィルへと視線を向ける。
「全く…オレ達の任務はユリウス殿下の抹殺だって言うのに…
まぁ、オレも今は任務よりも私情で動きたい気分だがな」
ガゼルもまた腰に下げたナタ状の剣を両手に構える。

クフィル:「あっちはあっちで盛り上がってるみてーだしな」
トントンと軽く跳躍し体をほぐす。

GM:構えていたガゼルだが、不意にその視線がフィルの隣にいるユニに向けられる。
「――クフィル。その娘とは今までずっと一緒だったのか」

クフィル:「おー、まぁ大体そんな感じだな」

GM(ガゼル):「そうか」
一拍置いた後に「なら、その件に関してはお前に礼を言っておこう」

クフィル:「あんでよ?」

GM(ガゼル):「答える義理は無いさ。会話はこれぐらいにして
そろそろ始めようぜ」

クフィル:「ここは戦場、語る言葉は剣にて、ってか。ま、嫌いじゃねえよ」

GM(ガゼル):「フッ、ならば――」

「いくぞ!!」
「いくわよ!!」

クフィル:「いくぜ!!」
アスタロト:「いきます!!」

その敵味方、同時の掛け声と共に戦闘は開始された。

 
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