◆GMシーン 〜英雄の死〜
「…はぁ…はぁ、はぁ……」 そこは血に染まった戦場だった。 地平線を埋め尽くすほどの軍勢。それら全てが地表を埋め尽くすように倒れている。 足元にあるのは血の海とそれに染まる兵士達の死体。 その戦場の中心でレクトルはただ一人立っていた。 「……はぁ…はぁ……ッ」 その身体はすでに無数の剣を受け続け、槍や矢が未だ刺さったまま 己の持つ剣も折れ、片腕や片足も砕けあまりの出血に意識すらも朦朧。 そんな普通の人間ならばとっくに意識を失い絶死している状況下で 彼はただ一人、未だ戦い続けていた。 |
「……なる…ほど…」
静かに血に染まった体を動かし、歩かぬ足で歩を進め、折れた腕で剣を構える。 「…この布陣…そして…この状況下でお前の投入……」 レクトルはすでに戦える身体では無い。 だがそんな状況下でも彼は眼前に現れた敵へその剣を向ける。 「…やはり、これは……ユリウスの策か…」 彼の前に現れた者。それは大きな鎌を持った一人の騎士。 その鎌はまさに罪人を斬るために存在する処刑武器そのもの。 「…“処刑人”アーグスト=ミュラー……」 名を呼ばれた騎士は答えない。ただその返答の代わりに手に持った大鎌を構える。 「…最後の相手がお前と言うのも…悪くは、無いな…」 レクトルもまたそれに呼応するように剣を構える、そして―― ずばああああぁぁぁんッ!!! 両者の武器は振り下ろされた。 「――――」 静かにレクトルが倒れる。 ミュラーの放った大鎌はレクトルの命を正確に奪った。 レクトルの最後の剣はミュラーに――届かなかった。 そして倒れる刹那。レクトルは己の人生の中で二人の大切な人物を思い出しその名を呟く。 「……アスタロト……クレイン……―――」 “どさり…” 静かに英雄は斃れた。 レクトル=へルアー=ラヴァード。 帝国の第一皇子にして七将王の統括“英雄騎士”であった男。 だが最後の瞬間において男はその二つの肩書きのどちらでもなく ただ己の信念に従い大切な者を護ろうとした戦士に過ぎなかった。 それが彼の最後の生き様であり、死に様だった。 静かにその場を包むように雨が降り出す。 そしてそんな雨の中、レクトルの遺体を見ていた処刑人の背後に人の気配が現れる。 現われたる人物は、“四季の華”ブルーメ。 未だ傷は癒えていないが、その状態でも彼はこの場へと来た。 「……殺したのですか、レクトルを」 「ああ」 「…そう…ですか……」 感情の欠片も無く、ただ事実のみを伝えるミュラーに対し ブルーメはどこか深い感情を抱くように呟く。 そんなブルーメの様子をまるで気にしないように処刑人ミュラーはマントを翻し 王国領へと足を向ける。 「…どこに行くのですか?」 「…王国へ」 「……何をしに?」 そんな質問などこの男には無用。それを理解していてブルーメは確認をした。 「私がする事はただ一つ」 「―――暗殺、だ」 「…チェックメイト」 静かにその男は盤上の駒を動かす。 城の奥。夜の闇が支配が終わり 開けた窓からは朝日が差し込む、その白の部屋で男は チェスが置かれた机を前に静かに座っていた。 「兄上。“英雄騎士”レクトル。 貴方がこうなる事は予期していた。貴方は人として出来すぎていた だから今回の仕掛けられた戦争に対し、必ず反抗を行なう。 そしてその時こそが貴方を葬る絶好の好機」 静かに銀の髪揺らめかし、その男は立ち上がる。 「レクトルが死ぬ事により彼を慕う我が帝国の民は悲しみに包まれる。 そしてその元凶が敵国の王子・クフィルにあるとすれば 悲しみは怒りとなり、我が帝国の忠実な兵士となる」 まるでこれから先の出来事全てを見透かしたようにその男の瞳は凍てつき、呟く。 「――カール。発表の準備をしておけ」 「…はっ、了解致しました。ユリウス様」 その男。帝国の第二皇子にしてこの時代最高の天才は 眼前に控える七将王カールへとそう命令を下す。 「それともう一つ。兄上は何らかの裏の存在と通じていたはず。 それも探っておけ」 「…は、しかしながら、何ゆえそのような事を」 カールはアスタロトから言われた『機関』という言葉を頭の端に思い出しつつ 目の前にいるユリウスへと問う。 「この帝国だけではなく大陸すらも影響を及ぼす存在。 ならば利用する価値はある。それだけだ」 「しかしながら…レクトル殿はその存在に取り込まれ利用され、このような末路を遂げた。 であれば、介入するのは危険ではありませんか」 「その時は」 ハッキリと。ユリウスはカールの言葉を遮った。 「もしも私の害となり。我が道の『覇道』の邪魔になるようならば。 その時は―――」 「その存在を、滅ぼすまでだ」 カールは背筋が凍る感覚を味わった。 かつて彼の人生において目の前の男を凌駕する存在を彼は知らない。 目の前の男・ユリウスは己が進む道のためならば如何なる犠牲をも払い そして確実に『結果』を残す。 同時にカールは思い出す。 あの時、城の通路で出会った、このユリウスと対極なまでのあの男の事を。 『結果』ではなくその『経緯』を大事とする王者を。 「…歴史が、動き始める」 カールの呟き通り。 今、まさに星の伝承記の歴史は動き始めた。 ◆ミドルシーン7 〜王都への帰還〜 レトの丘。朝日が昇るその場所までクフィル達は無事についた。 そこにはすでに皆を待っていたのであろうユニの姿もあった。 「あ!みんな〜!」 ぶんぶんと勢いよくユニは手を振る。 そしてユニと合流を果たしたレイルは肩に担いだクフィルをそっと降ろす。 そうしてクフィルは降ろされた感覚とユニの声で目を覚ます。 クフィル:「……」 周りを見渡し、現状を把握する。 「……ッ」 レクトルは、居ない。 「よぉ…無事だったか?」 ユニへと。 GM(ユニ):「う、うん。イーグルさんが先にここまで逃げておいたほうがいいって言ってくれて… それよりもフィル、大丈夫?なんだか…元気ない、けど」 クフィル:「…そうか?いつも通り元気で素敵なクフィルだぜ?」 GM(ユニ):「…そう?うん、でもあんまり無理はしないでね。 もしフィルが辛かったら私が支える番だから」 クフィル:何とか微笑むが様にならない。 GM(ユニ):「…フィル……」 君のその表情を見て、一瞬言葉を詰まらせるユニだったがすぐにいつもの表情を浮かべる。 「…ん、フィルは頑張りすぎだよ。もっと皆に頼っていいと思うよ! ほら!王様は自分ひとりで立ってるわけじゃないんだから! フィルの傍には仲間がいるじゃない、私も含めて。 だから元気がなかったら、その分、私達がフィルに元気を分けるよ」 言ってユニは君の胸を小突いて笑う。 そのユニの言葉に賛成するようにレイルもまた君の傍に来て静かに微笑む。 「…いつまでも後悔していても始まらないよ、フィル。 彼の意思のためにも僕達がすること、分かっているだろう」 クフィル:「…ばーか、誰にもの言ってンだよ。俺を誰だと思ってるんだっつーの」 GM(レイル):「はは、それもそうだね」 クフィル:「後悔なんていつでも出来る。 今俺達がやらなきゃいけない事、俺達にしか出来ない事をやるだけだ」 GM(レイル):「なら、まずは王都へ戻ろう」 そして、そのレイルの発言を継ぐようにイーグルが言う。 「王都に戻ってするべき事は…まずは王都側に存在する 『機関』に連なる者を見つける事、ですね。あの時、会議の場にいた連中の誰かになりますけどね…」 クフィル:「あぁ、残念だがな」 GM(レイル):「それをハッキリさせるためにも戻ろう。王都に。 ライラもアスタロトさんもそれでいいかな?」 アスタロト:「はい、勿論構いません」 ライラ:「はい。それが現在取り得る最善の策だと判断します」 GM(レイル):「じゃあ、フィル。出発の合図、お願いするよ」 笑みを浮かべ親友は君へそう言う。 クフィル:「…あ、合図?」 周りに居る皆を見る。 GM:レイルもユニもイーグルも君に信頼を置き、君の言葉を待っている。 もう君はこの中でのリーダー、王として認められている。 クフィル:「…参ったな。俺ぁンな柄じゃねぇんだけどよ」 困ったように頬をかきながら笑う。 クフィル:「あー…その…なんだ…」 「………」 一瞬眼を伏せ言葉を考える。 「(…言葉遊びは柄じゃねぇ、か)」 ならば素直に自分の心からの言葉を、真摯に伝える。 「皆、俺に力を貸してくれ」 GM(レイル):「勿論、当然だよ。フィル」 GM(ユニ):「はいはい〜!いいよ〜!」 GM(イーグル):「殿下の臣下としては当然ですよ」 ライラ:「是非も有りません。あなたは主の主ですから」 これ、わたし混ざってもいいんだよね? GM:全然混ざってください(笑) アスタロト:「全幅の信頼と共に、あなたにご協力させていただきます」 今、ここに物語を切り開く者達の絆は一つとなった。 やがてその絆が世界の運命を切り開くための始まりとなる――― GM:と言う事で君達は無事に王都に帰還を果たした。 さて、これからですけど。 国王ベテルギウスのいる部屋まで誰にも見つからずに向かう事は可能です。 彼に報告するもよし、この時点から君達が何かを考えて行動するもいいです。 ちなみに王都ではすでに帝国で起こったことは広がっている。 「曰く、クフィル王子が和平条約を利用し皇帝暗殺を為した」 「曰く、帝国との戦争が起こる」と。 クフィル:どう考えても俺悪人ですからね^^; ライラ:町に潜入して情報収集みたいなデルタフォースじみたことができればいいのですが あいにくこの娘は脳筋です(´・ω・`) クフィル:まぁなんにせよ、オヤジに報告はしますが。 GM:情報収集ならイーグルという実に使える奴がいます(笑) アスタロト:私が帝国の人間ということは、格好や情報でばれそうですか? GM:いや、それくらいなら大丈夫ですよ。堂々としてれば逆にばれません(笑) アスタロト:堂々と(笑)了解です(笑) では、アスタロトは情報収集に行ってもいいでしょうか。 ライラ:噂の出所を全力でたどってください(笑) 宰相の家の使用人がばら撒いてたとか拾えればビンゴです(笑) GM:それでもいいですね。ではクフィルは王様と会いに行くと。 アスタロトは情報収集でいいですかね? ライラ:ライラはレイルについていく。 彼がこれから忙しくなりそうなのであれば、あたりをブラついて 地形や路地を頭に叩き込んでおこうと思います。 GM(レイル):「じゃあ、ライラは僕と一緒に行こう。万一のときの為に 城の地形も覚えたほうがいいからね」 ライラ:「はい。お手間を取らせます」 ぺこりと頭を下げて、レイルの後ろをとてとてとついていく。 GM:ではクフィル・ライラ・レイル達はベテルギウスの私室へと向かった。 ――ベテルギウス私室 ライラ:ぴんく一色だったりしたらどうしよう GM:ベテル「いくらアタシでもそこまでしないわよ」 GM:部屋に入って、ベテルギウスは一瞬驚いた表情をするがすぐに喜びの笑みを浮かべる。 「クフィル、生きていたのね〜!心配したわよ〜! どっかでくたばったかと思ったけど、無事に帰ってこれたのね」 クフィル:「…勝手に殺すんじゃねーよ糞オヤジ。もうこっちまで噂は来てると思うが…」 GM(ベテルギウス):「…ええ、聞いてるわ」 その話題が出ると彼は表情を真剣なものへと変える。 「厄介な事になったわね。正直、予測できなかったわ。 これも全部、アタシの詰めが甘かったせいね…」 クフィル:「今回の件には『機関』とやらが関わっているって話だ」 GM(ベテルギウス):「…『機関』…」 ぴくりとベテルギウスの眉が動く。 「聞いた名ね…この世界を裏で総べようとしている、いやらしい存在の名前だったかしら…」 クフィル:「それから…王国にも協力者ないし内通者が居る」 あの時の面子の中に居る可能性がある事を説明しておきます。 GM(ベテルギウス):「…予想は、できていたわ。 和平会談の事を知っていたのはあの時にいた宰相・光輝五星のメンバーだけ、 それに王家の指輪を持ち出したのもあの時だけよ。 逆に言えば、あの時にあそこにいた面子以外には…考えられないわよね」 クフィル:「あぁ、だから居るとすればその中に居る」 GM(ベテルギウス):「…アタシの目も結構な節穴になったものね」 やれやれと言った感じでため息を吐く。 「いいわ。とりあえずアンタ達がこの城に帰還したことはまだ内密にしておくわ」 クフィル:「帝国の『天皇大帝』が『機関』の一員である以上 『機関』をどうにかしない限り戦争は止まらない。それこそ両国が疲弊しきるか、どちらかが滅ぶまで」 GM(ベテルギウス):「…そこまで『機関』の存在が広がっていたなんて…」 さすがのベテルギウスも冷や汗を流す。 「…なら、目的は一つね。『機関』に連なる者を見つけ出し そいつを元に『機関』に辿りつき、根源を絶つ」 クフィル:「まぁ…噂のせいで俺が元凶になってるようなのが辛いトコだけどな」 と少し悲しげに笑う。 GM(ベテルギウス):「クフィル……すまないわね、アタシがアンタに大役を押し付けた所為で」 クフィル:「いいさ。これも『貴人の義務』って奴だ。それに…ダチとの約束もあっからよ」 レクトルに託された約束を思い出す。 「泣くのも後悔すんのも全部後だ。今は俺に出来る事をやるだけさ」 GM(ベテルギウス):「ふ〜ん、ちょっと見ない間に随分と凛々しくなったわね。 今のアンタならアタシも遠慮なく頼って良さそうね。 とりあえず、宰相・光輝五星のメンバーについて調べるのが最初ね。 アタシの方でも色々調べるから、何か分かったら連絡するわ」 クフィル:「あぁ。後、俺の事は暫く内密に頼む」 GM(ベテルギウス):「勿論よ。でも無理はしないようにしなさい、クフィル」 クフィル:「無理でも無茶でも…男にはやんなきゃいけねぇ時もあるもんさ」 GM(ベテルギウス):「そう、それもそうね」 言ってベテルギウスは君達を笑顔で見送った。 GM:さて、情報収集に回ったアスタロトさん。2D10と才覚か幸運のどちらか高いほうを足して 達成値を言ってくださいませ〜(笑) アスタロト:では、才覚が9と2D10が14なので…23です。 GM:おお〜!では情報を収集して分かる事は噂は城内から流れている。 故意に誰かが帝国で起こった事を流している。 ライラ:…ビンゴくさい? GM:あと宰相が何か戦争に向けて変な準備をしてるとかしてないとか。 アスタロト:果てしなくビンゴ(笑) GM:とりあえず、この次のシーンで更に情報を詳しく提示していく予定です(笑) |