第十二章「継承者」
GM:では次のシーンの最初は捕まっているクフィルとライラのシーンからいきますね。
その後、すぐに視点はアスタロトへと移りますので。

クフィル・ライラ:あらほらさっさ!

◆ミドルシーン4 〜継承者〜
GM:帝城の地下牢にて、未だ数時間近く捕らわれた状態の君達。

ライラ:(ごろりごろり)

GM:しかし、その場に聞きなれた声の人物が姿を現す。
「…殿下。ご無事ですか」
地下牢の暗がりよりイーグルが姿を現す。

クフィル:「よぉ…お前良く忍び込めたな」
普段どおりの笑みで応える。

ライラ:なぜ捕まってないんだ…。

GM(イーグル):「この城には以前に来た事があって隠し通路を覚えていたんですよ」
そう言いながらイーグルは真剣な表情で君達全員を見る。
「状況は聞いています。厄介な事になりましたね…」

クフィル:「だな…。何とかしてぇが手段がねぇ」

GM(イーグル):「…その件に少し関わりがあるのですが
先ほど、この帝国の新たなる皇帝が決まりました」

クフィル:「…レクトルか?」

GM(イーグル):「えぇ、レクトル。この国の第一皇子が皇帝の座につきます」

クフィル:「あぁ…だろうな」

GM(イーグル):「…レクトルは皇帝継承の為に『継承の間』と呼ばれるところへ向かいました」
しかし、そこでイーグルは今までに無い雰囲気を纏わせ言葉を続ける。
「しかし、そこで重大なことが起こりました。
オレがここに来たのもそれを殿下達に伝えるためです」

そしてイーグルより伝えられたる事実。
それは君達全員を驚愕させる内容だった。

◆    ◆    ◆

――『継承の間』

帝城の奥深く、最下層のその場所にそれはあった。

そこは淡い光に包まれた神聖な雰囲気の空間。
足元には僅かに水が張っており、目の前の祭壇からは水があふれ出ている。

GM:そして、その空間にレクトルと彼が率いる七将王、そしてアスタロトがいた。
レクトルは静かに祭壇に向かい歩き出し、はっきりとした声を上げる。
 「『天皇大帝』よ。我が名はレクトル。
亡きサイス二世の後を継ぎ、この帝国の皇帝となる者。
我が継承を認めるならば帝国の証を我に与えて欲しい!」
そのレクトルの声に応える様にこの場に厳かな声が響き渡る。
それは魂に直接語りかけるような大いなる存在の声。

『――いいだろう。レクトル。君に我が帝国の証『真白の宝石(ルア=テリス)』を与えよう』

その声と同時に祭壇の前に光り輝く純白の宝石が降臨した。

GM:それは見るだけで全てを者を圧倒する存在感を持った物体。
さすがのレクトルもその存在感の高さに一瞬、驚くがすぐに表情を戻す。
 
『さあ、それに触れ、この国の皇帝となる事を誓うといい――』

天より響く、その声に応じるようにレクトルは目の前で輝く純白の宝石に手を伸ばす。
瞬間―――
 
“こおおおおおおおおおおん!!!”

「――!」

「レクトル様っ!?」

『真白の宝石(ルア=テリス)』と呼ばれた物は何かに反応するように、その眩い光を放出する。
それは今まで皇帝となる者へ与えられるこの儀式において
このような現象は一度もあり得ない事態であった。
そのため、この場に居る全ての者達が動揺していた。そしてそれはレクトル自身もそうだった。

GM(レクトル):「…この光は…一体…?」
レクトルは宝石を手に取るが宝石はレクトルの手の中にあってもなお
その光の放出を収められない。
「…これは…まさか…いや、そんなはずは…」
そんな中、アスタロトの隣にいた“賢王”カールが驚きの声を漏らしている。

アスタロト:「カール様、何か…心当たりが…?」
未だ不安に包まれつつも、恐る恐る賢王の顔を見上げ、そう尋ねる。

GM(カール):「…あの真白の宝石は、あくまでも皇帝となる者が
それに触れ誓いを立てる為の儀式の物だった。だが、本来あれはそのような物ではない。
あれは…200年前に星触を退けた力を秘める“欠片”の一つと言われている」

アスタロト:「すると…あの『光』は…」

GM(カール):「200年間、あの“欠片”…『真白の宝石(ルア=テリス)』は主を失っていた。
そして今、自分を扱うに相応しい主を見つけた…。その光と言う事だろう」
と、そんなカール様の解説の隣りでフィーが
「さっすが!レクトル様!新たなる皇帝にして私達の統括なだけはあるわ♪」
とかピンクな声を上げている。

クフィル:流石フィーwww

ライラ:空気読まないスキル高杉ww

アスタロト:あえて読まないのか…w

GM:あの娘は究極に空気読まないぜ(笑)

PLに愛されるNPC、それがフィー。

GM:しかし、当のレクトルは静かに己の手の中にある
『真白の宝石(ルア=テリス)』を見つめ、静かに呟いた。
「……違う。『真白の宝石(ルア=テリス)』はオレを選んだのでは、ない」
そう、冷静にレクトルは宣言する。
そして、彼は宝石を持ったまま、自分の前にて控える者達を見渡し、そして――。
「……そうか」
と何かに納得したようにレクトルは呟いた。
そして、そのままの足でレクトルは――アスタロトの前まで来る。
「…アスタロト。これを持て」
そう言って彼は『真白の宝石(ルア=テリス)』を君の方へ差し出す。

アスタロト:「…これを…私が…」
静かに乱れる呼吸を抑えながら、一言一言言葉を紡ぐ。
「…かしこまりました。あなたがそうおっしゃるのならば、
このルア=テリス――受け賜らせていただきます」
 
GM(レクトル):「――ああ」
君のその言葉を受け、レクトルは一言頷き、君へ『真白の宝石(ルア=テリス)』を渡す。

GM:そして君の手に『真白の宝石(ルア=テリス)』が落ちた瞬間。
それはまるで主に巡り合えて出会いに喜ぶように静かに光を収めていく。

ライラ:エェェェェェ!

GM:そして『真白の宝石(ルア=テリス)』は君の腕の中でブレスレットのような形となり
その腕に絡みつく。純粋なまでに美しい白き宝石は君の腕の中に今、ある。

アスタロト:こ、これはもしかして星種!

GM:です!(笑)
それが貴方の星種です!書き込みしていいですよ〜。
ちなみに、こちら真白の宝石は装身具として装備可能ですので
そのデータも張っておきますから、装備していいですからね〜(笑)

「真白の宝石(ルア=テリス)」 武器レベル:− 重量:0
命中:+5 回避:+5 攻撃:+5 防御:+10 抵抗:+10 行動修正:+5 装備部分:装身具

GM:あと、これを装備すると特殊特技が使用可能なのでこちらも同じく書き込みどうぞです。

<純白の衣> タイミング:常時 対象:自身 射程:− 消費精神:−
貴方はセイバーモードを宣言した際、セイバーモードの効果終了を「そのターンの終了」ではなく
「次のターンの終了」へ変更する。

GM:以上です(笑)

アスタロト:ひとまず、アスタロトはそんな素敵アイテムをびっくりしながらしげしげ眺めている
という描写で(笑)

GM:では、そんな君の様子をレクトルはまるで愛しい娘を見るように優しく見ています。
そして、君の手をそっと手に取り呟きます。
「『真白の宝石(ルア=テリス)』をお前に託したぞ、アスタロト」

アスタロト:やったぁ、もれなくフィーに殺されますね。

クフィル:そしてフィーにまた妬まれると(笑)

GM:もれなく隣で殺意バリバリなフィーが睨みます(笑)
フィー:「ここここ!この泥棒悪魔娘!あんたとうとうこの国の秘宝にまで――」
カール:「やめんか、馬鹿者」

ライラ:後頭部をひっぱたかれるフィーがナチュラルに想像できてフイタ。

アスタロト:「光栄です、レクトル様――秘宝と帝国の名、穢すことなきよう、
この身と力を国に捧げることを、誓います」
しっかりとした眼差しでレクトルを見上げます。

その君の言葉をレクトルは正面から受け取る。
そして、その一瞬だけ、レクトルの表情に哀しみの感情が浮かび上がったのを
アスタロトは後になって気づく事となる。

◆   ◆   ◆

GM(イーグル):「…と言う事です。
現在、帝国の内部ではアスタロトを皇帝にするべきという声もあがり
レクトル自身も正式な皇帝継承の儀式を完了できずにかなり混乱しているみたいですよ」

クフィル:「ははッ、凄ぇなアストの奴。やっぱし勧誘しときゃよかったな」

ライラ:てゆか、なんでそんなこと事細かに知ってる(笑)

GM:それはこの人、情報収集に関しては得がたい能力持ってるから(笑)
「とりあえず、今、帝城内部は混乱中です。
これなら殿下たちを逃がす算段もつくかもしれません。
ちょっと心苦しいですけど、今しばらくは待ってもらえませんか。必ず脱出の機が訪れるはずです」

クフィル:「おう。早ぇとこ何とかしなきゃ皆が泣く事になっちまうからな…王国も、帝国も」

ライラ:成程成程と話を聞きながら、簀巻きライラはなんとか脱出しようと隣の牢で転がるのであった。

クフィル:何あの簀巻き可愛い!(キュン

だが、ここから物語が急速に加速していく事をこの時点ではまだ彼らは知らずにいた。


◆GMシーン 〜エトワール機関U〜
暗い深淵の間にて…今、帝国の運命が再び大きく動こうとしていた。

白い円卓に座する二人の人物。
赤い円卓に座する七人の人物。

そしてそれら円卓に囲まれるように一人の男がいた。
男の名はレクトル。七将王の統括にしてもはやラヴァード帝国の次期皇帝。
その彼がこの場にいる円卓に座する者達へ先程の事を報告していた。

「――以上が帝都で起こった事だ。貴方達の予定通り、王国との戦争は始まる。
だが『真白の宝石(ルア=テリス)』が継承者を得た。継承者は――アスタロトという少女だ」

真白の宝石に継承者が現れた。重要なのはその一点なのだろう。
この場にいて報告を受けている全員が口には出さないが驚きの雰囲気を持っている。

「報告は了解した。レクトル」

そう冷静に報告を受け止めるのは純白の席に座る人物。
続けて真紅の席に座る者が口を開く。

「ならば貴様にやってもらう事は一つだ。分かっているだろう?」

「……」

そうレクトル自身、分かっていた。
アスタロトが真白の宝石を継承したあの瞬間から自分が為すべき事を。
そのレクトルの為すべき事を純白の席に座る人物はハッキリと宣言する。

「ではレクトル。君には僕達機関の意思を果たしてもらう。
真白の継承者を―――抹殺せよ」

この場にいる円卓にいる者全てがそれに納得をし、レクトルを見る。

「…仰せのままに」

機関の意思を受け、レクトルは静かに頭を下げそれを受諾する。
だが驚愕はその後、純白の席に座る人物からもたらされたその言はこの場にいる
全員を驚愕させる内容であった。

「それとこの任務を果たせたら君に真紅の席のナンバー、オグドアスb授けよう」

その言葉には真紅の席に座る7人全員が驚きの声を上げる。
しかし、当のレクトルはいつもと変わらない冷静な表情のまま続ける。

「…身の余る光栄、恐縮です。
ですが今は当面の任務に集中を致します。では失礼致します」

その言葉を残しレクトルはこの深淵の間より姿を消す。
そしてレクトルの気配が完全に消えたのを機に真紅の席に座る者達が
純白の席に座る機関の指導者へ問いかけをなす。

「サダルスード様。よろしいのですか。あのような成り上がり者を
我ら機関のメンバーとして正式に迎えて?しかも我らと同じオグドアスbワで…」

自らの決定に疑問の声を出す人物に対し、純白の席に座る人物サダルスードはただ静かに返す。

「不服かい?ベネトナシュ」

「…いえ」

「まあ、ええやないかい、ベネト。レクトルは2年前からワイら機関のメンバーとなったけど
その2年の間にあいつはようやっとる。
何よりも今のあいつの腕は確かにワイらオグドアスuタみの腕や、資格は十分にあるはずやで」

自らの隣りに座る人物、ベネトナシュに対しそう陽気に声を掛ける人物。
その人物に対し当のベネトナシュはやや不快な表情を浮かべ、返す。

「貴様はこの席の重みが未だ理解できていないようだな。アルタイル」
 
「ワイから言わせてもらえば、お前の方が拘りすぎなんや。
そんな考え方ばっかりしとると、いつか足元すくわれるで?」

アルタイルと呼ばれたその男の軽口に苛立ちを抑えられず殺気を放つべネトナシュ。
しかし、その両者の諍いに待ったをかけるように口を開く者がいる。
それはレトの丘にてクフィル達の戦いを監視していた人物。シリウスという名を持つ男。

「二人共、それぐらいにしておけ。それよりも今は帝城にて捕らえている
クフィル、レイル、ライラ、この三人の処分をどうするかだ」

その三人の人物の名を聞き、アルタイルは嬉しそうな声を出す。

「確かにな。それにしてもお前から報告を聞いたときはまさかと思ったけど
そうか、ほんまに生き残ったんやな、あのマシーナリー・ライラが。
全く嬉しい限りやで。200年前に付けられなかった決着がようやくつけられそうやな」

そこにはかつての宿敵と再び巡り合えた喜びを感じるようにアルタイルは言う。
しかし、それとは裏腹にそれまでと同じく、否それ以上に冷静で静かな口調を誇っていた
純白の席に座る者、サダルスードがこの場にいる全員を凍らせる単語を言い放つ。

「…その三人についての処分はすでに我らが統治者0様より指示を受けているよ」

0。
その称号を持つ者からの指示という言葉を聞き、その場にいる全員が黙り込む。
それは絶対の忠義と意志の表れ。
自分たちを統治する絶対者への完全な服従の意志と恐怖。
この場にいる一人残らず異能の力を持っていながら、その彼ら全員が
その0と呼ばれる人物を恐れ、絶対の忠誠を誓っていた。

「シリウス。奴らと称号無しの戦いは観察していたんだよね」

純白の席に座る者は確認するように、そう眼下の真紅の席に座るシリウスと呼ばれる男へ問う。

「はい。あの戦闘で“欠片”はクフィル。ヴァーレンハイト王国の第二皇子が有している事が
高い可能性も確認できました」

「なら0様からの命はただ一つ」

純白の席に座る者・サダルスード
彼の口から伝わる0よりの命をその場に居る全員がすでに分かっていた。

「全員抹殺せよ。そして“欠片”を回収せよ」

◆   ◆   ◆

深淵の間より退出したレクトルはその前にて待機していた見知った人物とすれ違う。

「…ブルーメ」

「機関の任務を受けたようですね。レクトル」

七将王の一人にして“四季の華”の異名を持つ騎士・ブルーメ。
そう、彼もまた機関に連なる人物の一人であった。

「ああ」

「機関の意志を考えるならば…真白の宝石の継承者・アスタロトの抹殺。それが任務ですね?」

「………」

ブルーメのそんな問いかけに
答える気は無いと言わんばかりにレクトルは静かに歩を進める。

「情が邪魔で任務遂行で出来ない事態にならない事を祈っていますよ。レクトル」

「…フッ」

ブルーメのそんな皮肉に笑みを漏らすレクトル。

「お前こそ、機関を裏切らないように激情を制しておくんだな」

「――ッ!!」

レクトルのそんな言葉に激しく反応をしたブルーメは腰に掲げた剣を抜き
その刃をレクトルへと向ける。

「…僕が、機関を裏切る…?そんな事、あるわけが無いッ!!」

「……」

「機関こそがこの世界を導く唯一の真実である事を貴方も知っているはずだ!!
その機関を僕が裏切るわけが無い!むしろ、裏切り者は貴方の方ですよ!レクトルッ!!」

「…いや、分かっているはずだ。お前はここに居るべきではない。クレ――」

「言うなッ!!」

レクトルが紡ごうとした言葉をブルーメは一際大きな怒声で掻き消した。

「その名で僕を…言うな…ッ」

「………」

静かにブルーメの言葉に頷くようにレクトルは背を向け歩き出す。

「…精々機関を裏切らない事です、レクトル。機関を裏切れば貴方でも終わりですよ」

背にかかるブルーメのそんな声にレクトルはただ静かに返した。

「…ああ、そうだな」

 
戻る