第五章「騎士の誓い」
◆PC1オープニング3 〜騎士の誓い〜
―――王城・ベテルギウス王の間。
そこではすでにレイルの騎士受勲式のために多くの騎士、城の重臣達が集まっていた。
しかしすでに開催の時間を過ぎ、その間ではざわめきの声が上がっていた。

「どうしたことだ、何故レイルは来ない」

「所詮は平民出身者と言う事か…」

「しかし王子まで行方不明とはどういうことだ」

そんなざわめきの中、唐突に扉が開く。
開いた扉の先から現れたのはクフィル、ユニ、そしてレイルの三人。
一瞬式典にいる人物全員が驚くがすぐにそれを受け入れるように国王ベテルギウスの声が響く。

GM(ベテルギウス):「待っていたわよ。騎士レイル。
それにクフィルも、そこのお嬢さんはまあ見学人って事でいいかしら?」

クフィル:未だざわめきが残る中、自らの席へと悠然と歩を進める。
途中、女中達が式典用の礼服を渡してくるのでそれを羽織り自らの席へと向かう。

GM(レイル):「…お待たせしました。国王陛下。
レイル=ディラス。ただいまより騎士受勲をお受けします」
レイルもまた彼のために引かれた赤い絨毯の上を歩いていく。

クフィル:「(何事も無く終わればいいが…)」

GM:しかしその途中で帝国宰相・ヴィクトル=フォン=アルバレートがレイルと
そしてクフィルにも届くように声をかける。

クフィル:「(やっぱり、な…)」

GM(ヴィクトル):「おやおや。平民出身は遅れたというのに大層偉そうですね。
謝罪の言葉も無しですか?陛下。このような式典に遅れ、あまつさえ反省の色の無い人物を
本気で騎士にするつもりですか?考え直すなら今しか――」

クフィル:「ヴィクトル、言が過ぎるぞ」
ただ静かなる威圧感を持って、言い放つ。

GM(ヴィクトル):「…なんですと」

クフィル:「まずは諸兄等に対し、この神聖な式典に遅れた非礼を詫びよう」
そのままベテルギウスの前へと進み出る。

GM(ベテルギウス):「………」
王はただ黙って君の行動を見る。

クフィル:凛とした動作で父である王へと進言する。
「王よ、僭越ながら申し入れたい事が御座います」

GM(ベテルギウス):「いいわよ。言いなさい、クフィル」

声を張り、全ての者へと聞こえるように。

「確かに騎士、レイル=ディラスは式典に遅れました。
ですが、それには理由が御座います。
彼が遅れたのは少女が暴漢に襲われており、それを救った為なのです。
確かに式典に遅れた事自体は許されざる事かもしれません。」

一呼吸置き、クフィルは宣言する。

「だが!!己の事を顧みず、身命を賭し、他者を護る事こそ騎士の本分では無いのか!」

次第に声は大きく、双眸は唯、強き意志の光をたたえ。

「ならば!!騎士としてレイル=ディラスの取った行動こそが『騎士道』では無いのか!」

其は既に進言では無く。

「権威や面子に拘って事の本質を見誤る事こそが、あるまじき事ではないだろうか!」

響き渡るは王の勅。

「ここに集まりし者達よ!!」

威風堂々と、王足る風格を漂わせ。

「諸兄等程の聡明な者達ならば理解されるはずだ」

今、この瞬間、この場を支配しているのは。

「この者、レイル=ディラスの気高さを、誠実さを、優しさを!!」

宰相ヴィクトルでも王ベテルギウスでも無く。

「この者に『騎士』の称号が相応しくないと思う者はいるか!」

クフィル=フォン=アレキサンドロスであった。

GM(ベテルギウス):「なるほど。貴方の意見はよく分かったわ、クフィル」
君の言を全て聞き終え、ベテルギウスは厳かに頷き
彼の前に存在する五人の騎士に顔を向ける。
「貴方達はどう思うかしら?この王国最高の騎士達『光輝五星』の五人の意見は?」

GM(セオドル):「…クフィル殿下の言が真なら私はレイルを責めるつもりも無い。
もとより騎士とはこんな式典にこだわるのではなく行動で示す者と私も思っている」
そう最初に言ったのは『光輝五星』統括のセオドルだった。

“星輝騎士王”セオドル=グランコーツ
光輝五星の統括にして王国最強の剣士。
忠義厚い人物でもあり国王の剣であり盾。帝国にもその名が知られる程でもある。
しかしセオドルは王国貴族出身ではなく辺境の平民出身者でもある。
このため一部の者達はセオドルの光輝五星統括に反対の声を上げている。
だが騎士団からの尊敬や信頼は大きく、彼という人物の器の大きさを表している。

GM(リアン):「私も遅れた事に理由があるのならば責めはしない。
レイル、卿の今回の失態は卿が騎士となりその行動によって埋めればいいだろう」
続けてそういったのは白い甲冑を身に纏う凛とした美しい女性騎士。
リアン
 “瞬舞の”リアン=メルディアス
舞うような剣の才は光輝五星の統括セオドルに匹敵するほどの剣術を備え持つ。
事実上王国ナンバー2の剣士と言われる女性。
幼い頃は帝国に住んでいたが身分が低く奴隷階級だった。しかしこの王国に亡命を果たし
セオドルにその剣の腕を買われ彼の下で剣を磨き遂に現在の地位を獲得した経歴を持つ。

GM(イーグル):「同感。オレもこういう堅苦しいのは苦手だしな。
ま、さっさと終らせて殿下やレイルとも色々話ししたいしな」
爽やかな口調のまま言うのはリアンの隣に座する騎士・イーグル。
イーグル
“蒼翼の”イーグル=ストライフ
蒼い翼を持つぺガススの騎士。
第一王子にしてクフィルの兄の側近騎士を務めていた経歴を持つ。
騎士としての腕だけでなく有能な頭脳も併せ持ち軍師騎士として数多の戦を勝利に導いた。
城内における女性の人気が最も高い人物ではあるが、
本人は女性に興味が無いのか全ての誘いを断っている。
(すでに心に決めている人物がいるとの噂もある)

クフィル:(イラストを見て)イーグルやばい格好いいな!(笑)

GM(ナナリア):「僕も別に式典に遅れたことにとやかく言うつもりはないよ。
それを言うなら僕も最初式典に遅れたし」
あんまり興味なさげに呟くのは五人の中で最年少の人物・ナナリア。
ナナリア
 “天恵”ナナリア=グランコーツ
わずか15歳にして光輝五星の一人に認定された天才少女。
光輝五星の統括・セオドル=グランコーツの実の娘でもある。
神言術・星機器に対する才能だけではなく200年以上前に失われた地上の文化に精通した少女でもあ り、現在のベルシェルス大陸において最も失われた文化の知識を有する人物と称される。

ライラ:リアン姐さんとナナリアに萌え死ぬかと思った。

クフィル:ナナリア素晴らしい…!

アスタロト:ナナリア…かわいい。

GM(ロクス):「……他の四人の意見がそうならば、私も言う事は何も無い。
さっさと式典を続けるのがいいだろう」
最後にそう冷静に呟いたのは光輝五星最後の騎士・ロクス。

“黄昏の剣”ロクス=ヴェノビス
光輝五星の中で謎に包まれた人物。
光輝五星の統括セオドルが騎士となる前よりも光輝五星の一人として存在していた。
噂では100年以上も騎士として生きている人物とも言われる。
剣の腕はセオドル・リアンに一歩劣るものの彼は戦に赴いて一度も敗れた事が無い不敗の記録を持つ。

GM(ベテルギウス):「では、この国最高の五人の騎士の意見もこう言う事みたいだし。
式典を続けましょうか」 ベテルギウスのその言葉と同時に再び式典は続けられた。

クフィル:自らの席へと戻り、着席する際にレイルに向かって微笑む。

GM(レイル):「ありがとうございます。国王陛下。そして光輝五星の皆さん」
レイルもまたクフィルへと微笑む。
そしてレイルはベテルギウスの前まで来てその剣を受け取り騎士受勲をするはずだったが…。
その瞬間、唐突にレイルは目の前のベテルギウスに声をかける。

クフィル:お?

GM(レイル):「陛下。恐れながら私の我侭を許させてもらえないでしょうか」
そのレイルの発言にいつもの口調で答えるベテルギウス。
「ん?何かしらレイル」

「私が剣を捧げる相手は――クフィル殿下に捧げたいと思います」

レイルのその言葉に一瞬、式典にいる全員が驚くが…。

GM(ベテルギウス):「…ふっ、そういうことなら、いいわよ」
そのベテルギウスの一言と共に「と言う事でクフィル、貴方の出番よ」
とレイルの騎士受勲はベテルギウスから、クフィルの手へと移った。

クフィル:「ははッ…しっかたねぇなぁ」
言いながら子供のような笑みを浮かべ、レイルの前へと進み出る。
「きっと前代未聞だぜ、バカ野郎」
友の目を見てニヤリと笑う。

GM(レイル):「僕は君の騎士になるって約束しただろう」
レイルは君が自分の前に来たのを確認し、剣を抜く。
そして、その切っ先を自分の心臓の前に出す。

切っ先を己の心臓へと向ける。
それは、このまま柄を押され心臓を貫かれる事をも辞さないという。忠義の証。

クフィル:「…ったく、俺流にやらせて貰うぜ」
ただ静かに、そして厳かにその柄を取り、跪く友の肩へと刃を水平に乗せる。

刹那の瞑目。
開眼。

「騎士の意は飾りに非ず」

紡ぐ言葉は王から騎士へ。

「己の命を賭してでも、他者を護る覚悟の証」

友から友への誓いの祝詞。

「汝がその双肩に、その命に。皆の信頼、笑顔、命を背負っていると知れ」

くるりと刃を回転させ、自らの心臓の前へと向ける。

『王が道を誤った時は身を呈してでもその道を正せ』

その言葉を載せ。

「汝に、その覚悟は在るか?」

ただひたすらに真っ直ぐと、友への言葉を紡いだ。

「無論。貴方が間違いを犯せば私は全力を持ってその行いを正すことを誓いましょう。
またその覚悟もこの胸の内にある」

「ならば剣を取れ」

「承ります」

剣を受け取るレイル。そしてクフィルの言葉は続く。

「その剣で未来を、希望を、運命を切り開く事を今此処で誓うが良い!!」

「約束しましょう。私はこの剣を持って未来の希望を護り、運命を切り開くことを!」

レイルのその言葉を受け笑みを浮かべるクフィル。

「我、クフィル=フォン=アレキサンドロスの名に置いて。
汝、レイル=ディラスに『騎士』の称号を与える事を此処に宣言する」

友の目をしっかりと見据えたまま、最後の台詞を紡いだ。

「レイル=ディラス。
クフィル=フォン=アレキサンドロスの名において騎士としてここより始まります」
貴方の道を支え、貴方の騎士となり続けましょう」

その言と共にレイルはクフィルより差し出された剣を受け取る。

そうしてレイル=ディラスは今、この瞬間『騎士』となった。

◆   ◆   ◆

GM(ベテルギウス):「お疲れ様。無事にこれで式典も終了ね」
式典が完了し、残った君とレイル。
ユニ、国王と宰相、そして光輝五星達はこの場にて集まっていた。
「さてと、とりあえずはおめでとう、レイル。これで貴方も立派な騎士よ」
国王のその言葉に対しレイルは笑顔で返す。その笑顔を確認し国王は次の言葉を続けた。
「それで騎士になって早々で悪いんだけど騎士レイル貴方に特別の任務を与えるわ。
それとクフィル、貴方にもね」

クフィル:「任務…って俺にも?一体なんだよ糞オヤジ」

GM(ベテルギウス):「あのね、これは重大な任務なのよ。
以前のような下町のお使いとはわけが違うのよ」
そう軽口を叩きながらも国王を始めこの場にいるクフィル達を除く全員に
その重大な任務が伝わっているのか、場は真剣な空気が立ち込めている。

クフィル:父の表情が真剣な事から、今の言葉が冗談で無い事が理解できる。

GM(ベテルギウス):「ヴァーレンハイト王国第二王子クフィル。
そしてその騎士レイルに重大任務を言い渡すわ」

そして国王から口に出た言葉は驚くべき事実だった。

「帝国・ラヴァード帝国との和平条約が結ばれた。
したがって両名には帝国に赴き和平条約の最終締結、それを行なってもらうわ」

それは100年以上にわたる帝国の戦争。それが終結したことを意味していた。

クフィル:「――いい事じゃねぇか」
世辞ではなく、心からそう思った。

GM(べテルギウス):「ええ、そうよ。だから二人にはこちらからの和平の証を持って
これよりラヴァード帝国の帝都エンブレルへ向かってもらうわ」

クフィル:「ヴァーレンハイト王国第二王子クフィル=フォン=アレキサンドロス。
その任、確かに承りました」

GM(ベテルギウス):「ヴィクトル。例の物を」
「―はっ」国王のその指示に従うように宰相ヴィクトルは
王国の紋章が刻まれた小さな箱をクフィルに手渡す。
「その中にはわが国栄光にして和平の証が入っているわ。
それを無事に帝国の皇帝に届けて、彼らと和平条約を結ぶのよ」
とベテルギウスは確認するように君へその言葉を言う。

クフィル:「了解、任せな」
一瞬の間を置いて父へと声をかける。「オヤジ」

GM(ベテルギウス):「ん?何かしら」

クフィル:「あー…なんだ…」
逡巡。先程の事を此処で述べてもいいものだろうか…。

GM(ベテルギウス):「?何か言いたいことがあるみたいだけど、それなら後で言ってもいいわよ。
あ、それと貴方達三人では道中危険だから光輝五星の一人を護衛に付かせるわね」

クフィル:「あぁ、解った」

GM(ベテルギウス):「了解よ。それじゃあ護衛はナナリアにお願いするわね。
ナナリア、頼んだわよ」

GM(ナナリア):「は〜い、了解です」
国王のその任免に対し少し面倒臭そうに答えるナナリア。

クフィル:「俺をしっかり護ってくれよ、ナナリー」
ナナリアに向けてウィンク(笑)

GM(ナナリア):「面倒だなぁ…。殿下強いんだから、別に僕が護らなくても大丈夫でしょう」
そして、任務の通達全てが終了し、国王・宰相・光輝五星全員が解散するその瞬間――
宰相ヴィクトルはクフィルのすぐ傍を通る時に君にしか聞こえない程度の小さな声を出した。

GM(ヴィクトル):「和平条約上手く行くといいですね、殿下。最も……」

「上手くいけば、ですけどね」

その言葉と共に。宰相は扉の奥へと消えていった。

クフィル:「…まるで上手くいかない事を望んでるみたいだな、ヴィクトル」
ヴィクトルの消えていった扉に向かいそう呟く。

ヴィクトルの言った言葉が何を表していたのか。
クフィル達がそれを知るのはもう少し先の事となる――。

 
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