GM:それじゃあ、次はPC2のアスタロトさんのOPいいでしょうか〜?
アスタロト:はい、よろしくお願いします〜。 GM:は〜い!では最初は帝国に拾われる前の集落にいた頃から始めますね〜! ◆PC2オープニング1 〜英雄騎士〜 君はラヴァード帝国に存在する小さな集落にて捨てられていたのを拾われた赤子だった。 どこから来たのかそれは一切分からない。 しかし集落の者達は皆、君を優しく迎え入れ、 君を拾ってくれた二人の両親は実の親のように君を可愛がってくれた。 小さな集落だが確かな幸せがそこにはあった。 GM(父親):「アスタロト。お誕生日おめでとう」 そんな君がこの集落に拾われいく年かの誕生日を迎えた時、 父親からそんな言葉と共に一つの紙切れが渡された。 アスタロト:「お父さん、ありがとう!あれ、これ…なんだろう?」 GM(父親):「はは、実はずっと渡そうかどうか迷っていたんだけどね…。 それはお前が赤子の時に唯一持っていた物…実の両親に繋がる物だよ」 そう父親は優しく君へ言った。 アスタロト:「実の…両親?」 GM(父親):「うん。アスタロト。お前は父さん達が集落のすぐ近くで拾ったんだ。 子供ができなかった私達は神の授かり物としてお前を大事にしていた」 そう言いながら父はやさしく君の頭を撫でる。 アスタロト:「・・・うん」 子供ながらに、話の真剣さを受け止めて緊張します。 GM(父親):「出来ることなら、これは私達の中で閉まっておきたかった…けれど、 いつの日か、お前も真実を知りたいと思う時が来るだろう。その時のためにこれを渡しておこう」 だけど忘れないでくれ、アスタロト。私達にとってはお前は実の子供そのものだよ」 それに同意するように母もまた優しく君へ頷く。 アスタロト:「…うん!分かった!」 GM(母親):「それじゃあ、ご飯にしましょうか。 今日はアスタロトの好きな魚料理をたくさん用意したのよ♪」 アスタロト:「えっ、ほんと?! 嬉しい!」 そう言って食卓に駆け出します。 GM(母親):テーブルの上には豪勢な魚料理がたんまりあった。 これは君の母親の得意料理でもある。 「さあ、遠慮せずにどんどん食べていいからね」 アスタロト:「わぁい、それじゃいただきまーす!」 先程の父の言葉は気になりますが、今は目の前の料理で頭が一杯です。 「お父さん、お母さん、一緒に食べよう!」 GM(父親):「おやおや。ああ、もちろんだとも、アスタロト」 「ええ、それじゃあ一緒に食べましょう」と母親が言葉を続けた。 笑顔を浮かべ食卓を囲む家族達。 そうしてその日の誕生日は過ぎていく。 けれどもその日、アスタロトが受け取ったその紙切れ―― 謎の言語によって書かれた文章は後のアスタロトの人生において 実の両親という大きな存在を残す事となった。 君はずっとそんな幸せな日常が続くと信じていた。 なのに運命の日が訪れてしまった。 その日、集落は――紅蓮の景色と化した。 アスタロト:「父さん!母さん!」 熱気に目覚めると周囲の景色が一変しているのに気付き、反射的に叫びます。 GM:燃えゆく家々、外には倒れた集落の人たちの姿…。 君は燃える自分の家を前に叫んでいた。 アスタロト:「どうして!一体何が起こってるの?!」 GM(父親):「…あ、アスタロト…に、逃げるんだ…ッ!」 燃える家の中で君の父は倒れた瓦礫に挟まれながら君へ叫ぶ。 アスタロト:「ダメ、ダメよ父さんしっかりして、今助けるから!」 炎の強烈な熱をこらえて必死に瓦礫を持ち上げようと手をかけます。 GM(父親):「わ、私の事はもういいんだ…ッ!魔物共…アルコン達が……! い、いやアルコンよりも遥かに恐ろしい“奴”が…だから早く逃げるんだ!アスタロト!!」 アスタロト:「でも…!」 GM:そう君の父親が叫んだ瞬間。 『どごおおおおおおおおんッ!!!』 そんな轟音と共に君の父親を支えていた瓦礫が崩れた。 そして瓦礫に飲まれる最後に瞬間、君の父は君に対し――笑顔を浮かべていた。 それは君だけでも生きて欲しいという、父と母、二人の両親の最期のメッセージ。 アスタロト:「父さん、父さん!…どうして……」 GM(???):「…悲しいのか。少女よ」 不意に君の背よりそんな声が聞こえた。 それはまるで感情がこもっていない不気味な人為らざる者の声。 アスタロト:「誰?!」 とっさに振り返り、声をかけてきた人物を見上げます。 GM:そこに立っていたのは深い黒の髪を持った顔立ちの整った…いや整いすぎた青年。 彼より感じる気配は人間のそれはとは全く異なっていた。 GM(エルナト):「――エルナト。 君達にはこの大陸を支配する神人の種・デミウルゴスと言ったほうがいいかな」 アスタロト:「神…人…?」 GM(エルナト):「そう我らはこの大陸を支配する権限が与えられた種族。 だから…私はその権限でこの集落を――奪った、ただそれだけだ」 まるで道の石をどかすような口調のままその男はハッキリと言い切った。 アスタロト:「…あなたが。あなたがこんな酷い事を?!」 その言葉を飲み込んだ瞬間、逆上したアスタロトは身構えます。 GM(エルナト):「…そうだ。だとしたらどうするんだ、少女よ」 アスタロト:「そんなの、どうしてあなたに言わなくちゃいけないのよ!」 GM(エルナト):「知りたいんだよ。私は君達の事が。 どうして君達がそんな風に出来ているのか、私は知りたいんだ」 アスタロト:「ふざけないで!」 そう言い放って、エルナトの冷たい瞳をきっと睨みつけます。 「あなたみたいな…あなたみたいな人殺しに、教えてやるようなこと何もないわ!」 GM(エルナト):「人殺しか…、そしてそれが君の憎しみか」 一呼吸置き、エルナトと名乗ったこの男は集落を見渡し、そして再び君へ視線を戻す。 「この集落にいる全ての人間を殺しても私はまだ理解できない…。 少女よ、君を殺せば私も――理解できるかな?」 そう言った瞬間、エルナトの手に光の刀剣が生み出される。 アスタロト:その迫力に圧倒され、歯を食いしばりつつも目は逸らしません。 そしてそれは風を切り、アスタロトの心臓へと――放たれた。 “死”その感覚が君の頭によぎる――だが。 がきいぃぃぃぃん!! 剣はアスタロトの眼前で砕けた。 「大丈夫か」 そう言ってアスタロトを庇うように現れた帝国の鎧を身に纏った一人の男。 「…あなたは…誰?」 「…ラヴァード帝国第一皇子にして帝国最強の七将王の統括・レクトル=へルアー=ラヴァードだ」 静かに男はそう名乗った。 ![]() アスタロト:「…レクトル…」 街から流れてくる話に幾度も聞いたことのある名前。 そんな偉大な人物が、今、目の前に立っている。 様々な感情に射すくめられ、身動きが取れません。 GM(レクトル):「…助けに来るのが遅くなってすまない」 君の前にいるその帝国最強の男は君に背を向けたままそう詫びた。 アスタロト:「ねえ、父さんは?!母さんは?!みんなは…村のみんなは、助かったの?!」 必死に声を張り上げます。 GM(レクトル):「………」 それにはただ沈黙でレクトルは返した。 そしてその空気が意味することを君は頭の中で理解できる…。 アスタロト:「そんな…」 涙がひとつ、またひとつと零れているのを、泣き始めてしばらくたってからはじめて、気づきます。 GM(レクトル):「…エルナト。世界を総べる種でありながらこのような非道な行い。 貴様に神人デミウルゴスの資格はない。ここでオレが貴様の存在を終らせてやろう」 そんな君を背にレクトルは果たすべき事を果たすべく剣を握る。 GM(エルナト):「…なるほど…そうか……貴方が来たという事は、これが私への報いか……」 何かを悟るようにエルナトは呟き、そして―― 「ならば、終らせてみせてください。英雄騎士・レクトルよ」 エルナトの周囲に千に及ぶ光の刀剣が創造される。 「【エペ・ルーチェ(光刀の千突)】」 エルナトのその宣言と同時に彼の周囲に生み出された まさに千に及ぶ無数の光の刀剣がレクトルとアスタロトに向けて放たれた。 アスタロト:「――っ!」 その光の眩しさと、あまりの恐怖に目をつぶります。 GM(レクトル):「…大丈夫だ。君はオレが護ってみせる」 そのレクトルの言葉を聞き終えると同時に―― 『ばきいいいいいいいいんっ!!!』 耳を裂くような何かが無数に砕ける音が広がった。 そして――。 GM(エルナト):「……なるほど…」 静かに眩い光が収まっていく中、エルナトは呟いた。 「自分とその少女に向けられる刀剣にのみ集中し…一撃で決着をつけたか……。 まあ、力ある者同士の決着は存外に一瞬であるもの…だ……」 GM(レクトル):「ああ、そうだな…」 呟くレクトル。そしてアスタロトは見た。 レクトルの持った剣がエルナトの胸を深々と刺し貫いている姿を。 そして、貫かれたエルナトは淡い光のような粒となり その身体が徐々に消滅し始めているのを。 アスタロト:「……死んだ…の、この人…」 GM:その身が完全に消滅する瞬間、エルナトは最後に呟いた…。 「――シリウス…私は…後悔しませんでしたよ……」 『さぁぁぁぁぁ…』 まるで空に帰るようにエルナトの身体は光の粒子となり消え去った。 GM(レクトル):「…大丈夫か」 レクトルは剣を収め、君の方へ近づきそう声をかける。 アスタロト:「……大丈夫です……私は、なんとか…」 一連の出来事を呆然と見つめていたアスタロトは やっとの思いでその言葉を口にします。 GM(レクトル):「……名前は」 アスタロト:「……アスタロト…」 GM(レクトル):「…アスタロトか…私と共に帝都へ来ないか」 そう目の前の英雄騎士は言った。 アスタロト:「帝都…?」 GM(レクトル):「もっと早くオレが駆けつけていれば君の両親も集落の人々も救えた…。 せめてもの罪滅ぼしとして君のこれからを保障してあげたい…」 それは本心なのだろう。悲哀の感情を交え、レクトルはすまなそうに君へ言った。 アスタロト:「……あなたのせいじゃない」 うつむきながら、しかしはっきりとした声でそう言います。 「悪いのは、あの真っ黒な男の人だから…」 そして、顔を挙げ、感情の無い表情をして、言い放ちます。 アスタロト:「帝都に、私の居場所はあるでしょうか」 GM(レクトル):「あるさ。オレが君の居場所を保障しよう」 レクトルはまっすぐ君の瞳を見て断言してくれた。 アスタロト:「…ありがとうございます、皇子」 冬のはじまり、水面が凍りつくように少しずつ、自分の感情が閉ざされていくのを感じながら、 丁寧で冷静な口調で、礼を言います。 GM(レクトル):「レクトルで構わないよ。アスタロト」 そう言ってレクトルは君へ手を差し伸べた――。 それは二人にとっての出会いであり始まり。 だが、やがて二人に待ち受ける運命をこの時点ではまだ、誰も知らない。 |