第五章「黄金の枯渇」
◆クライマックスシーン1 〜黄金の枯渇〜
ムーヴェリアス大陸。そこはかつて砂漠と熱砂に覆われ多くの遺跡が埋もれ
時の探求者達の取っては楽園に等しい大陸。

だが、今はその姿もなく。その大陸のほとんどが星蝕による漆黒の海に覆われ
人もあらゆる生命も存在出来ないほど汚染された大陸。
そんな砂漠の大陸にて集結していた反勢力軍。
おそらくはこの大陸に残っていた全ての人類であろう。
それを足止めするべく、向かったミシュラとシグニではあったが―――

GM(シグニ):「…なんだ、これは…」
そこで見たのは“すでに全滅していた反勢力軍”

ミシュラ:「一体どうして…誰がこんな事を・・・!」
答えが返ってくる筈も無い問いを地に横たわる軍勢にぶつける。

GM:その事実以上に、君たちは軍勢のその死に様に戦慄を覚えた。
そう、全ての人類が一人の例外もなく、その身を枯渇されている。
それはまさに生きながらミイラと化した現象。腕も足も身体も全てが枯渇していた。
とてもではないが人の所業とは思えなかった。
とは言え、デミウルゴスの中にこんな事を行なえる奴がいない事も事実。

GM(シグニ):「……どうやら、敵軍はオレ達とは“別の敵”にあたって全滅した。
現状を見る限り、そう判断するしかないようだね…」

ミシュラ:それにしたってコレは酷い 酷すぎる。
敵…?いや、違う。これは一方的な虐殺。敵対するまでもなく、唯単純に蹂躙して見せた痕。
「この事を報告しないと」
ぽつりと自分に確認するように呟く

GM(シグニ):「そうだな…。まぁ、オレ達の役目はここでの足止めで
その必要がなくなったんだから、ここにいる意味はないわな。じゃあ、報告も兼ねて城に戻る?」
とシグニが無理矢理笑顔を作って君へそう言った瞬間。君とシグニの携帯に入る緊急連絡。

ミシュラ:(携帯!!)

GM:(星機器だから!時代は機械だよ機械!もう魔法石なんて古いわ!)

ミシュラ:では、その文明の利器を取って即座に連絡を確認。
メールかな 電話なら出ます。

GM:電話です(笑)取るとそこから聞こえるのは君の師でもあるアルタイルの声。
「ミ、ミシュラ…聞こえるか…そ、そっちは無事か……」
それは普段の彼からは想像も付かない、息切れした声。

ミシュラ:「僕たちは無事だよ。どうしたの?」何があったのだろう。

GM(アルタイル):「ミシュラ…急いで星王殿に戻るんや…どうやらワイらはこの世界を…
この世界の人間を甘く見取った…いや、あれはもう人やない…。
み、ミシュラ…ワイ、お前と会えて楽しかったで…新しい時代でも元気でな…
それと星宝、ちゃんと使えるようになるんやで……うわー!もうだめだー!」(ぶつっん)
最後何か叫んでいたがアルタイルがやけに死に掛けの声だったのは間違いなかった。

ミシュラ:(そんな時でもなんだかギャグっぽいアルっちが 僕は大好きです)
「シグやん!」
目線でコンタクト。即座に星王殿に向かって駆け出す!シグやんを待っている余裕は無い。
自分だけでも、守るべきモノの所に最速で駆けつける。
それがアルタイルが教えてくれた、この能力の真骨頂。

GM:あ、ちなみに、アルタイルは君達と同様に他の大陸の叛乱分子を潰しに向かいました。
そして、彼が向かった大陸と言うのはエルフェナ大陸です(笑)

GM(シグニ):「…待ちな、ミシュラ」
言ってシグニは君の手を取る。

ミシュラ:なんと(笑) つまりアルっちは防衛断念で防衛線突破されて本部がピンチ?
言われるがままに慣性で砂埃を上げつつ止まる。

GM:発信元はエルフェナ大陸です。
星王殿に行けというのはようするに安全な場所へ逃げろってやつですね(笑)

ミシュラ:なんっ…なるほど。アルっち自分がピンチなのにそんな事言ってくれたのか…。

GM(シグニ):「さっきの通信、オレも聞いていたよ。まさかミシュラ、アルタイルさんを助けに行く気か?」

ミシュラ:「当たり前だよ!ここはもう何が起こったのかわからないけど敵はもう居ないし
早くアルっちを助けにいかないと!」掴まれた手をぶんぶん振って訴えかける

GM(シグニ):「…ミシュラ。あの人はオレ達よりも上位のbセよ。
その彼が敵わなかった敵にオレ達が行ってどうなる?
何より、ここでエルフェナに向かって彼を救出していたらタイムリミットが迫る。意味は分かるよね?」

ミシュラ:「で、でも…」
正論だ。正論だけれど、それを飲み込むのは堪らなく悔しい。
「…………」 胸が締め付けられる。
「ダメかな…行きたいよ すごく」吐き出すようにそう言った後に気付く。
シグニ自身も、助けられるならばアルタイルを助けに行きたい筈だ。
その気持ちを抑えて、僕を諭そうとしてくれている。
「……判った。…アルっちも、ちゃんと戻ってこれるよね?」
寂しそうな表情を彼に向け、そう問う。

GM(シグニ):「………」
そんな君の様子を見てやがて彼は
「…あくまでもアルタイルさんの救出。彼が敗れた敵との交戦は避ける。
それを踏まえるならギリギリで戻れるかもしれないね」

ミシュラ:「本当!?」顔を輝かせて返答。
「助けに行ってくるよ、シグやん」
たとえこの結果、自分が戻れる保証が0に近づいたとしても後悔はするまい。
助けられる可能性があった仲間に手を差し伸べない事の方が、遥かに心に傷跡を残す。

GM(シグニ):「なら、行こうか。オレもあの人を見捨てるのは心もとないしね」

そう言ってミシュラとシグニは共にエルフェナ大陸へと向かう。
その地に付いたとき、すでに時間は40時間を過ぎ、星蝕の発動は目前にまで迫っていた。

◆   ◆   ◆

GM:同時刻、君がその地に降り立ったのも同じ時間であった。
ガディム。君はすでにあの男から自身の役割、理を知り、そうしてオベリスクという器を手にしている。
その外見は人であった頃の君の器そのもの、だがその器には血も肉も通わず
あくまでも人神たる魂を受け入れる器としての機能を果たすのみ。
空を見ると闇の侵食が始まり。すでにそれはこの世界全土を覆っている。
やがてもう僅かの時をおいてイシュタルの“理(ロゴス)”が発動するだろう事も感じ取れる。

ヴァーミリオン:「ここが俺の護るべきものか…」
ぐっと手を開いて閉じる。動きは問題ない、あの空間で魂であった頃と遜色ない。
人であった頃の肉体の記憶などもう無いから、あの頃とは比べられないが。

GM:すでに君は自身の“理(ロゴス)”を理解している。
あとはこの大陸の中心にて精神を集中し、その理を解き放てばよいだけ。
それを目的として足はやに進む君の前に、ある人物が現れる。
それは真紅のコートを着た一人の男。だがその内に宿る魂は人のそれを遥かに凌駕している。
とは言え、君と“同種”とは思えない。恐らくこれが神人(デミウルゴス)の一人であろう。

ヴァーミリオン:「…早速の敵か」
前の記憶はないからデミウルゴスに対しては、ただの敵としてしか反応出来ないな。

GM:だが、問題はそのデミウルゴスではなかった。
なぜなら、そのデミウルゴスは君の眼前で膝を折り、そのまま倒れたのだから。

ヴァーミリオン:おう?

GM:と、君が困惑すると同時に、君の眼前にて砂煙と共に一人の男が現れる。
そこから感じ取るのは強烈な魂とその願望意志。
単一に呑まれ、それを果たすためにそれを具現化する“理(ロゴス)”を持った者。
間違いない。あれは君と“同種”だ。
だが、その属性は君ともあの少女とも大きく異なるのが理解出来る。
おそらくはこの人物こそ、あの男が言っていた“敵”であろう。
「―――よぉ。お前、同種だな?」

ヴァーミリオン:「お前も…“人神(アダムカドモン)”か」

GM(???):「“人神(アダムカドモン)”ね。そういう種族か。
まぁ、名称なんてオレは別にどうでもいいがね。お前…“彼女”に会ったな?」

ヴァーミリオン:「…ああ」

GM(???):「そうか、そうか。ようやくあたりか。って事はこの大陸が
“彼女”の基盤となるって訳か…くっくっくっ」

ヴァーミリオン:「俺にとってもお前が同種かどうかはどうでもいい。
俺に必要なのは、お前が“彼女”の敵か否かだ」

GM(???):「なら、ハッキリ答えてやるぜ」
男はその金色に飢えた瞳を向け、答える。

「敵、だ」

ヴァーミリオン:「そうか。ならば俺は俺の理に則り、貴様の敵となる」

GM:そうして、君達が対峙した瞬間、その場に到着するのはミシュラとシグニ。
見るとそこでは見知らぬ二人の男が対峙し、その近くに倒れているのはアルタイルだ。

ミシュラ:「アルっち!よくも…ッ!」
『アルタイルを圧倒した敵とは戦わない』という条件は頭から抜け落ちている。
そして、目の前に立つ二人の男…ヴァーミリオンを人間の英雄として外見知ってたりはありませんか!

GM:それは知っていていいよ(笑)

ミシュラ:う…でも、それだと事前情報から推測するとヴァーミリオンが
アルっちを倒したって誤認しちゃいそうな…(笑)
でもでも、ヴァーミリオン程の『人間』と相対して自分が勝てるかどうかも判らない。
しかも近くに似た感じの印象受ける人(?)が居るし。
うーん…じゃあけん制。
「…ヴァーミリオン…お前がアルっちをこんなにしたのか…?」
怒りの矛先を完全には向けない。どんな状況か判らないし。
一応ヴァーミリオンに言ってるんだよ、って判るように
ちゃんとそっちに顔を向けて話しかけよう。アイコンタクト、だいじ。

ヴァーミリオン:「ヴァーミリオン…? 俺はガディム、ガディム(守護)の“人神(アダムカドモン)”」

ミシュラ:「『人神』…?」
神人とは違う存在なのだろうか。
彼が嘘を言っているようには思えない。

GM:その自称ガディムさんの発言に彼と対峙していたもう一人の男がミシュラとシグニに気づく。
そしてその男は何を思ったのか、即座にミシュラ達の方へ向かう。
「デミウルゴス…真紅(オグドアス)種か。ちょうどいい、喰わせてもらうぜ」
その発言と同時だった。先程までガディムと対峙していたはずの男がミシュラの眼前に表れその手が伸びる。
その速度、威圧感、今まで対峙した何よりも速く重い。

ミシュラ:その台詞と殺気に反応。驕りは無かった筈。
しかし、真紅たる神人として大抵の敵と相対して圧倒される事など。ほぼありえないと思っていた。
なんて存在だ、これ程までのプレッシャー。
即座に彼がアルっちの言っていた『敵』だと認識し、体を反らせてすんでの所で回避する。

GM:回避した瞬間、男の手は君の背後にあった岩へと触れる。
瞬間、その岩がまるで砂となり塵となり消え失せた。
「避けたか。思ったよりも喰いでがありそうだな」
言って男はミシュラの方へ振り返る。
見ると、男が立っている地面から大地の全てが枯渇している。
緑や岩や木々、それら全てが干上がりなくなり色の無い砂と化していく。

ミシュラ:「…!!」
あんな能力と相対した経験など無い。否…すでに、それとは認識せずに
この能力の『結果』には触れていたのかも知れない。
瞬速での枯き。兵士達の浮かべていた苦悶の表情。
『枯渇』の能力―――!
「…………」
息を整え、虚空より取り出した槍を構える。
油断は即、死に繋がる。久方ぶりの死線だ、心が躍るわけも無い。
あるのは恐怖と、仲間を蹂躙された事への怒り。

ガディム(ヴァーミリオン):デミウルゴスがどうなろうと知ったことではないが
その男の能力で大地が枯れるのを見て、その男の背後から杖を突きつけ、言う。
「この大地を傷つけることは許されない」

GM(???):「渇くなぁ…いつもいつもオレは渇いてばかりだ。
お前らデミウルゴウスや人間を喰らってもいつまで経っても渇いたままで満たされねぇ。
そうなったらもう、世界を喰うしかねぇだろう」
言って男はガディムを見る。

ガディム(ヴァーミリオン):「理解した。貴様と俺は決定的に相容れない」

GM(サハラ):「名乗っておくぜ。オレの名はサハラ。我が“理(ロゴス)”は“枯渇”
お前が護っている世界(少女)を喰えば、オレの渇きも満たされる。そうは、思わないか?」
言って男は首の音を鳴らし、ゆっくりと君たちの方へと近づいていく。
「じゃあ、始めようか。そっちのデミウルゴス。お前達もオレが喰ってやるから、安心しろ」

ガディム(ヴァーミリオン):「知ったことではない。何故ならお前がそれを成し遂げることはないからだ」

ミシュラ:「シグっちはアルっちを守ってて…僕が戦う」
臨戦態勢。ガディムと名乗るヴァーミリオンと酷似しているこの男は、どうやら現状敵では無いらしい。
アルタイルが敗北を喫した相手と一騎打ちするだけの蛮勇は自分には無い。
目下の『敵以外』とは仲良くすべきだ。そんな打算も少々含みつつ、ガディムに軽口を叩く。
「よろしくガディやん。君は強い?」

ガディム(ヴァーミリオン):「強いかどうかは知らない。
だが、貴様ら全員を排除できるかと問われれば、可能だ」

ミシュラ:「…怖いね。大丈夫。僕達はこの大地を傷付けたりはしないから」
星蝕は新たな時代への礎。
大地を傷付けているという自覚はこの時のミシュラには無い。

GM:純粋なミシュラたんだおー(笑)

ミシュラ:(ミシュラ「神サマのやる事は全部正しいんだよ!」笑)

GM:そうして、君達とこの男・サハラを名乗る男との戦いは始まる。
この時、星蝕による洗礼はもうあと1時間を切っていた―――。

◆   ◆   ◆

星王殿。その最深部にて二人の存在がいた。

一人はこの世界に降り立った世界最後の神にして今まさに世界を次なる時代へと進める神・イシュタル。

そうしてもう一人は金色の瞳と髪を持つ
全てのデミウルゴス達の中で頂点に座する“黄金種(ザラスシュトラ)”
その名はアケルナル。

「…アケルナル。エルフェナ大陸に向かい、その地に残る生命の抹消を行なえ」

神は星蝕の発動を間近に眼前に控える最強種にそう命令を下す。

「――はっ、我が神のご意志であれば。しかし、もう間もなく星蝕が発動し
全てが終わり、新たなる新時代が起こるはずですが…何か、不穏な点でもありましたか」

そのアケルナルの問いにイシュタルはただ静かに返す。

「“世界”というのは一つのみでよい。その“理”こそが世界の全てであり一つである。
私が創造する世界に他の世界は必要ない。ピラミッドの頂点とは一人のみで良いのだ」

そのイシュタルの答えにアケルナルは頷き立ち上がる。

「ピラミッドの頂点は一人…」

己が神イシュタルのその言葉を受け、アケルナルは知らず笑みを浮かべていた。

「…ええ、その通りですね。イシュタル様」

そうして黄金は向かう。
今、旧時代の最後においてかつてない至高の存在達が一つの大陸に集まる。

それはやがて訪れる“新時代”の幕を開ける最初の儀式であっただろう――。

 
戻る