あとがき
「なぁ、アンタ知ってたか。このリプレイを始めた当初は
PC1はルナで、PC2がミシュラだったんだぜ…」

このあとがきには本編で語られた出来事に関する事柄を詳しく書き記していたりしますので
まだ本編を読んでいない方やネタバレいやーな方は今の内に引き返すようご推奨致します。

という事でこのエスペランサーセイバーリプレイ「Memory of Isthar」(通称「機関編」)は
上の台詞にもありますよう、当初ルナが主人公でミシュラはただのサブキャラの予定でした。
ですが実際に物語が始まってみると主人公であるはずのルナがどんどんダークサイドまっしぐらで
一方のミシュラがえらく主人公っぽい立ち居地を進み出し、挙句の果てに明らかに主役の見せ場を
奪うような活躍を披露しまくり、その結果見事に当初の立ち居地を逆転させ、ミシュラという
当初ここまで活躍を予定していなかったキャラがその輝くロールっぷりで主役を勝ち取ったと言う
結構印象に残った物語だったりします。

さて、まず最初にこの「Memory of Isthar」と言うリプレイを始めるにあたり、物語の冒頭で語ったように
この物語はもう一つのエスペランサーセイバーのリプレイ「星の伝承記」に併せて開始した物語でもあり
あちらで明かされなかった謎や過去などをこちらで保管する目的で始めたものでした。
ですのでプレイヤーもあちらとは全く別の方をお誘いし、密接した物語ながら
完全に違う視点の物語として楽しめるようにしてみました。
そして、この物語で開始して終えた後に一番成果として残ったのがミシュラというキャラクターでした。
実際にプレイの中盤辺りからGMである私の心境もミシュラの方が主役っぽい…?という
暗示にかかりだし、この物語が終わった瞬間にはもはや主役は完全にミシュラでした。
実は当初の予定ではミシュラというキャラクターには本編中に“死に場所”となる場面、戦いを
いくつか用意しており、条件が揃えばそこで殺そうという気持ちでやっておりました(笑)
その場所と言うのが本編中にありました、イシュタルとの戦いと、アルレシャとの戦いの二箇所です。
実は最初の予定ではミシュラの星宝Sランク化は組み込まれておらず
圧倒的な神たるイシュタルの力の前にミシュラは殺される予定でした。
また、仮に生き残ったとしてもその後のボロボロの状態でのアルレシャとの戦いで彼女と相打つ
(しかし実はこれはルナと相打ち討たせる)予定だったのですが、その両方ともに運命を覆し
生き残ったPCの選択には感服です。
やはりこうして死の選択を与え、しかしそれでも生き残る選択肢を選び勝ち取るPCの行動が
昔から好きで、そうした意味でもミシュラは自分が与えた選択の中で最良の選択を取ったと言えます。

さて、次にもう一人のキャラクタールナについてなのですが、さきほども言ったように当初ルナという
キャラクターが主役としてこの物語を考え、そして主役=男の概念があった私は
このルナというキャラクターに対してヒロインとなるべき存在を実は用意していたのです。
それがプロパテール4“無双者”アルレシャでした。
実は当初アルレシャはアケルナルを憎みながらも心の内では淡い恋心を抱き、それが
アケルナルの写し身でもあるPC1に段々とシフトしていき、最終的にはPC1と通じ合うことで
アルレシャもアケルナルに対する確執を無くし、PC1と共に成長するみたいなのを考えたのですが…
ルナというキャラクターが女性と判明した瞬間に即行これは没にしました(笑)
ですが、当初はヒロインとして用意しただけにアルレシャに対する想いは意外と深く
彼女のビジュアル(オールバック)や不器用な性格面など未だに気に入っております。
いつか彼女を元としたキャラクターでこの時、出来なかったラブロマンスを
どこかでしたいと思っております。
(と言いながら、実はそのリプレイが現在水面下で始動してたりしております)

さて、ここから先は本編中のあれやこれを補足していこうと思うのですが
まずは最初にイシュタルの真の目的でもあり、アケルナルも狙っていたエンテレケイアについて
これは本編中では神の器(肉体)という扱いになっていましたが、別にこれは
全てのエンテレケイアが神の器ということではありません。
そもそも本来のエンレテケイアとはいわゆる“純粋なる神”を指します。
これはいわば生まれた瞬間から神としての器と魂、そして“理”を有している存在です。
本来、魂の粒子たるイデアにはいくつかの層があり、その層の最上がエンテレケイアと呼ばれる層で
その層の魂を持って生まれた存在は、本編中でイシュタルが語ったように無(フェムトー)と
呼ばれる空間との密接が極めて近く、ゆえに単一の感情のみで生まれる存在がほとんどで
ゆえに編まれ生み出される肉体も神の魂に比例するものであり、真の意味での神と呼ばれる存在です。
(ですので本編中におけるエンテレケイアのもう一つの呼び方が「完全なる扉」と言うのは
フェムトーとの繋がりを持つ魂の扉が完全なる領域にあることからその呼び方がありました)
では本編中に登場したエンレテケイアもそれなのかというと厳密は違います。
なぜならあれはイシュタルが“人為的に生み出したエンテレケイア”だからです。

人が持つイデアを越えるデュナミスをかき集める事で、神の層たるエンテレケイアまで引き上げるのが
イシュタルの目的でした。しかしデュナミスとは無(フェムトー)との接触が断たれている魂の粒子であり
それらをかき集めてエンテレケイア層の領域に至ったとしても、フェムトーとの接触が出来ぬ以上
人為エンテレケイア層では理に至る事も出来ず、あくまで器のみが神の領域となるだけです。
(この為、真の意味でのエンテケイア層とは言えません)
ですが、イシュタルにしてみればそれこそが理想であり、彼の場合はその器のみが偽物である為
その作り出した神の器に己の魂を宿せば、かつての本来の神へと戻れると言う事だったのです。
またアケルナルにしても彼はフェムトーとの接触を求めておらず、あくまでもデミウルゴスとして
神になる為に同じくその神の肉体を求め結果として彼はデミウルゴスのまま神へと進化しました。
それと本編中にイシュタルが敗れた理由に神の傲慢や慢心以外にもこれら、彼の肉体が偽りの
機械の体だった事も大きく影響し、その為、彼の本来の力でもある“侵食”と呼ばれる第四階位の
理の力を十全と発揮できなかった部分も大きいです。もしも彼が本来の肉体を有した完全な状態で
あれば、本編中の傲慢、慢心モードでも余裕でミシュラ、ルナ達を一掃出来たことでしょう。

そんな感じでこの機関編、通称「Memory of Isthar」のあとがきを終えますが
この後、神となったアケルナルがどうなったのか。
ミシュラとカストルが見た地上の世界が何故星蝕の脅威を受けながらも生き残っていたのか。
そして、アケルナルが語る新世界、およびそこを統べる王とは一体なんなのか。
それら全てが星の伝承記、さらには新たに掲載されるリプレイなどで解き明かされていくと思います。
そうして、全ての物語が終えたその時に、このエスペランサーセイバーという物語・TRPGも
始まりを迎えます。
ですので、どうぞその時までもしよろしければお付き合いいただけると幸いです。
それでは最後にリプレイの編集を手伝ってくださったミシュラのPLでもあるねおしのさん
ありがとうございました!


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