新世界エル=ファルス
エスペランサーセイバーの舞台となる世界は第三境界(サグワール)に存在する世界の一つ 『エル=ファルス』と呼ばれる世界を舞台としております。 境界とは三つの存在空間が交わり生まれた空間であり、境界内の法則・理などは 境界に重なる二つの存在空間と、そこを統治する至高神の影響を受ける空間である。 しかし、境界空間そのものを統治する神は事実上は存在せず、境界に存在する無数の世界はその世界にて生まれた神 または至高神より遣わされた神がその世界を統治を行う。 存在空間が至高神一人によって統治されるのに対し、境界は一つの世界に対し一人の神、または複数の神によって統治される事が多い。 (統治する神が存在しない自由型の世界も存在する) 境界内の大きさだけでも宇宙規模の大きさを誇るため、現在各境界内にて存在している世界の数は正確には確認されておらず 今現在も新たな世界の誕生と崩壊が繰り返されている。 そして、エスペランサーセイバーの舞台でもあるエル=ファルスとは第三境界内に存在する一つの世界である。 現在、この世界を支える神は無数に存在し、第三境界内でも最も大規模な世界となっている。 ◆エスペランサーセイバーの世界・新世界エル=ファルス エスペランサーセイバーの舞台となる世界エル=ファルスの始まりはおよそ数百年以上前に遡る。 かつて、この世界には「エル=ユーナ」と呼ばれる今では“旧世界”と呼ばれる世界が存在していた。※1 その世界を生み出したのはエルドラシルと呼ばれる女神であり、彼女の理(ロゴス)の下、世界は長い年月存在していた。 しかし、その世界神エルドラシルの“理”は、長い年月により疲弊と摩耗により限界が訪れていた。 世界を司るべき単一存在であるはずの彼女は自らの世界に生まれた人々に触れ合いすぎ 純然であるはずの己の願望、理に亀裂を生み、その結果、世界の維持を為しえなくなっていた。 そうしたある時、星の海を渡り到来してきた異界の神イシュタルによる侵食と呼ばれる“理”により 旧世界エル=ユーナと世界を司るエルドラシルは飲み込まれ、世界は第一次星蝕戦役と呼ばれる大戦へと突入する。 星の海を渡ってきた星王イシュタルは、己の理より生み出した眷族“デミウルゴス”によって世界の統一を成し これ以後、世界は200年以上に渡り星王と彼の眷属デミウルゴスによる偽りの人類支配の時代が始まる。。 やがて、星王による残る世界の全てを侵食するという計画は始動を迎えるが、それは、その時代に生きた英雄達と 新たな野望を抱く者達の手により、未然に防がれ、世界は新たな“理”をかけた、新世界へと至る為の戦いを開始する。 後に言う第二次星蝕戦役、別名“星の伝承記”と呼ばれる戦いの幕開けと終焉であった。※2 イシュタルによって築かれた虚構の支配と侵食が終わりを迎えると同時に、世界の歴史は再び大きく動き出す。 それはまさに次なる時代、新世界の始まり、すなわち新たなる“理”の誕生であった。 かつて旧世界において“春の大陸”と呼ばれた大陸にて生まれた新たなる“安寧”の理。 それを宿したのは一人の名もなき少女であり、その少女が生まれながらに宿した魂は かつての旧世界の女神エルドラシルにすら匹敵するほどの輝きであり、まごうことなき新たなる希望を担った女神の世界であった。 そうして、少女の理より生まれた新たなるその世界の名を――琉球世界カナン大陸と呼んだ。 また同時に、星王イシュタルの手より人類が取り戻した大陸、浮遊大陸ベルシェルスは 旧神エルドラシルの最後の祈りによって“理”を必要とせず未来永劫存在できる世界として生まれ変わり。 カナンとベルシェルス、二つの新世界は互いに不可侵の同盟を結び、新しき新世界の幕開けを行った。 だが、新たに生まれたのはその二つの大陸だけではなかった。 それから三百年、カナン大陸の南に突如として降臨した第二の理を有する存在、その名を“枯渇”のサハラ。 その者はカナン大陸を支える少女とは異なり、世界を支えるのではなく奪うことを前提とした理として生まれ その自らの理に従うよう、 カナンの理を奪うべく侵攻を開始する。 そして時を同じく、遥か北方の海域にて第三の勢力が生まれる。 それはかつて星王と、それに付き従った眷属デミウルゴス達が朽ち果てた墓標地であり その地にて再び、かつての星王と同じ“理”を宿す邪神が復活を遂げる。 その名は第二星王レイルリンク=イシュタル。 彼が宿す“侵食”の理によって北方の海は全て星蝕により包み込まれ、それはカナン・サハラ大陸をも上回る規模の世界となる。 後に北方のその世界を“星蝕海”と呼び、そこへ入る者は一切の例外なく星蝕による洗礼を受ける世界となる。 安寧の時代を過ごしていたはずのカナン大陸を前に現れた二つの強大な世界、サハラ・星蝕界。 これ以後、二つの世界の侵略により約100年に渡り戦役が続く、その後、絶体絶命の窮地にあったカナン大陸を救ったのは カナン・サハラ・星蝕界それら三つとも異なる新たなる理を有する世界 “東源郷(とうげんきょう)”であった。 それはカナンを含む三世界以前よりも、遥か古の時代から世界に存在した文字通りの異世界。 カナン・サハラ・星蝕界、三つの世界を足してなおその数倍以上の広大さ、理の高さを誇る大世界。 その世界が突如として現れたのはカナン大陸における戦役をこの世界を統べる神々が見かねて手を差し伸べたとも この世界を統べる神の一人が気まぐれに、外の世界との接触をはかったとも あるいは、この “東源郷(とうげんきょう)”と呼ばれる世界においても、自分達では収めきれない戦役が起こり それに対する救済を他の世界に求めたとも、様々な説が流れる。 いずれにせよ、この“東源郷(とうげんきょう)”世界の到来により、カナンを含む全ての世界勢力が大きく塗り替わることとなり カナン大陸からの使者に応じた東源郷の神々の力により、サハラ・星蝕界、二つの世界の間に大きな壁が創生され これ以後、二つの世界はカナン大陸への進行を容易に行えなくなった。後に、この出来事を“三神の停戦”と呼んだ。※3 浮遊大陸ベルシェルスに加え、新たなる大世界“東源郷”との同盟を為したカナン大陸。 だが、本当の事態はここから大きく動き出す。 直接的な進行を行えなくったとは言え、星蝕界における驚異は取り除けたわけではなく 彼らは日に日に力を蓄え、再び大規模な侵攻が行われるまで僅かな時間が伸びただけ。 またサハラ大陸においても、それまで己一人を持って勢力としていた人神サハラの心中にある変化が起こり 自身が生み出したサハラ大陸において、彼は“家族”と呼ばれる組織を立ち上げ 後にカナン・星蝕界にすら匹敵する一大勢力“サハラ・ファミリー”を作り上げる。 また東源郷においても、先日のカナンとの同盟はただの善意だけでなく打算に基づいた結託であり 彼らの世界にて起こっていた戦役の終息に関しても、助力と協力を求められ、それぞれの世界における情勢が少しずつ変化していく。 そうして――“三神の停戦”より数十年。 新世界エル=ファルスの物語は新たなる展開を迎えつつあった。 それはまさに世界と世界の奪い合いにして殺し合い。 様々な世界にて果たされる同盟と戦い。 新たなる世界を築くのか、それとも新たなる世界に飲み込まれるのか。 創生と破壊、侵略と防衛、ひとつの理が全てを制するのか、あるいは多くの理により世界は守られるのか。 今まさに、新たなる理の世界において、その世界の希望を護る者達の物語が開幕する。 それは希望を守り抜く者達の物語――エスペランサーセイバー。 ◆新世界エル=ファルス カナン大陸 安寧の理(ロゴス)により支えられる物語の舞台となる新世界の一つ。 この大陸を支えるのは名もなき一人の少女であり、彼女は大陸の者達からは「姫」として称され崇められている。 現在のカナン大陸には国と呼ばれるものはなく、大陸に存在する全ての都市は姫を中心に単一国として纏まっており 中心に姫を擁護し、奉る首都アシリカムイが存在する。また姫を守護し、他世界“枯渇”や“侵食”と戦う為に結成された世界騎士なる存在がある。 ただし地方によっては首都以上の賑わいや人口を有する都市などはいくつか存在し、ベルシェルス大陸との距離が近い地方では 浮遊大陸との行き来により公益や星機器の扱いが発達し、サハラ大陸付近近くでは都市ひとつがまるごと要塞として建設され その都市に駐屯する兵や騎士は世界騎士に匹敵する人材となり、星蝕海に付近に存在する都市もそのように変化し 近年、東源郷との交易を可能とした都市、地方はカナン大陸にありながら、全く異なる進化や発展を遂げて行っている。 このカナン大陸に存在する種族としてはヒューリアを代表に鬼族(キゾク)、天狗(テング)、玉兎(ギョクト) 、獏(バク)などが存在する。 ベルシェルス大陸 かつての旧世界唯一の名残とされる大陸であり、旧世界エル=ユーナ時代には聖地アルアデックと呼ばれた大陸が そこに施されたシステム“隔離”を使用し、それに加え旧神エルドラシルの最後の祈りと理の残骸によって新世界の到来へと 唯一残ることが出来た世界であり、全ての大陸、世界において唯一、理や神を必要とせず存在しえる、まさに理なき人だけの世界。 現在この大陸では300年におよび、人だけによる繁栄と進化が続けられており、この為、国々の数も全ての大陸の中で最も小規模でありながら その数は最も最多に渡っている。代表的な国はかつての星の英雄クフィルの子孫にしてその直結にあたるヴァーレンハイト王国である。 現在、ヴァーレンハイトにはそこを統治する一人の女王とその兄弟にあたるヴァーレンハイトの四王子によって、均衡が保たれ このベルシェルス大陸に存在する各国も表面的ではあるが平穏を保っている。 だが近年、同盟大陸であるカナン大陸のサハラ大陸と星蝕海による侵攻、そして更に新たなる未開の世界、東源郷の到来により このベルシェルス大陸にも大きな波紋が生じている。大陸に存在する国の中にはカナン大陸との同盟を破棄し、新たなる世界との同盟を望む者も 多く存在し、近年、ベルシェルス大陸にて星蝕戦役に比類する戦火が生じるのではという噂も囁かれている。 しかし現在のところ、その真相はまだ誰にも分からない。 サハラ大陸 200年ほど前に突如としてカナン大陸の南東に出現した枯渇の砂漠を起として、それは瞬く間に広大を続け、見る間に現在の領域 一つの大陸規模として誕生した。このサハラ大陸を生み出した元凶こそが“枯渇”の理を有する人神サハラである。 彼は自らによって生じた枯渇の理を解放する術を見につけ、現在、カナン大陸にとって最も身近にして大いなる脅威となっている。 この大陸に存在する者は基本的にサハラ以外は存在しえず、普通の人間や生物がこの大陸に入れば 瞬く間に肉体や生命力が枯渇し、文字通り枯れ果て死に至る。しかし、稀にこの“枯渇”が支配する大陸において その枯渇の洗礼を免れ、生き残る人や生命などが存在する。しかし、そうした者達はサハラが有する“枯渇”の理の影響を受け 生命としては致命的な欠陥と脅威を受けることになる。いわく、存在するだけで周囲の木々を枯れ落ちさせ 触れただけでその者の命を奪ったり、自身では制御不能な“枯渇衝動”に襲われる。 そうした人でなくなった者達の事をサハラの眷属“シムーン”と呼び魂が完全に枯渇衝動に飲み込まれ 本能のままに己の渇きを癒す為に見境無しに襲い来る魔物の総称を“ジン”と呼ぶ。 しかし、近年これら二つとも異なる枯渇衝動を完全に己の中に取り込み制御したシムーンの上級種族とも呼べる種族 “イフリート”なる種族が現れる。彼らはシムーン以上の枯渇の理を宿し、なおかつその力を自在に制御しており その能力は星蝕海に存在するデミウルゴスに匹敵、あるいはそれ以上の実力者もわずかながらに存在している。 星蝕海 今から約100年ほど前に北の海の果てより到来した第二星王レイルリンク=イシュタルが有する“侵食”の理により生まれた星蝕の海。 この星蝕海がレイルが持つ理の世界であり、大陸とも言える。目視するには不可能だが、この星蝕海の深部、誰も到達不可能な 最終深部にこの星蝕海を生み出した神レイルと彼に従うデミウルゴス達が住む星王殿“アトランティス”が存在する。 アトランティスの規模自体がすでに一つの大陸並と称され、現在カナン大陸に接近する星蝕海も、膨大な星蝕神の一部に過ぎないとされる。 星王レイルが持つ目的は明確であり、その宣言も今からおよそ数十年前にその口から明言された。 それこそが安寧の理により支えられているカナン大陸の侵食と略奪。その為の手段として星蝕海により侵食が行われ続けたが 当初、それで十分と踏んでいた星王レイルであったが、カナン大陸とそこに住まう人々の抵抗が思いのほか、長く続き それに飽きを覚えた彼の命により、彼に付き従うデミウルゴス達の侵攻が開始される。 現在、星蝕海より到来するデミウルゴス達との戦いはまだ本格化していないが、これが本格的となったあかつきには 南に存在する“枯渇”のサハラより遥かに厄介で強大な相手となる事は明白である。 またアトランティスに存在する種族としては“侵食”の眷属たるデミウルゴス。そしてかつて侵食の理により外世界を喰らった際に得た 知識を下に生み出されたマシーナリー、サクリードチルドレン(人工生命体)などが存在する。 東源郷 つい先日、その存在が明らかとなった謎に包まれた未開の新世界。それがこの東源郷であり、そこを総べる理を有する神は なんと三人存在すると言う、まさに異例なき異世界である。更に驚くべきはその三人の神々が有する理の階位がそれぞれ “開闢”の第一階位、“太極”の第二階位、“陰陽”の第三階位と、全てにおいて世界創世、破壊を為し得る最上級の階位を持つ神々である。 “侵食”の星王ですらその階位は第四階位であり、彼ら東源郷に住まう神々にとっては 外の世界(カナン大陸)で起こっている出来事など、まさに関知する価値もない矮小な諍(いさか)いである。 またこの東源郷に存在する技術、理により発生した力の規模は旧世界、カナン大陸、星蝕海とこれら全てを含め足しても その先の領域にあるものばかりであり、現にカナン大陸やベルシェルス大陸に伝わる神言術(五行思想)の概念は 本来、この東源郷に存在する“陰陽”の神が 生み出した概念であり、この世界から流れ出したものに過ぎない。 いわば、そうした流れ出した力に過ぎないカナン大陸に存在する神言術に対し、本来のその概念の誕生地である東源郷に存在する 神言術の規模はまさに比較すること自体がおこがましいほどの差が存在している。 更に“侵食”の星王が生み出した星宝に匹敵する技術もこの東源郷に存在しており、人々はその技術品を宝具(パオペエ)と呼んでいる。 ここまでの解説にある通り、この世界の技術や概念の一つでもカナン大陸に渡れば 本来ならば、この世界が他の世界に関わる理由もその必要もなかったはずであったがある出来事※4 をきっかけとし、 この東源郷と他の世界との接触が行われ、それ以後、この東源郷とカナン大陸は同盟を結び、今では両国での様々な取引や提供などが行われ、 ベルシェルス大陸を含め、三世界における公益は今日では欠かせないものとなっている。 この東源郷に住まう人々の種類として仙人(ディアティ)、夜叉(ヤシャ)、九尾(オサキ)の三大種族が挙げられる。 これら三種族、いずれも外の世界に存在するあらゆる種族より遥か高みの存在として、その威光をあげている。 また、この東源郷の規模は旧世界エル=ユーナに存在した全ての世界を足してなおその数倍以上の面積を誇り、世界に収まるはずのない 大きさがこうして世界に収まり、それ自体があらゆる荒唐無稽、常識の概念を覆す理を、ここを総べる神々が有していると推察される。 ◆理(ロゴス) “理(ロゴス)”とは世界を構築する意思にして象徴たる力。世界法則の基盤にして、神たる者の証。 そもそも全ての始まり、世界や存在空間と呼ばれる概念が存在しなかった頃、原初の時にはただ一つの“理(ロゴス)”のみが存在した。 それこそが無(フェムトー)であり、無=無限の理のみが全てを支配していた。 だが、無の理の中、始まりの理が生まれ全ての法則が変化する。それこそが“始祖”の“理(ロゴス)”であり それを有して生まれた存在こそが始祖神ラム=リファーナである。 始祖の“理(ロゴス)”の誕生により、既存の世界は変革し、新たなる世界の法則が誕生する。 それが現在の存在空間と呼ばれる世界の構築であり、エル=ユーナを含め全ての世界の基盤となる。 しかし、厳密にはフェムトーの理が崩壊したわけではない。それまで物質や器と言う概念を必要としなかったフェムトーの理に対し 始祖のラム=リファーナの世界は物質と魂の二つから成る世界の為、フェムトーとの混じり合いが不可能となったのである。※5 いわば両者は限りなく近い平行した別次元の空間、存在として成り立っており、存在空間にて器という概念が消失し魂だけとなった際に フェムトーへの帰還が可能となる。この為、全ての存在空間に対し、それと平行するようにフェムトーの理も未だ存在しているが 人も神も、あらゆる全てが始祖の理より生まれた以上、それと対となるフェムトーへの行き来、直接の繋がりは不可能となった。 だが、魂という概念が器の中に確固としてある以上、それ自体が無(フェムトー)との唯一の繋がりとも言える。 元来、人の魂とはどこから来てどこへ行くのか。その明確な答えが無(フェムトー)である。 人も神も全ての存在の魂は無意識下で無(フェムトー)へと繋がっている。 この為、あらゆる生命が有する感情や意思、思想の全ては無(フェムトー)の中にあるものより感じ取り、引き出しているに過ぎない。 神の定義 神とは即ち、“理(ロゴス)”を有す者である。だがそれは通常の人間が宿す矮小な規模のものではなく 文字通り神と称されるほどの規模を有する単一の“理(ロゴス)”を有する者である。 元来、全ての存在は無(フェムトー)との繋がりがあり、それを通して様々な感情や思想、理を引き出す事が出来る。 だが多種多様に引き出せば引き出すほど、その繋がりは広く浅くと言う例えと同じになり 深海の底に眠る真の無(フェムトー)との繋がりを行えない。故に、他の感情、思想、理の全てを排除し、ただ一つの理のみを追い求め それを有するに相応しい器と魂の価値を有する者のみが、単一の“理(ロゴス)”を開きそれと接続を果たし、神と称される存在と成り得る。※6 また“理(ロゴス)”にはいくつかの段階が存在し、接続を果たした“理(ロゴス)”によってその階位が決定される。 強大な存在であれば、文字通り己の理を持ってして一つの世界を創世し、そうでなくとも己個人と言う世界を形成し 他のあらゆる世界の影響を受け付けない一つの異世界、特異点とも成り得る。 人神(アダムカドモン) 人神(アダムカドモン)とはその名の通り、人の身でありながら神の領域、“理(ロゴス)”への接続を果たし、その領域へと昇華した者の事である。 それは一人の神にして一つの世界の誕生。しかし、存在空間が生まれて後、神の子、即ち神の劣化品である人間がこの領域へと昇華した者は 僅かに数えるほどしか存在していない。 だが、一度、この領域へと至れば、それはまさに人という次元の超越である。 また人神の中には到達した“理(ロゴス)”の階位により、世界の創世や簒奪を行え、そこに存在する全ての生命に対し、己のもつ理の支配下、 影響下へ置くことができ、そうした人々を己の眷属(民)と称する。 多くの人神は己が到達した“理(ロゴス)”こそが絶対唯一の無二であるため、それ以外の思考や感情を持ち合わせない。 善悪を凌駕した、真の意味での純粋なる単一思考存在である。 理の階位 “理(ロゴス)”には様々な概念が存在し、それらの中には階位と呼ばれる段階が存在する。 強大な理になれば、文字通り、世界の創世や支配を行える。例えそうでなくとも理を有する存在であれば、 理を有するはそれ自体が一つの世界であり、彼らに対するには同じ理の領域へ至った者でなければ対する事は不可能である。 通常の世界法則や物理法則などに縛られず、一個の独立した世界であり法則である。 ここでは、それぞれの理の階位とそれらの特徴、規模をここに明記する。 至高階位 全ての理の頂点にして、“無(フェムトー)”に渦巻く全ての理を束ねる至高にして極点の階位。 この階位に属する理は四つ存在するとされるが、正しくは“虚無”の理を頂点に“始祖”の理と他の二つがそれに続く流れである。※7 あらゆる時間軸や時空間といった流れすら凌駕し、どのような荒唐無稽すら可能とするまさに万能なる領域。 この階位に属する理の規模は世界のみならず全ての存在空間に対し有効であり、文字通りの存在(宇宙)開闢、存在(宇宙)終焉を可能とする。 この階位に属する理を有する者はラム=リファーナが該当する。 理:始祖 階位:至高 理の規模:全存在空間 有する者:ラム=リファーナ 全ての始まりを願い、無限の無より全ての始まりを告げ、具現化せし理。ラム=リファーナの誕生と共に全ての存在空間が開闢したように 彼女の死後も、存在空間は決して消える事はなく、それは未来永劫永遠に始祖より生まれし存在空間は存在し続けるであろう。 新たなる至高階位の理が生まれえぬ限りは。 一階位〜四階位 世界の創生、破壊、略奪を可能とする世界の理そのものとなる資格を有する階位。 この階位にあてはまる理を持つ者は、もはや神と称するより、世界と称した方が妥当であろう。 己の理にそった世界、法則を生み出し作り出し、その中にいる全ての存在に対し無条件な影響を与える。 その能力、理の規模全てにおいて五階位以下とはかけ離れた存在であり、完全に次元を異にする。 たとえ同じ理を有する存在であろうとも、この階位の理をもつ存在と対すれば少なからずその影響を受け、最悪飲み込まれる事態も有り得る。 また第一階位においては世界のみなら宇宙法則すら書き換え創造する理の力を有し、始祖のラム=リファーナが生み出した 無数の多次元存在空間の一つを支配し、その宇宙の神となることすら可能である。 この階位に属する理を有する者はアルトサウディウス、エルドラシル、イシュタル、太陽の神帝などが該当する。 理:欲望 階位:ニ階位 理の規模:世界 有する者:アルトサウディウス 己の感じた全てに純粋であり、それを果たすためには他の全てを犠牲にし排除してでもそれを求める。 全ての理の中で最も純粋であり強大な概念、欲望。これを有したアルトサウディウスもまさにその通りの存在であり 彼が生み出した能力の全ては己の欲望をそのまま具現化した形に過ぎない。また、この理の真の概念とは世界の略奪であり 他の理を奪い、己がものとする事である。この為、本来、アルトサウディウスはエルドラシルの理を奪い、己がものとする事が可能であったが それは果たされず、彼の身は滅び去った。だが、理の強大さ、階位としての上位より、彼の死後もその理とそこより生まれし能力が エルドラシルの有する永劫の世界に消えず交わっているのはその為である。 眷属の特徴:彼の世界にて存在する全ては彼と同じく欲望に純粋な者と成り果てる。偽善や誠意、虚実など、一切の装飾がなく 己の感じた全てを全として肯定する世界であり、他者によっては楽園、または地獄とも取れる世界。 また欲望の具現を前提とした理である為、他の理の眷属に比べ器と精神が遥かに優秀であり、その他の能力も多く持ち合わせている。 言ってしまえば、この世界の眷属の一人一人が理へと到達する為の条件を兼ね備え、人神の候補生ともなりえる。※4 理:永劫 階位:三階位 理の規模:世界 有する者:エルドラシル 無限に続く、永遠と永劫の世界を願った少女の理。彼女が望むのは自身の世界とそこに暮らす全ての存在の永遠不滅。 この為、彼女によって生み出されたものが世界システムと呼ばれるユグドラシルロゴスである。 魂(イデア)の海、剣聖システム、獣(ネロ)システム、無限回帰、これらは全て永劫の理より派生したものに過ぎない。 魂の循環や自身の世界の脅威となる存在の排除など、それらは全て自身の世界を永劫に続けさせる為の歯車であるのだから。 この為、たとえ世界中の生命が絶滅、消滅するような事態になろうとも永劫の理により、魂の海や無限回帰の法則を利用し、再び以前と変わらぬ 世界の秩序を取り戻すであろう。※8 眷属の特徴:この世界に存在する全ての生命は例外なくこの理に取り込まれ、死後は魂の海と呼ばれる場所へ回帰し 再びこの世界へと誕生し続ける。それは未来永劫変わらず、人類の歴史もそのような焼き増しの繰り返しともなりえる。 またこの理による影響の為、魂自体が無(フェムトー)へと回帰せず、世界へと取り込まれ続けるために、この世界において人神、いわゆる 理を有する存在が生まれる事は極めて稀であり、ほぼ生まれ得ない。 理:侵食 階位:四階位 理の規模:世界 有する者:イシュタル、レイルリンク=イシュタル 他の全てを奪い取り、略奪し、己の力とする理。そこにあるのはただ一つ、無限に膨れ上がる己というただ一つの法則。 この理の大きな特徴としては他の理すら喰らい尽す点にある。この為、本来は階位として上位でもある第三階位の理や それ以上の理すら喰らい、成長することすら可能である。この理の最終的な進化の行き着けとしては第一階位にすら至れるともされる。※9 ただし、この場合、この侵食の特徴としては他の理を侵食し、それを自らの理を増幅する為の燃料とするだけであり、原則として他の理の影響や その特徴を引き継ぐ事は一切ない。侵食とはあくまでも他の理の法則を消し去り、燃料として奪い取るだけである。 眷属の特徴:本来、この理による眷属は生まれる事はなく、この理を受けたものはその肉体、魂ともに全てを略奪され、イシュタルの燃料として奪 われる。だが稀に、肉体、魂共に逸脱した領域にあるもの(いわゆる魂の価値や錬度が図抜けたもの)がこの理による侵食に耐え切る事がある。 そうした者達はこの上位の理の洗礼を受けきった事により、肉体、魂共に人神の領域近くにまで上り詰める。だが、多くの者達はこの侵食のルール により、感情や理などを失い、ひいてはそれによって人神や理に至る為の最も重要な基盤を失う為に、彼らは人と人神との狭間の存在となる。 こうした最も完全に近く、されど完全なる領域に至れない者達の事をデミウルゴス(不完全なる神人)と呼ぶ。※10 五階位〜八階位 神と定義するに最も相応しい階位の理でもあり、この階位より大陸規模の世界を創造可能とする。 ただし、この場合は大陸規模とは、ひとつの星に収まるほどの大規模な大陸規模であり、文字通りひとつの世界の神となれる領域である。※11 また、そうした世界展開を行うことにより理を持たない人間を己の支配下、理の法則に従わせ、影響力も与える事を可能とし そうして己の世界の住民とした者達を眷属と呼ぶ。また、そうした世界創世を行わず自身の体内にて世界を収める者も存在し そうした者達が他の世界と対峙する際、己の中の理を展開する行為を“鬨”と呼ぶ。 個人規模の理がこの大陸規模の理と戦う際、階位として理の高さが違うことも無論そうであるが 先にも示した通り、この階位からは己の理を世界として展開し、相手にその影響を与える点から、能力の高さ以上に、自分の土台に相手を引きずり 込むという文字通り世界選択によるアドバンテージを得られるため、個人規模の理が大陸規模に対するのは極力避けるべきである。 この階位に属する理を有する者はクレイムディア、名もなき少女、ガディム(ヴァーミリオン)、サハラなどが該当する。 理:安寧 階位:五階位 理の規模:大陸 有する者:名もなき少女 優しい世界を願った無垢な少女より生まれた世界であり、法則。 この理による世界とはあらゆる意味で平穏と調和が取れた世界であり、それこそ他の要因(いわゆる他の理)による襲撃でもなければ 世界自体が崩壊する事無く、常に安寧が約束されている。※12 本来は第五階位ではなく世界創世にすら至れる第二階位であるはずだが、この理を有する少女自体がまだ未熟である為に 暫定として第五階位(大陸規模)ほどの力しか発揮できずにいるという。 眷属の特徴:この理により、人々や生命が受ける影響はむしろ加護と呼べるものに相応しい。長寿性の影響や自然治癒能力の上昇、病の減少な ど、いわゆる楽園と呼ぶに相応しい加護が与えられる。また人の魂が世界に囚われるのではなく、自由なままフェムトーへの帰還や繋がりをもてる 為、旧神のエルドラシルの理と比べ、新たに理を有する存在が生まれ得る可能性がある。 またこの理の影響を強く受けた眷族の者達は額に角と呼ばれるものを持ち、それを介して世界(いわゆるこの理の持ち主)の声や思想を感じ取り 世界に対するネットワークを構築し、意志の疎通を可能とする。こうした彼らの名称を鬼族(キゾク)と呼ぶ。 理:守護 階位:六階位 理の規模:個人から世界 有する者:ガディム あらゆる理の中で遥か上位の理にすら匹敵する能力を持ちあわせる理。 この理のルールとは極めて特殊であり、己ではなく他者や他の存在に対して強く働く事である。 守護と言う概念からも分かるように、この理による対象とはあくまで自分以外の誰か(何か)であり、それを護る為の能力は 階位として上位であるはずの理の影響やその能力を一切受けつないほどである。 人神、いわゆる理に至る者の多くが自らの思想や感情によって至る者が多くいるなか、他人を優先する思想であるこの理に至る者は 極めて稀であり、ほぼ生まれ得ないと言ってもいい。だが、その貴重さと特性故に、この理を持つ者は他の理に取って侵食不可能な 攻略困難な壁と成りえる為、他の理に対する抑止力ともなりえる。 また、この守護の性質上、眷属と呼べるものは存在せず、あくまでも己が護りたいと願うものの領域内にある存在を不変的に護るものである。 理:枯渇 階位:六階位 理の規模:大陸 有する者:サハラ 決して癒える事のない、満たされる事のない無限の渇望より生まれた理。 そこにあるのは己以外の何かに対する強い渇望。略奪の理の一つであり、欲望、侵食に継ぐ他の理を侵害する能力を秘めた理。 だが、この理によって奪われた理や世界はその場で枯渇し、灰や砂のように崩れ消え去る。それによってこの理の持ち主が得られる 能力や燃料などは一切なく、まさに欲しながらも決して満たされる事はない永劫矛盾の渇望であり、それが為にこの理に到達したものは 狂気のごとく、己が理に縛られ、自らの中に生まれた不変なる飢えを満たす為、他の何かを奪い続ける。 九階位〜十二階位 この階位の理を有する存在はその多くが個人としての世界の完成形であり、それはもはや己と言う一己(一個)の世界である。 彼ら個人規模の能力と力は紛れもなく神そのものであり、ただの人間や兵器では傷一つ付けることは敵わず、それは文字通り 世界を破壊できるほどの武器を持って、ようやく傷を受けるほどである。また個人規模と称されるため、己の理を世界として 展開出来ないという点はあるが、 それは逆に世界規模や大陸規模のように己の理を展開することより、日々磨耗し消耗するという自体がなく 寿命という点においてなら、この個人規模は全ての階位の中で最も長寿であると言える。 事実、世界規模の理を持つ神とはいえ、そこには寿命が存在し、どんなに長く完璧な理であろうとも世界には必ず寿命が訪れる。※13 このため、不老不死と呼べる存在がいるとするなら、それはこの個人階位の理こそがそれにあたると言える。 また己自身をすでにひとつの世界、ひとつの理としてある以上、他の理の法則に飲み込まれることはなく眷属となる事もまず有り得ない。 あらゆる意味で己一人を完全とする理こそが、この階位であると言える。 この階位に属する理を有する者はヨハネス、スフィル、トータなどが該当する。 理:??? 階位:十階位 理の規模:個人 有する者:スフィル カナン大陸を支える名もなき少女の傍に存在する謎の青年スフィルが有する理。 それは己個人の世界であり、彼だけは少女の世界に身を置きながら、その影響を受けず、また、他の世界やその理を受け付けない。 彼自身が有する理は未だ明かされていない為、どのような能力や法則を持っているのかも謎。ただ本人は他の理やその才華が開く様を見るのが 第一であるかのような言動が見て取れる。 理:黙示録 階位:十二階位 理の規模:個人 有する者:ヨハネス 個人規模でありながら、成長という特性を持つ特殊な理。 彼が有するのは“黙示録”と呼ばれるいわば予言の理である。彼が発するその黙示録の予言は未来において起こる可能性の一つを指し示し その未来、予言が成就するたびにこの理を自身も成長を果たし、最終的に全ての黙示録が成就されたた時 個人規模であるこの理は世界規模の理への進化し、既存の世界や理を全て塗り替えるほど強大な存在となる。 また予言という特性から、彼が発するその黙示録の予言を信じ、成就するために動く信者が多くなるほど その元となる彼自身の理も徐々に強大となっていく。いわば安寧の名も泣き少女と同じ発展途上の理と言える。 特異階位 通常の階位、第一から第十二に至るそれら全てに当てはまらず、その規模や能力も一切不明であり、どれほどの領域や強さを誇るのかも不明。 あらゆる意味で、底が知れず、他の理と逸脱した、一種ひとつの異世界と呼ぶに相応しい理に与えられる階位。 それはもはやあらゆる時間軸、時空間に縛られず、未来永劫不変的な存在であり、ある意味で至高階位に次ぐ階位の理とも言える。 またこの階位の特徴として己の世界を持ちながら眷属を持たず、己の理による影響を受ける者を持たない。 それはまさに自身の理こそが全ての世界であり、法則であり、そこに踏み込むもの、その影響を受ける者すら一切認めない。 この階位に属する理を有する者はル=ヴァルなどが該当する。 理:真理 階位:特殊 理の規模:一空間 有する者:ル=ヴァル 全ての理の中で最も真理に精通し、あらゆる事象や現象、理に至るまでその全ての真実を見抜き理解する理。 この理の前ではあらゆる偽りも通じず、あらゆる真実、真理が看破される。 この理を有する存在は後にも先にも純白の至高神ル=ヴァルのみであり、彼だけの唯一理と言っても差し支えない。 この理による影響を受けるのは厳密にはこの理の持ち主のみであり、彼による真理の看破の規模が一空間に広がる。 それは一つの世界のみならず、一空間に広がり、その空間内にて存在する全ての世界、そこに存在する全ての生命に起こった現象 理の発動などのあらゆる真理をこの理の持ち主は瞬時に理解する。 傍観者として全ての世界を見守ることを決めた彼にとって、この理はまさに彼そのものを現していると言っても過言ではない。 またその特性、特殊階位により、この理を有する彼のみはあらゆる理の影響を受け付けず、飲み込まれる事もない。 唯一、真理の理を持つ彼に影響を与え飲み込むことが出来るとするなら、それは至高階位の理を置いて他にないであろう。 イデア イデアとは器にやどる魂を構成する不可侵の霊質であり、生命を構築する上でも欠かせない重要な要素の一つである。 また、フェムトーより零れ落ちた意志の雫、理に至る為の源でもある。 通常、イデアとはその人物に単一のものとして宿るが、宿る際のイデアの層(濃度)によって、その人物の素養や素質が決定し 後のイデアの錬度、そしてイデアの深度と呼ばれる三原則によって、後の全てが決定される。 この中で個人として最も重要なのは層(濃度)であり、戦いや日常において欠かせないのは錬度であり 理に至る為に必要不可欠なのが深度とされる。 イデアの層 イデアの層とは肉体や魂を構成する霊質であるイデアが、どの層と繋がり構築されているかを表すものである。 通常、その人物が生まれた際、その者に宿るイデアの量は単一のものであるが、それを構成するイデアの性質、層(濃度)は人によって異なる。 例えば、一人の人物に宿ったイデアの層が第一層(第一濃度)のものであったのに対し、別の人物に宿ったイデアが第十層(第十濃度)によって 構成されていた際は、炭素10gとダイヤモンド10gのように単一の量でありながら、明確な差として現れる。 こうした現象が起こる理由の一つとして魂を生み出すフェムトーそのものがまさにそのような存在だからである。 フェムトーは全ての魂の原点であり、あらゆる理がそこには存在し、集合意識でありながら、一つの存在として確立し、 まさに全は個、個は全の体現である。そうしたフェムトー内にも上位層と呼ばれるものから下位層とされる段階が存在する。 事実、それに影響され“理”における階位の段階が存在している。この時、フェムトー内のどの層からイデアが生まれ零れ落ち繋がるか それによって生まれながらの素養や素質、器の強度などが決定付けられる。 無論、上位の層になるほど繋がりは稀であり、そうした層のイデアで構成される人物は何世代に一人の奇跡にも等しい。 だが、そうした上位の層によって構成されたイデアを持つ者は一人の例外もなく、英雄や魔人はては超人としてその名を残す。 稀に世界にそうした異端なる者達が生まれ歴史に名を刻んできたのは、こうしたイデアの層による繋がりが大きい。 アルシュ層(始源層) いわゆる一般的な人間に宿るイデアの層であり、大多数の者達が有するイデアの層である。 この層を持つ者達は良くも悪くも人としての範疇に収まる程度の者であり、イデアの錬度によってこの層を持つ者同士の明確な差や 肉体能力などの違いは出るものの、それはあくまで、人が到達できる限界点までである。魂の価値に照らすならおよそ数十から数百規模。 この為、これより上の層、すなわちエネルゲイア層のイデアを持つ者と対峙すれば、その差は明らかとなり、太刀打ち不可能な領域となる。 エネルゲイア層(豊富層) この層のイデアを持つ者はそれ自体がすでに一つの奇跡であり、肉体、能力など、あらゆる意味で人の範疇を越えることが可能な領域である。 無論、それを行うためにはイデアの錬度の錬度が不可欠であり、それを行う事によって、この層のイデアを持つ者はその明確な差を表し、 英雄や超人と言った領域へと至る事が可能となる。魂の価値に照らすならおよそ数千規模。 またこの層より、同規模の、またはそれ以上のイデアの層を持つ者でなければ、戦い合う事が困難となる。※14 エスペランサーセイバーのプレイヤーキャラクターがこのエネルゲイア層のイデアを有しており、彼らの人間離れした能力や肉体機能、 そして英雄候補たる理由はここから説明ができる。 デュナミス層(純度層) このデュナミス層と呼ばれるイデアは特殊なイデアの層であり、自然には発祥せず、それ故、これの層のイデアを宿す者達はその時点で 天賦の才、人知を超えた能力を身につけている。このデュナミス層を持つ者達を特別な者達の総称を“デミウルゴス”と呼んでいる。 完全に等しいイデアの層と呼ばれ、この為、エネルゲイア層以上の素養と素質を持つ。魂の価値に照らすならおよそ数千から数万規模。 生物としての完成系を体現するイデアの層であり、生まれながらに強固な肉体強度を持ち、いわゆる一騎当千、無双の領域である。 しかし、生まれついての優秀かつ完全な器と魂を与える代償として、肉体との繋がりが極めて強く、フェムトーとの繋がりが極めて低い。 その為、理に至る為のイデアの深度がゼロに等しく、理への成長を持たない層とされる。 しかし、その代償としてか、フェムトーとの接触を断たれた瞬間に零れ落ち、それが具現化した“星宝”と呼ばれる物を持つことがある。 これはいわゆるその者がフェムトーの中で最も強く接触していた感情なり、概念なりが欠片として残ったもの。いわゆる心の残骸である。 エネルゲイア層以上の層を持つものの、理への成長を持ち得ない為、あらゆる層とは相反する層とも言える。 テロス層(終極層) イデアの層における、もはや一つの終極系であり、完全に近しい層。この層のイデアを持つ者はそれ即ち、奇跡の産物であり あらゆる世代においても並ぶ者がない領域である。魂の価値に照らすならおよそ数万から数億規模。 生まれた瞬間からすでに完成された肉体強度、精神耐性を有しており、他と隔絶したこのイデアの層は、そこに存在する他者に対し 無意識下での圧を放ち、アルシュ層の者であれば、同じ空間にいるだけで器と魂が耐えられず死に至る程である。 もはやあらゆる意味で無双の領域に等しく、数世代に及ばず、数十世代に一人、生まれるかどうかのイデアの層である。 この層のイデアを有して生まれた者は一人の例外もなく、良くも悪くも必ず世界に対し名を残し、後の世のあらゆる歴史においても その名を刻まれ、永遠に存在が残ることとなる。また、この層のイデアより“理”へ至る為の器や魂の確保が可能となり、その為の条件でもある イデアの錬度や、イデアの深度を極め満たした際に、その人物は“理”の領域へと至ることが可能とされる。 エンテレケイア層(完全層) 全てのイデアの層において文字通り完全と称される層。この層を持った存在は、生まれ落ちたその瞬間より、すでに神であり、人神であり 世界であり、“理”へと至った魂である。それはもはや、イデアの錬度や深度などを必要とせず(と言うより、最初から全てを兼ね備えており) あらゆる意味で、常識外の外にあり、荒唐無稽の果てにある領域の層である。この層のイデアを有する存在が生まれること自体が もはや有り得るはずもない奇跡であり、生れ落ちると同時に、新たなる“理”と新たなる世界が誕生するであろう。 完全なる神の領域のイデア層、それこそがこのエンテレケイア層である。魂の価値に照らすならおよそ数億規模以上。 このエンテレケイア層のイデアを持つ者はテロス層以下とは完全に隔絶した存在であり、同じ、エンテレケイア層でなければ対峙することも 隣に並び立つことさえも、不可能とされる。 イデアの錬度 イデアの錬度とはその人物が有するイデアの層をその本来の限界値まで引き上げ、それに似合った能力、肉体機能を備える術である。 いわば魂の修練のようなものである。通常、このイデアの錬度を行うには様々な方法があるとされるが、その第一条件として 己に宿ったイデアの層、その本質を十二分に理解し、そこから何を引き出すか明確に意識する事が重要とされる。 故人いわく、戦いにおいては生まれ持ったイデアの層よりイデアの錬度の方が重要と説く。 このイデアの錬度を行う事により、エネルゲイア層の者が、デュナミス層を有する存在を凌駕する事も可能となる。※15 事実、高位のイデアの層を有する者が、この錬度を行えば、その肉体強度は常軌を逸し、同規模のイデアの層、錬度を行った人物でなければ 戦い合う事すら困難となり、極端な話、一般人による攻撃、武器などを受けたとしても傷の一つも受けない状態である。 また錬度によって備わる能力は錬力、硬気、速性の三つが主な部分としてあげられる。 錬力がいわゆる攻撃性能の高さ、硬気が肉体強度の高さ、防御性能を表し、速性がスピード、単純な速さを表す。 通常は錬度によってこれら三つの要素がバランスよく上昇し、必要に応じて各能力の一時的な上昇、それに伴う減少が行われる。 しかし稀に本人の魂の性質の影響により一つの部分のみが飛びぬけて成長する者も存在し、そうした者はいわゆる突出型の才能と言える。 イデアの深度 魂の構成するイデアの三原則の中で、人とそうでない者とを区別し、“理”に至る為の最も重要な要素。 イデアの深度とはその名の通り、魂の奥底でフェムトーと繋がっている深度の深さである。 この深度が深ければ深いほど、フェムトーとの繋がりが強くなり、それは理に至る為の第一条件ともなる。 最も、この深度だけでは理に至るには不十分であり、フェムトーに存在する強大な理を受け入れるほどの器を構成するイデアの層が必要であり それに似合うだけのイデアの錬度を行い、はじめて理へと至ることが可能となる。 またこのイデアの深度が深い者ほど、常識では考えられないような奇跡を可能とし、本来イデアの層や錬度がそれほど備わっていない人物が 遥かに高い魂の価値と錬度を有する者に勝利し得るのは、こうした常識の外に繋がっているフェムトーによる影響と言える。 無論、魂の深度が深くなればなるほど、人としての機能が壊れ、感情や目的意識も単一のものへと絞られていき 人ではない別の種へと至るであろう。 脚注 ※1 この“旧世界”と呼ばれるの舞台となっているのが前作のTRPG「エスペランサー」の世界であり、エスペランサー(無印)の舞台である。 ※2 この第二次星蝕戦役の物語が現在エスペランサーセイバーにて掲載中のリプレイ「星の伝承記」である。 いわばこの「星の伝承記」がエスペランサー(無印)とエスペランサーセイバーを繋げる話と言ってもいい。 ※3 この時の東源郷介入により、カナン・サハラ・星蝕界の三世界の戦役が一次休戦となるまでの物語は エスペランサーリプレイ「東源郷の到来」にて記されている。 ※4 この出来事というのがエスペランサーリプレイ「東源郷の到来」である。 ※5 いわば、全にして完全たるフェムトーに取って、始祖神アム=リファーナを初めとする全ての存在空間にある存在は自分達から剥げ落ちた 不完全な欠片とも言える。 ※6 当然の事ながら、後天的に理と接続を果たす者より先天的に理を有する者の方が圧倒的に多い。先天的、つまり生まれたばかりの状態とは それそものが純粋無垢であり、単一思考へ至る為の第一条件を備えているからである。また魂の価値に明記された事実からも理へ至る者は すでに生まれた瞬間から決められるものであり、それはまさに奇跡の産物である。 なお、後天的に理への接続を果たした者の事を人神(アダムカドモン)と明記する。 ※7 実はこの欲望の眷属たる者が、エル=ユーナにおいて魔族と称された者達の正体である。彼らの人間を超越した能力と力にはそうした理由 が存在した。だが正確には彼ら、魔族もアルトサウディウスの眷属としては正しくはない。何故なら、自らの世界でもあるアルトサウディウスの死後 生まれた存在であり、本来存在するべき世界を持っていないため。彼らは欲望の眷属の劣化品とも言える。 ※8 無論、それに伴う膨大な時間や年月を有する。 ※9 この為、本来は上位であるはずの第三階位永劫のエルドラシルの世界を侵食し、その理にひずみを生ませている。もし、イシュタルがエルド ラシルの理を侵食し、己の力としていれば、彼の理としての階位は上位に上がり、膨大な世界となり更なる侵食を他世界に広げていたであろう。 ※10 だが稀に、それこそ奇跡にも近い確率で、感情や思想などを奪われない者が存在する。そうした者は単一に強く願う感情が侵食の理を上回 った 結果として残されたものであり、それは即ち、理に至る領域へと足を踏み入れるという事である。非常に皮肉な事ではあるが他の理を奪い取り 消し去る為の侵食が、他のあらたな理を有する存在を生み出す側面を有しており、その結果として生まれた存在が“守護(ガディム)”など エスペランサーセイバーのリプレイ中に登場した一部キャラクターに該当する。 ※11 なお世界規模はこの大陸規模の世界創世に加え、更に複数の世界やルールの創世、他の世界を吸収・統合するほどの容量を兼ね備え、 言ってしまえば第四階位以上の理は複数の世界を創世・維持・吸収・統合出来ると考えてよい。 ※12 この為、いわゆる震災や災害といった現象もこの理の世界では起こりえず、何らかの災厄が起こるとしてもそれは人により人災か、他の理 による影響や襲撃のみである。 ※13 事実、かつて旧世界と呼ばれたエル=ユーナを支えた女神であるエルドラシルは第三階位の理を持ち、それに相応しい世界と世界法則を 作り上げたが、長い年月により彼女の理は疲弊し、遂にはそれがエルドラシルの寿命へと繋がり、彼女は新世界の誕生を見守り消滅した。 ※14 ただし、これにはイデアの錬度による肉体強化などの基礎が必要であり、そうした条件を踏まえた上で一般の者がこのエネルゲイア層以上 のイデアを持つ者に対し戦い合うことは非常に困難となる。 ※15 無論、この時、エネルゲイア層のイデアを持つ者と、テロス層のイデアを持つ者とが同程度のイデアの錬度を行っていた際は、その差はイデ アの層と同様に明確化される。イデアの錬度はあくまでも己に備わったイデアの層を限界近くまで引き出す為の手段に過ぎず、逆にどんなに高いイ デアの層を持つ者が いても、それを引き出す為の手段であるイデアの錬度を行わなければ、本来の力を引き出す事は敵わない。 |